知足の正式名は、「吾唯足知」

松尾「私は、お寺周りが好きで、龍安寺のつくばいに書かれているこの言葉を頂きました。」

「われただたるをしる」と読み、
際限なく求めるのではなく、自分にとって必要なもの、必要な量を知る、

そしてその必要なもので満足することを知る、ということ。

「今、先輩とこの山崎を飲めることを幸せに思います。」
先輩が笑顔でうなずいた。

松尾「お店には、ウイスキー以外のものもあります。カクテルやビールなども愉しんでいただけます。」

今回、Makuakeから15,000円分のドリンクを10,000円で購入できる割引チケットを販売するそうです。（どんなお酒にも利用が可能です。）

※あくまでも参考例となります。同じグレードのブランデー、ラムを提供しますが、ご来店の時期により、ご提供のブランデー、ラムが変更となる可能性があります。

松尾「ブドウやリンゴ、サトウキビのお酒も試してみますか？
女性には、こちらの方が気軽に楽しんで頂けるかもしれません。」

100年の旅が始まる。

1888年と1891年の蒸留された原酒を2022年に60本だけボトリングされたアルマニャックです。

深く圧倒的な葡萄の香りから余韻まで、明治時代に作られた歴史感を感じながら楽しんでいただきたい一本です。

世界遺産級のお酒だ。

明治を令和で感じるなんて・・・一滴一滴に時間が閉じ込められている。先輩の言った言葉がわかる。

人生が変わりそうだ。

ピエールユエの特徴は軽やかで華やかな香りと上品で繊細な味わいです。
この1935は1935年に蒸留した原酒だけを使い1985年にボトリングされたもの。

ユエ独特の華やかな香りはもちろん繊細なボディの真ん中にとても強い林檎が座っています。それが他のピエール・ユエにはあまり感じたことのない繊細で上品ながら強い意志を持つ貴婦人を想像させます。

1935年を調べる。

フランスでは、「パンと平和と自由」をスローガンに掲げ、多くの国民がこぶしをふりあげている。その最中、農夫たちはリンゴを作り、ピエールユエの家族は、こんな素敵なお酒を作り上げている。

時空を超えて想いを馳せる。

カリブ海に浮かぶフランス領マルクニーク島の小さな蒸留所が10年近く前に世に送り出したラムは、30から40年以上熟成された原酒のみで構成されています。
おそらくワイン樽やブランデー樽を使っているのであろう華やかでフルーティーで複雑な味わいは表現も難しく、間違いなくラムの最高峰の1本です。

名作を飲む。天現寺の隠れ家から時空に想いを馳せる

※あくまでも参考例となります。同じグレードのウイスキーを提供しますが、ご来店の時期により、ご提供のウイスキーが変更となる可能性があります。

1963年にモリソン社がボウモア蒸留所を買収する以前のボウモア。
俗に言うシェリフボウモアのシップボトル。

リリースから70年近い年月から香りやアルコール感は弱まっているところもありますが、8年とは思えないまろやかさと、香りの奥底に感じるパヒュームは流石の1本です。

イタリアの伝説的なコレクター向けにボトリングされたクライヌリッシュの12年です。今や希少なボトルはどれも高値になり、こちらのボトルも100万前後の値が付いたりします。1970年代にボトリングされたこちらのボトルですが、当店の物は開栓が2023年の4月というところもおすすめです。

2021年に発売された割と最近のボトルになりますが、華やかな香りにスプリングバンクの特徴であるイチゴジャムがかなり真ん中に強くある、濃厚なボディーが特徴です。

先に紹介した150周年祈念ボトルと同じヴィンテージですが、150周年記念がリリースされたのが93年、その2年後の95年に2500本限定でリリースされたボトルです。150周年ボトルより更に華やかでフルーティーな味わいはコアなウィスキーマニアの中にもファンの多いボトルです。

1961年に蒸留され、1stオロロソシェリー樽で熟成された3つの樽を2008年にバッティングして458本リリースされた超長熟のグレンファークラスです。47年という超長期のシェリーカスクは今や非常に希少性の高い特別なウィスキーと言えます。

ワタシは質問した。「栓を開けると何が起きるのですか？」

開栓の話をすると、言葉少なに接客をする松尾さんが話し始めた。

「私の唯一の拘りは、今、その瞬間一番美味しい物を出すか。」

そう思うようになったのは、実は店をopenさせた後です。

以前、大阪でBarを営み、閉店後にバキュバンをして眠らせていたボトルが結構ありました。今回open前にそれらをテイスティングし、その素晴らしいパフォーマンスに安心しました。

知足をopen後、そのウィスキーを提供しました。

しかし、本来その素晴らしいパフォーマンスに感嘆されるはずが、なぜか反応がイマイチでした。営業終了後に再びテイスティングしたところ、その原因がわかったのです。

そのウィスキーは、酸化し劣化していました。

開栓後1週間～10日で
感動するほど美味しかったウィスキーが、とても飲めた物じゃなくなっていました。

たまたま、そのウィスキーを飲まれたのは知り合いの同業者だったので、後日その分を返金し謝罪しました。

ウイスキーは、個体差はありますが、空気に触れると、驚くべき速さで変化していきます。開栓から素晴らしいパフォーマンスを発揮するボトルもあれば、数ヶ月後に素晴らしいパフォーマンスを発揮するボトルもあります。

それまでの私は、いくらのボトルだから一杯いくら。そして、それをただグラスに注ぐだけでした。大半の店はそうだと思います。

果たしてそれで良いのか？

コストパフォーマンスと実際の実力。

一般的料理店では当たり前に行われている、今日コレが美味しいからコレを食べて…そんな店をやりたいと前述のアクシデントの際に感じました。

その分、開栓時に良くないパフォーマンスのボトルは
良いパフォーマンスまで何度もテイスティングし確認する為、うちの店は他店よりコストがかかります。

その為、決してリーズナブルに提供する事は出来ません。

ただ、そのボトルを右から左に捌くのでは無く、そのボトルが充分にパフォーマンスを発揮出来る見極めを常に意識し、提供していければ幸いです。

私と先輩は、夜道を歩きながら、少しの間、言葉がでなかった。
今夜出会ったウイスキーの事を考えていたから。

「人生が変わった？」と先輩は言葉を切り出した。

私は、大きくうなずいた。ウイスキーから過去を学んだ。

私は未来に何を残せるのだろうか？

▪︎店舗情報

Bar 知足

住所：〒106-0047　東京都港区南麻布4-13-8ﾌﾟﾗﾝﾄﾞｰﾙ南麻布3階
電話番号：03-4363-9894
営業時間：月～金 Open 19:00～ Last 5:00、土日祝日 Open 17:00～ Last 1:00
定休日：不定休