北海道でやむを得ず駆除されたヒグマの多くは、そのまま処分され、命の痕跡すら残らないのが現状です。

私たちは地元北海道から、「駆除されたヒグマの命を無駄にしない」という小さな選択肢を示す取り組みを始めます。

テーマは、「失われた命を、価値あるかたちに変える」。

その想いを形にするため、ヒグマ革を使った「ヒグマの爪型チャーム」「ループキーホルダー」を製作。

製品はすべて、北海道札幌、円山西町（まるやまにしまち）にあるレザーブランド KEETS（キイツ） のアトリエにて、一つひとつ丁寧に手作業で仕立てています。

応援購入いただいた資金は、次回仕入れ・製作費に加え、ヒグマ対策重点地域である「円山西町町内会」への寄付や、命を循環させる仕組みづくりの構築にも活用させていただきます。

自然と人の距離が近づいているいま、私たちは「駆除」という現実と、「ものづくり」を通じて向き合いたいと考えました。

野生の命を、ただ終わらせるのではなく、人の暮らしに残るかたちへ、“転生”させる小さな循環。

ヒグマと人との距離が近づいている

ヒグマはかつて、絶滅が危惧されるほど個体数が減少していました。
しかし、保護政策の強化や春グマ駆除の廃止、森林の回復、エゾシカの増加などの影響を受け、近年では生息数が伸びてきています。

北海道庁の調査によると、1990年には約5,200頭とされていたヒグマの推定個体数（中央値）は、2022年には約12,200頭と、2.3倍以上に増加しています。※北海道庁環境生活部HPより

農業被害や住宅街への出没が急増し、人との軋轢（あつれき）が深刻化しています。
その結果、やむを得ず駆除されるケースも年々増加しているのが現実です。

北海道庁は、ヒグマが出没しづらい環境づくりを進めながら、34年まで毎年1254頭を捕獲して同年の推定生息数を8220頭にするとの目標を示し、「ヒグマの出没が社会問題となっていなかった時期の状況を目指す」としています。

ヒグマがすぐ隣に現れた日

2022年12月31日昼間、私たちのアトリエのすぐ隣にヒグマが現れ、私自身ニアミスする出来事がありました。

小さな子どもを育てる家庭として、「ヒグマはもはや山奥の存在ではない」と痛感した出来事でした。

さらに、2025年6月にも同町内で出没が確認され、ヒグマと人との距離は、かつてないほど近づいており、偶発的な事故のリスクが大変高まっています。

人は街で、ヒグマは森で。——それでも出てくる命がある。

札幌市では、「人とヒグマの共生」を目指し、ヒグマの生息域と人の生活圏をすみ分ける「ゾーニング管理」を導入しています。
札幌市: さっぽろヒグマ基本計画2023（概要版）

