アウトドア（外遊び）が好きだから流行に関係なく自分たちの着たいものが作りたい

ソロキャンプを中心にYouTubeにて動画を配信されているMr SYU氏とヴィンテージ、アウトドア、アメリカンカジュアル、フィッシングといったフィールドでものづくりを続けてきたSUBROC、ALBERTON®、STRASSBURGER&CO.、それぞれのジャンルの『達人』たちが自分たちの着たいものを作りました。

モノつくりやイベントで意気投合した4ブランドの代表者が集まって、アウトドアのこと、ギアのこと色々な話をするうちに自分たちの着たい物を作ってみようという話になりました。

100年後のヴィンテージ好きを想像して

デザインのテーマは「ファッションではなくギアとして着用できるもの」

自分たちの好きな所謂アメカジと呼ばれるミリタリー、ワークウェアをベースに

①流行に左右されず100年後でも愛用できるもの

②ライフスタイルに合わせてハードに使えるもの

この2点を踏まえて、古い資料やサンプルを集めてデザインを考えました。

基本的な縫製は忠実に再現し、ディテールはヴィンテージウェアをサンプリングしつつ、日本人にあったサイズ感を検討して変わらないカッコよさを追及しました。

今回のプロジェクトをeo official YouTubeチャンネル『たけだバーベキューとキャンプな休日』にて取り上げていただきました。

SYUさんのギアへのこだわりが動画でもご覧いただけます。

ギアと呼べるにふさわしい生地の選定

今回のプロジェクトで使用する『ALBERTON 15oz ARMY DUCK』
100年先も着ることの出来る、時代が変わっても愛され続ける風合い豊かな生地を選び抜きました。

今回使用するALBERTON 15oz ARMY DUCKについて、ALBERTONのディレクションを行っている小松氏より興味深い話を聞きました。

15oz army duckの誕生秘話~ALBERTON小松氏より

ある日、弊社のお客様でｳﾞｨﾝﾃｰｼﾞ衣料を復刻されている方から見て欲しい物があると連絡いただきました。

後日お会いするとそこにはボロボロの生地片と青い目の白人男性が待っていました。

なんでも彼はアメリカのコレクターで鉱山跡を買い取りまして自分でランプ片手に鉱山に侵入して古いワーキングの服が残されていないか発掘しているそうで、その傍らにある生地片もそこで見つけたモノでした。鉱山は1900～1935年に閉山になりその間の代物でしたアメリカで復刻を試みたのですがそもそも当時の機械は残っておらず、クォリティーも低いものでした。あきらめかけていた時にアメリカのポップアップ出店でお客様と知り合い訪日の運びとなりました。

先ず、糸の番手打込みを確認、染めた時、洗濯した時の収縮を予想して織機の負荷指数を計算して、糸も当時のクォリティーに合わせて毛羽や番手ムラが出る様に調整して出来上がったのが15オンスです。

ブルーラインの出方など見ると1906年に当時のalbertonが納入したであろう可能性もないわけでは無い。

染色方法も1884年に直接染料が登場しており、染料分析からも直接染料に近いもので染めていた事が判明して事からalberton 15ozも直接染料で当時の処方に近づけて染めています。

400年の歴史を持つ知多織物を現代に繋ぐ「新美株式会社」

私たちはこのALBERTON 15oz ARMY DUCKについてもっと知りたいと思い、生地を

織られている知多半島の工場「新美株式会社」さんまで足を運びました。

そこでALBERTON 15oz ARMY DUCKを製作する上での困難を乗り越えた素晴らしいお話を聞くことができました。

アウトドアYOUTUBERの「Mr.SYUさん」とALBERTONの小松氏との対談様子

奇跡の巡り合いから生まれたALBERTONのダック生地～岩間シャトル織機の復活

現在のアメリカで1906年～の生地を作れる設備を持った工場は残念ながらほぼありません。日本国内でも数件残すのみとなりとなりましたが、壊れた時の部品供給や整備に掛かる経費の面から見ても老朽化した織機ではこの先の存続は厳しい状況です。

そう遠くない未来には稼働でき無くなる事が予想されます。

アメリカンダックを展開するalbertonの立ち上げ時にどうしてもそのことが懸案事項として立ちはだかっておりました。

そんな折にデットストックで岩間製のシャトル織機が残っているという情報を入手しました。

しかし、前途は多難。このプロジェクトを成功させるには先ず、当時の機械が必要。

その骨董品の代物を稼働させられる為のノウハウ持った機械屋さん、そして機械を設置して操作して織ってもらえる機屋さんの存在が不可欠です。

シャトル織機を200台以上手掛ける正にシャトルマイスターと呼ぶに相応し工場が プロジェクトに参加下さり

この一見不可能とも思える三重苦が偶然の巡り合わせで揃うことになりました。

奇跡の巡り合わせとはこのことです。

始動するに当たり、せっかく手に入れた70年前の新品の機体です

メンテ部品の調達が問題です。そこで我々は新品の利点を生かし、今現在で調達できる部品をチョイスし、その他電子部品も追加し、最新装備でフルカスタマイズして

今後数十年後も稼働できうるスペックに改造して仕上げる事に成功しました。

幻の岩間のシャトル織機6台が織りなすold American duckでこそ可能になるオールドアメリカン duck規格。日本の職人が一丸となってできた作品とも呼べる生地です。

