私たちは「良いものを、誰にも、永く」使ってもらい、日々の生活の質を高めてほしいという思いから、漆器メーカー・医療機関・研究機関などで組織された京都発のものづくりプロジェクトチームです。

皆さんの食卓には、お気に入りの匙（スプーン）はありますか？

そのスプーンは本物の漆塗りでしょうか？

この商品は「ふるふる とろとろ ぷるぷる ふわふわ」な美味しいものを、より美味しく食べるために作られた、木と漆のスプーンです。

うつわにこだわる方でも、意外とスプーンまでは気を払っていないかもしれません。

せっかくの自分へのごほうび。口や舌に直接触れるものが、間に合わせのテキトーなものではもったいない！

良い食器は、料理を何倍もおいしくしてくれます。食事がおいしく楽しくなれば、生活も楽しい。そこで私たちは、柔らかめの料理にちょうどいい、木製漆塗りの匙（スプーン）を開発しました。

特徴1・見た目より軽くて、どんな持ち方でも持ちやすい！

誰にでももストレスなく使っていただくために、少し長めでふっくらしたデザインのグリップ。重そうに見えますが、木製（メイプル材）の比重はステンレスの1/10以下。「想像してたより軽い！」と皆さん驚かれます。

いろいろな持ち方にも対応できる設計です。ロングネックで、お子様にはお母さんが手を添えやすい長さにもなっています。

特徴2・100%天然の素材 “ 漆 ”

この匙に塗っている“漆”は、ウルシノキ の樹液から採れる、100%天然の植物性塗料。安心・安全で抗菌効果も高い(※)、縄文時代から日本人の暮らしに寄り添ってきた、伝統の素材です。漆の木1本から200ml程度しか採れない、貴重な自然の恵みです。

※平成13年 抗菌試験検査報告書より http://www.kyo-shikki.jp/think/#

その漆を精製して、塗師屋（ぬしや）と呼ばれる専門の職人が、一本ずつ「拭き漆」という技法で、木目に擦り込むように丁寧に漆を施しています。

金属製スプーンのような独特の金属臭も無く、食べ物の味を邪魔せず、しっとりとした口当たり。

小さなこだわりかもしれませんが、 スプーンというより“匙（さじ）” と呼んでもらえるような製品を目指しました。

木と漆は熱を伝えにくいので、かき氷のような冷たいおやつも、さいごまでおいしい。

特徴3・ちょっとづつ掬えるということ

楽しみなおやつタイムなのに、間に合わせの大きなカレー用スプーンなどで代用してませんか？

ふるとろでおいしいものは、ちょっとずつ、ゆっくり味わいたいもの。だからこのスプーンは、あえて「掬えすぎない大きさ」にしました。

長い柄のスプーンで、ちょっとずつ掬うと、所作も一段と綺麗に見えますよ！

柄が長めで少しふっくら、掬う部分が少し小さめ。このスプーン、実は “医療と健康” をテーマに、おかゆなどを食べるために作られたことがキッカケで生まれました。

皆さんは「嚥下」という言葉をご存知でしょうか？読み方も難しいこの言葉は「えんげ」と読み、医療用語で「ごくんと飲み込む」ことを言います。

私たちが1日平均で約600回も当たり前にしている「嚥下」、これが健康に大きく関わっていることは、意外と知られていません。

ちょっとずつ、楽しく食べる。専門医も勧める健康の秘訣

このプロジェクトのリーダーである愛生会山科病院の消化器外科部長・荒金英樹先生は、嚥下（飲み込み）の大切さをこう語っています。

「食べ物が喉に詰まったり、むせたりする経験は誰にでもあると思います。一時的なものなら心配ありませんが、たびたび起こるようだと注意が必要です。

嚥下障害は誰にでも起こりえます。食べ物などが食道でなく気管に入ってしまっても、健康な時にはむせる程度で済みますが、飲み込む力が衰えると、そこから肺炎を引き起こすこともあります。少しずつ、ゆっくりと、楽しく食べることは健康に大いに関係します。」

良く食べることは、良く生きること。

このスプーンは、より使いやすく、美味しく、楽しく食べていただくために、医療・漆芸・京料理・大学・公設研究機関など各分野の専門家が領域の垣根を超えて「食べること」を考え、たくさんの試作を繰り返し開発したアイテムです。

その取り組みが評価され、平成28年には「京都デザイン賞・京都府知事賞」を受賞しました。また、この商品は令和元年7月に発足した「京介食推進協議会」の認定を受けています。

漆は1本の木から200mlくらいしか採れない、貴重な自然の恵み。だからお値段も高くなりがちで「漆塗りの食器が良いのはわかるけど、高価でなかなか手が出ない」とよく聞きます。また、漆塗りのように見せかけた化学塗料の商品も多く、本物の漆の肌触りの良さが知られにくいのが現状です。

私たちはより多くの人に漆の良さを体験してほしいという思いから、木地の製作は海外で行い、仕上げ加工と漆塗りを国内で行なうことにしました。木材の選別から検品まで、徹底した品質管理により、手頃な価格で安心な商品を実現しました。本物の漆塗りを日常使いする豊かさを味わってください。

漆塗りは贈り物にも大変喜ばれます。大切な人へのプレゼントに、桐箱入りやペアセットもご用意いたしました。

おわりに

良く食べることは、良く生きることだと私たちは考えます。

そのひととき、そのひとくちを大切にする。その積み重ねが、人生を豊かにする。そのお手伝いができたら幸せです。

商品仕様

木地生産：インドネシア・日本

漆塗り：日本

設計：地方独立行政法人京都市産業技術研究所

販売元：漆器のアソベ（遊部工芸株式会社）

この匙は天然の木を使用しておりますので、木目や斑などの個体差がございます。また削り跡などが残っている場合があり、それによって漆の色合いも変わります。漆も天然素材のため、webサイトに掲載の写真と色合いが多少異なる場合があります。天然素材と手作りの風合いとしてお使いください。

ご使用上の注意事項

使用後は中性洗剤を使用し、できるだけ早く手洗いをして水分を充分に拭き取って乾かしてから保管してください。

木製漆塗りは柔らかく口当たりが良いことが特徴ですが、硬いものでこすったり、長時間水につけて放置することや、磨き粉及び漂白剤の使用は避けてください。優しく扱うことで長持ちします。

食洗機の使用は避けてください。

直射日光や高温、多湿、低温、乾燥など極端な環境での保管、使用を避けてください。

実行者紹介

医師（荒金英樹Dr.）

愛生会山科病院 消化器外科部長。京滋摂食嚥下を考える会顧問。医学で「食べる」を考えるプロフェッショナル。

漆器のアソベ（遊部工芸株式会社）

創業文化4年(西暦1807年)の漆器メーカー。うつわから「食べる」を考えるプロフェッショナル。（写真右：遊部尋志社長 左：遊部俊尋専務）

専門職チーム（作業療法士）

様々な人の「食べやすさ」を助けるプロフェッショナル。（写真左から 齋藤嘉子先生 田中麻里先生 渡邉聡先生）

地方独立行政法人 京都市産業技術研究所

アナログ・デジタル両面の技術を駆使したデザインで地場産業を支援するプロフェッショナル。（写真：デザインチーム主席研究員 竹浪祐介）