理念は「人は街で、ヒグマは森で」。
ヒグマが人里に出てきた場合も、まずは追い返す対応がとられます。

札幌市が目指すのは、生態系と人の暮らしを両立させる未来。
それでも、ごく一部の個体は人への接近を繰り返し、やむを得ず駆除の対象となります。

捕獲駆除されるのは、本当にごく一部の“高リスク個体”だけ。
けれども、その命は多くの場合、ただ処分されるのが現状です。

同町内に住む私たちは、そんな現実に向き合い、「つくり手」としてできることを考えました。

—— 駆除された命を、暮らしに息づく革製品へと変えること。
—— その小さな循環を、次の命につなげていくこと。

それがこのプロジェクトの出発点です。

地元北海道札幌・円山からはじめるこの取り組みに、どうか力を貸してください。

お届けするアイテム

このプロジェクトでは今回、駆除されたヒグマの革を活用し、２種類のレザーアイテムを製作・お届けします。

すべて札幌・円山のアトリエにて、ひとつひとつ手作業で仕立てたものです。

それぞれのアイテムには、命を残すかたちへの想いと、暮らしに役立つ実用性、そしてKEETSならではの、静かな力強さをもつデザインを込めました。

ヒグマ爪型チャーム

北海道の森を生きた痕跡を、爪型のチャームに。
古来より守りの象徴とされる存在を、日常の傍らに。

やむなく駆除されたヒグマの革を使い、その爪をモチーフに仕立てたチャームです。
手のひらに収まる小さな革片には、「命を無駄にしない」という選択の証が宿ります。

野生の象徴

ヒグマ革ならではのゴツゴツとした質感と、しなやかな触り心地。
北海道の森を生きた存在感が、そのまま革の表情に刻まれています。

古来からの魔除け

熊の爪は、アイヌ文化をはじめ古来より「守り」「魔除け」の象徴とされてきました。
バッグや鍵に付ければ、日常を静かに見守る小さなお守りとなります。

陰陽太極図として

2つを並べると、陰と陽が調和する太極図の形を描きます。
ご夫婦、恋人、親子でペアアイテムとして持つことで、互いを補い合う循環の象徴に。

陰陽太極図は、相反するものがひとつに調和する「循環」の象徴です。
日々の暮らしの中で、自然とのつながりを感じられる存在になればと願っています。

仕様

サイズ：ボールチェーン長さ 140mm、爪型レザー 高さ 40mm 幅 20mm
重量：　3 g
素材：ヒグマ革、ボールチェーン（真鍮ゴールドメッキ）
カラー：ブラック
生産地：日本（北海道札幌市）

ループキーホルダー

表には命の証であるヒグマ革、裏にはしなやかなイタリアンレザー。
異なる背景を持つ革をひとつにして、日常で使えるかたちに仕立てました。

野生の力強さと、手にしっとりとなじむしなやかさ。
ヒグマ革特有のゴツゴツとした質感と、裏側のイタリアンレザーならではの上質な肌触りを同時に楽しめます。

ループ部分はボタンで開閉可能。

鍵を束ねたり、バッグやベルトループに引っ掛けたり、実用性を備えています。
ホックボタンもKEETSオリジナルの特注品。デザイン性と耐久性を追求しています。

表面には「KEETS」ロゴの刻印入り。

ロゴ刻印は、KEETSが責任を持って仕立てた証。一点一点、手作業で入れています。
※ヒグマ革はシボが深いため、刻印がやや見えにくい場合がございます。

日々手に触れるたびに、世界にひとつだけの表情へ。

使い込むことで艶が増し、味が深まり、自分だけの道具に育っていきます。

ループ部分は指通りが良く、バッグの中でも見つけやすい形状。

日常の中でさりげなく役立つ相棒となります。

30mm以下のベルトに通して、ベルトループキーホルダーとしても使用可能。

腰元で鍵をスマートに持ち歩けるので、日常の外出やアウトドアにも便利です。

野生の力強さを、暮らしの中で感じられるデザインアイテム。

玄関やリビングのフックに掛けるだけで、自然と暮らしに溶け込む存在に。
日常の所作に寄り添う、小さな相棒です。

仕様

サイズ：２重リング内径 25mm、高さ 25mm 長さ（閉じた時） 70mm、（開いた時）140mm
重量：　16 g
素材：表 ヒグマ革、裏 牛革（イタリア原産）、２重リング ホックボタン （鉄製本金メッキ）
カラー：ブラック
生産地：日本（北海道札幌市）

ヒグマ革について

力強さとしなやかさ、その両方を感じられる希少な革素材。

ヒグマの革は、野生ならではの深く刻まれたシボ（鱗状のしわ模様）と、野生が生み出す荒々しくも美しい表情を持っています。

その表情には独特の艶（つや）が宿り、使い込むほどに鈍く深みを増していきます。

手に取れば、ゴツゴツとした質感としっとりとした柔らかさの中にずっしりとした強さがあり、「しなやかさ」と「堅牢性」を高い次元で兼ね備えている、まさに野生から生まれた特別な革素材です。

※本商品で使用しているヒグマ革は兵庫県たつの市のタンナーにて鞣されたレザーです。

なぜ、これほどまでに希少なのか

ヒグマは北海道のみに生息し、近年は個体数が増加しているものの、革としての流通はごくわずかです。
それは、ヒグマが「狩猟対象」ではなく、人と自然との衝突を防ぐために駆除される一部の個体に限られるからです。

多くのヒグマは、捕獲後すぐに廃棄処分されてしまうのが現状。
革として利活用されることは極めて珍しく、ヒグマ革は“幻の革”とも呼ばれるほどです。

ヒグマは大型で原皮も非常に大きくて厚く、重量もあるため、ハンターにとって解体処理自体が大きな負担となります。
さらに、虫の処理や、腐敗を防ぐために皮剥後すぐに塩漬けや冷蔵・冷凍処理を行い、鞣し工場へ送付する必要があるなど、特別な手間とコストがかかります。