ヴィンテージ＋テクノロジー

表地には、カネカロン®️プロテックスA®️を使用。

難燃性能に加え爆発等で熱線を浴びた時に素材が赤外線を吸収保持することで肌を火傷から守る性能を持っています。

この赤外線吸収性能を応用して生まれたのがalbertonが今回ご紹介する「赤外線を吸収して温かくなる難燃ボア（sliva knit）のブランケット」です。

焚火の前で使用した際に最大で約11度暖かくなりました。（詳細は後述の試験結果をご覧ください）

※カネカロン®️は株式会社カネカの登録商標です。

※プロテックス®️は株式会社カネカの登録商標です。

・難燃性を有する素材難燃繊維

火源を離すとすぐに燃焼が止まる自己消火性を有しています。その難燃性は、後加工処理による難燃繊維とは違い、洗濯等によって衰えたり、失われません。

・炭化型繊維

燃えると溶融せずに炭化します。その炭化部分が延焼を防ぎ、火源がなくなるとすぐに燃焼が止まります。また、ポリエステルなどの溶融繊維とは違い、燃えても溶け落ちて皮膚に付着したりすることはありません。

・ソフトな質感

軽く、暖かく、弾力性に富み、独特の繊維形状によるソフトでしなやかな風合いが特長です。フェイクファー、ウイッグにも使われているカネカロンの特徴はそのまま、肌触り良くポリエステル素材でありがちな嫌な静電気が起こりづらいです。触れた方がきっと虜になる柔らかな風合いにこだわりました。

slivaknit（ハイパイル）は糸ではなく綿（ワタ）をロープ状にした「スライバー」を直接編み込む為、素材の良さを損なわずにパイル地を作り上げることが出来ます。

パイル糸をブラシで解毛する方法のパイル生地とりも、風合いが損なわれづらく、自然な毛羽の風合いを感じていただけると思います。

この風合いを出すのにとても苦労しましたが

和歌山県高野口にある株式会社日本ハイパイル工業様に残る過去の資料を紐解きアメリカから当時入ってきたsliva knitを再現していただきました。

sliva knitの燃焼性試験報告書

高密度すぎるが故の難点

類をみないほどの高密度なダック生地。防水性の必要なバッグやテントなどのギア用に開発されたため縫製には特殊なミシンを必要とします。通常のアパレルを縫製するミシンでは生産効率が悪くなります。丈夫な生地が縫製できる産地＝児島しかないと思い岡山県倉敷市へ向かいました。

デニム・ワークウェアの聖地「児島」

もはや説明不要の世界に誇るデニムの聖地「児島」。

ヴィンテージのワークウェアも忠実に再現できる職人がいる世界的にみても数少ない

生産地です。

しかしながら熟練の児島の職人ですら、顔を顰める生地の密度。

とは言え、児島の職人ですからこちらの要望も全て聞いてくれて完成しました。

サンプルの確認とフィールドテスト

出来上がったサンプルは実際のフィールドで使えるかの確認と細かいディテールの確認。

ディテールではYKKのユニバーサルジップのオールドアメリカン10YGを使用。これは1940～50年代のアメリカ製ジッパーを元に復刻したファスナーで、コットンテープ・プレススライダー等を使用し、雰囲気は当時のままに、品質は現代のスペックに置き換え、より付加価値を持たせました。綿テープの風合いや経時変化による色落ち具合が楽しめるこのジップは100年先でも使えるギアを目指す我々の企画に完全にマッチしました。

フィールドテストでは実際に渓流やキャンプ場でSYUさんに着用していただき、

着用感などを検証してもらいました。

ウェアからギアへ、ギアから相棒へ

日々着用すればするほど、自分だけのアイテムへ。

自分のライフスタイルを後世に残せるようなディテールの数々です。

パンツはジップフライ仕様。YKKユニバーサルのカムロックのタイプを使用しております。トップボタンはシンプルなアージェント。

バックポケットは片玉縁でワークテイストを強調しました。

ヒップパッチは摩擦負荷や破れの起こりやすいヒップ部分の強化と、お尻の保護にも

なりハードな動きに対応します。

フロントポケットは斜めに切れ込みの入った実用的なスラッシュポケット。

フロントのデザイン的にも特徴的はＷニーは膝の摩耗や擦れに対する耐久性が上がるため、アウトドアやガレージで重宝されるディテールとなっております。

ベストのフロントポケットは何度も型紙を作り直して深さ、ポケット口を使いやすいように改良を重ねました。

ベストのフロントジップもYKKユニバーサルのNo10を使用。

ベスト、パンツに使用しているのは1940～50年代のアメリカ製ジッパーを元に復刻したファスナーです。

コットンテープ・プレススライダー等を使用し、雰囲気は当時のままに、品質は現代のスペックに置き換え、より付加価値を持たせました。

最近のジップテープは主にポリエステルを使用しますが今回使用した綿テープは風合い、経時変化による色落ちが起こりますので着用するごとにリアルヴィンテージへ育っていきます。