ゆえにヒグマ革は、非常に希少な天然素材であり、年間に流通する枚数はわずかで、市場にほとんど出回ることはありません。

ヒグマ革は「ただ珍しい」のではなく、大きな手間とコストをかけなければ活かせない、極めて特別な素材です。

だからこそ、この応援で、その負担を少しでも分かち合いたい。
皆さまの応援購入が、命を無駄にせず活かす仕組みを「共に支える力」になります。

円山西町町内会の取り組み

円山西町町内会とヒグマ対策

KEETSのアトリエがある札幌・円山西町は、札幌市の中でもヒグマ対策重点地域に指定されているエリアです。

ここでは、地域の暮らしを守るために町内会を中心にさまざまな取り組みが行われています。

町内会の活動例

・住民向けの「ヒグマ勉強会」を定期的に開催
・ヒグマを住宅街に近づけないための環境づくり
・ごみの対策や、野生生物への接近禁止など、住民への啓発活動
・ヒグマ出没時の連携、スクールゾーンの見守り

私自身も、直近の勉強会で「ヒグマ革の利活用」という取り組みを紹介させていただきました。

資金の使い道として

今回の応援購入いただいた資金のうち5％を、円山西町町内会のヒグマ対策活動に寄付いたします。

製品を手に取っていただくことが、地域環境や共生への取り組みを支えることにもつながります。

命を活かすことと、地域との共生を進めることを同時に実現する。それがこのプロジェクトの目指す形です。

未来へ繋ぐために

今回のプロジェクトは、ヒグマ革を「命を無駄にしない選択肢」として形にする、第一歩です。

けれども私たちの挑戦は、ここで終わりではありません。

今後は、猟友会やハンターさんと直接連携し、捕獲された個体の原皮を適切に引き受ける仕組みをつくりたいと考えています。

また、鞣し工場に直接発注を行い、KEETSオリジナルのヒグマ革を生み出すことで、品質と持続性を高めていきます。

さらに「どの地域で、どんな個体だったのか」という、雌雄・月齢・地域を含めたトレーサビリティの明確化ができれば理想です。

命の背景を曖昧にせず、きちんと伝えることが、次の命を活かすことにつながると信じています。

こうした仕組みを少しずつ整え、やむなく失われる命を、一頭でも多く利活用できる未来をつくりたい。

その小さな一歩を、皆さまと共に育てていきたいと考えています。

リターン紹介

スケジュール

2025年 9月15日（月）　プロジェクトスタート

2025年10月30日（木）　プロジェクト終了

2025年11月上旬　 生産開始

2025年12月下旬　 発送開始

実行者紹介

株式会社KEETS（キイツ）｜代表取締役　後藤 晃（ごとう あきら）

北海道札幌・円山西町にて、バッグ・革製品を手作業で製作している小さなアトリエ「KEETS（キイツ）」を営んでいます。

ブランド名の由来は禅語「万法帰一」。
すべてのものが一つに帰る、という意味を込めています。

2013年の創業以来、フランスやイタリアの高級インポートレザーを用いたオーダーメイド鞄の製作と並行して、北海道でやむなく駆除されるエゾシカ革の活用にも取り組んできました。

「人の暮らしに寄り添い、命を無駄にしないものづくり」を大切にしています。

今回のヒグマ革プロジェクトは、エゾシカに続く“命を活かす挑戦”です。

ヒグマ革は流通がほとんどなく、扱いも難しい素材ですが、KEETSが積み重ねてきた経験と技術を活かし、形にできると信じています。

札幌・円山に根を下ろし、自然と人の暮らしに向き合う「つくり手」として、地域や応援いただいている皆さまと共に、この小さな循環を育てていきたいと考えています。

活動実績

・全国百貨店、商業施設 出店 http://keets.co.jp/news.html
・北海道日本ハムファイターズとの公式コラボ http://keets.co.jp/fighters.html
・JICA海外支援事業「ウズベキスタン フェルガナ州における政策支援」 http://keets.co.jp/jica2024.html
・その他、過去のニュースをご覧ください http://keets.co.jp/news.html

【最後に】北海道から未来へ

駆除された命を無駄にせず、未来へ繋ぐ仕組みを育てたい。
その一歩を共に進めていただけるよう、皆さまの応援を心からお願いいたします。