アメリカンカジュアルの中でも定番となっているワークアイテムを取り入れた

コーディネイト。アウトドアだけでなく普段着でももちろん活躍するアイテムです。

様々なフィールドで使えるアイテムはもちろん街でも活躍します。

ALBERTON 15oz ARMY DUCK ポーチ

ベスト、パンツと同じALBERTON 15oz ARMY DUCKを使用したポーチをご用意。

革ひもで留めるヴィンテージな風合いに仕上げました。

〈カラー〉

カラーはCAMEL(キャメル)とBRITISH ARMY(ブリティッシュアーミー)の2色展開

〈サイズスペックについて〉

4BRANDの紹介

SUBROC

ミリタリーギアの考え方をもとに、細部にいたるまで妥協のない徹底したモノ作りの姿勢と情熱を凝縮し、素材やパーツ、縫製、フォルムにいたるまで拘り抜き、独特の魅力を放つ本物のフィッシングギアを提供するブランドです。

Mr,SYU

ソロキャンプを中心に、カヌー、カブ、沢登り等アウトドアアクティビティ全般の魅力と面白さをYouTubeで発信中。とくに、ギアに対してのこだわりと思いは、とどまることを知らない「キャンプ沼の住人」。

ALBERTON®

１８７０年にアメリカのメリーランド州バルチモアで発祥した織物工場で

主には軍に納めるアーミーダックという軍用帆布やデニム、衣料資材などを生産していました。１９３５年に一度は潰えましたが、日本の地で正式に引き継ぎvintage＆militaryをコンセプトに当時作られていたものを復刻や、現在軍用で使われている素材をリノベーションした素材を提供しています。　

又、それらの素材を使いオリジナルギアの展開も行っています。

STRASSBURGER&CO.

150年に渡り繊維業を生業とし、デニムにおいては国産ジーンズの黎明期から関わってきた野澤組が2024年から本格的に展開するジーニングワークブランド。
ブランド名のSTRASSBURGER&Co.は戦後の混乱期において野澤組を支えてくれたアメリカの繊維問屋ストラスバーガー商会に敬意を込めて。
当時のモノつくりの真摯と矜持を受け継ぎ糸から拘ったオリジナル生地を使用したアイテムを展開する。

プライス＝バリュー。価値ある価格で企画創造していくチキリプロジェクト

Ｑ＆A

Q1.丈直しはできますか？

A.申し訳ございません。丈直しに関しまして弊社でのご対応が出来かねます。

　丈直しをご希望であれば、製品はワンウォッシュ済みですので大きく縮む事はありませんが、お好みの

　丈から少し余裕をもって印をつけて頂きお近くのジーンズショップ、もしくはお直し屋さんに持っていかれることを

　推奨させて頂きます。裾部分はシングルステッチで縫製しております。

Q2.サイズ交換はできますか？

A.原則として商品到着から7日間以内に限り、初期不良の返品、交換対応を致します。また、サイズ交換の場合も7日間以内に限ります。

※サイズ交換に際する往復の送料はお客様のご負担です。予めご了承下さい。

※ご注文のキャンセル、到着後の返品は原則として行っておりません。

※丈直し後のサイズ交換はできませんので、サイズが不安な方は注文時に丈直しをしないで下さい。

※在庫がなく再生産が必要な場合、数ヶ月お待ち頂く場合があります。

Q3.縮みは？

A.2色共にワンウォッシュの工済みの為、ほぼ縮みはございませんが長く天日で干されていたり、乾燥機にかけらると

　かなりの確率で縮む事が予想されます。

Q4.色落ちや色やけは？

A.ございます。当時のヴィンテージ生地を限りなく忠実に再現しているため直接染料を使用しております。

　媒染剤を使用しないため、耐光性は劣ります。その色落ち感もヴィンテージ特有の経年変化としてお楽しみ

　くださいませ。

Q5. 色ブレは？

A.ございます。当時のヴィンテージ感を再現するため敢えて手間のかかる当時の染色方法で加工しているため僅かですが生地の表情が異なります。

　　　　　　　 　〈実行者紹介〉

木と木つなぐ接合具である千切のようにブランドや工場、デザイナー、サプライヤー、インフルエンサーを同業他社問わずに繋ぎ、新しい価値とプライスに拘り企画創造していくプロジェクトです。今回の4ブランドコラボアイテムはアウトドアユーチューバーのMr.SYUさんのもとに各方面のアウトドア好きが集まり、ギアとして着用できる服を各サプライヤーと工場がタッグを組み最短距離で作ることを目指しました。

また今回の企画は全てジャパンメイドに拘り、長く愛用できるように経年変化も楽しめるアイテムをイメージし、生地から縫製～洗い仕上げまで企画に携わってくれた職人さんや工場にMr.SYUさんが直接取材し職人さんと触れ合うことでモノつくりに対する思いの詰まったアイテムに仕上がりました。

そしてこれからも皆様に喜んでもらえる商品を企画して参りたいと思います。