奈良の伝統工芸品×新しいかたち

奈良には、赤膚焼をはじめとする、数百年の歴史と技術を受け継ぐ伝統工芸が数多く存在します。
奈良晒、墨、一刀彫、筆・・・いずれも静かで控えめながら、確かな手仕事に支えられた“日本の美”を今に伝える存在です。

しかし、残念ながらその多くは、現代の生活の中で静かに姿を消しつつあります。
担い手の高齢化や後継者不足、価格競争に飲まれた価値観の中で、
文化として残すには難しい岐路に立たされています。

私が出会った「赤膚焼」もそのひとつでした。
茶人や武士に愛されたこの焼き物は、奈良の土師氏の土文化を起源とし、
遠州好みの茶陶として洗練され、江戸期に再興された奈良独自の工芸です。
そのやさしい風合いと温もりは、ただの器ではなく“暮らしに寄り添う文化”としての
魅力を宿しています。

しかし、現代ではその存在を知らない人も多く、工芸作家の多くが後継者不足や
収入不安を理由に廃業の道を選ぶ現実があります。
“技術”も“精神”も消えてからでは守れない。けれど「伝統」をただ残すだけでは、
次の世代に届かないのです。

だからこそ私は、この技術を「守る」だけでなく、
「今の暮らしに響く新しいかたち」で届けたいと思いました。
それが、“工芸×〇〇”という新しい提案です。

「良いものを、良いと感じられる感性」をもう一度、日本の暮らしの中に取り戻したい。
そして、光の器を通じて、工芸の灯りが次の時代に手渡されることを願っています。

本当に良いものを、良いと感じる感性を、もう一度日本人の手に。
そしてその光が、未来の作り手と使い手をつないでいくことを信じています。

奈良の伝統工芸赤膚焼をつかった
時を照らすやわらかな光

赤膚焼は、紀元前からの土師氏の土文化に端を発し、秀長や遠州などの
茶道文化と深く結び付きながら、江戸期に再興された奈良ならではの陶芸です。
その素朴で温かみのある器は、生活と文化を繋ぎ、現代の暮らしにも
優しく溶け込みます。

想いと問題意識

・技術やものづくりを、形を変えてでも後世に繋げていきたい

・奈良の工芸品をもっと多くの人に知ってほしい

・「真に良いもの」を良いと判断できる人を増やしたい

技術やものづくりを、形を変えてでも後世に繋げていきたい

残したいという想いはあるのだけれど・・・

初めは、弊社にオリジナルでアイテムをデザインしてほしいという依頼から、
職人さんや工芸士の方々とコミュニケーションをとるようになりました。
その中で、職人さんと打ち合わせを重ねる機会が増えたこと、新たな職人さんに
協力を求める中で、奈良の工芸品には言葉では語れない温もりと力が宿っていると
感じ技術を知ってほしいと感じました。
しかしその一方で、私が出会い協力を求めてきた作り手の多くが

「売れないから」

「続けられないから」

と断られ、自分の能力が足らないことを痛感する一方
工芸品は売れない・下請けで生きるしかないと職人から言われた言葉に
危機感を感じました。

その時、「この技術を、ただ守るのではなく、暮らしの中に溶け込む
“新しいかたち”で繋ぎたい。」
そんな想いから、どうにかして職人に光を向け、技術や未だ知られていない
工芸品があることを伝えたいと思い生まれたのがこのプロダクトです。

想いはあるけど・・・

このプロジェクトを進めていく中で「 陶器で光を包むという発想 」を職人に
伝えたところ、最初戸惑いを感じられ難色を示されました。

構想から1年・・・工芸館からの紹介や直接職人を訪れたりさまざまなアプローチを試みましたが最初は断られ、それでも諦めずにコミュニケーションをとり続けやっと理解をいただき、試作を重ねてようやく誕生しました。

工芸品の技術と美しさを時代に合わせて、形を変えてでも未来に繋ぎたい
これはただのプロダクトを作るだけの話ではなく”文化を繋ぐ物語”でもあります。

奈良の工芸品をもっと多くの人に
知ってほしい

奈良には美しく確かな技術に裏打ちされた工芸品が数多く残されています。
たとえば、赤膚焼代表として、奈良墨・一刀彫・奈良晒・奈良筆・吉野手漉き和紙
など、多様な伝統がこの地には息づいています。

しかし、ライフスタイルの変化でそうした工芸品を日常で目にする機会は少なく
なりました。

やはり、気づいていても知らないのが現状。

知名度や需要の低下により、後継者が育たないまま廃業される作家や職人も
少なくありません。
奈良県内で現存する伝統的工芸品の作家数は年々減少し、近年では100人を切る
とも言われています。

私は、この地で工芸に触れ初めてその魅力と静かな力に心を動かされました。
「もっと多くの人に、この良さを知ってほしい」その願いが、プロジェクトの
出発点です。

赤膚焼という技術をただ守るのではなく、今の暮らしに合う形に“翻訳”して届ける。
暮らしの中で自然と使いたくなる灯りの器を通じて、工芸の美しさが
そっと届いていく。
そんな未来を目指しています。

「真に良いもの」を良いと
判断できる人を増やしたい

奈良の工芸や日本の伝統文化の多くが、外国人観光客からの評価によって
価値を保っています。
しかし本来、その美しさや意味に最も近くにいるはずの日本人自身が、
それを“古い”“地味”と見過ごしてしまっている現状もあります。
「真に良いもの」とは、見た目の華やかさではなく積み重ねられた手仕事や、
時を経て生まれる深みを内包するものと考えています。
その価値を、自分の感性で感じ取り「良い」と判断できる人がもっと増えてほしい。

私はこのプロダクトを通じて、“良いもの・良い技術”の力を感じ取ってもらいたいと
願っています。
それが、暮らしに美しさを灯すだけでなく、技術や文化を未来へ繋ぐきっかけに
なると信じています。

赤膚焼シェード/HIJIKAの特徴

ひとつひとつ、手のひらから生まれる「灯りの器」

奈良の伝統工芸「赤膚焼（あかはだやき）」をご存知でしょうか？
赤膚焼は、奈良・五条山（別名：赤膚山）の良質な粘土を起源とする伝統陶器。
赤みを帯びた土色と乳白色の釉薬、そして「奈良絵」と呼ばれる手描き装飾が
特徴です。
現在、奈良県内に6窯ほどが稼働中しており伝統と現代性を併せ持つ器として
広く支持されています。

この伝統工芸の技術を生かした世界に一つだけの「灯りの器」それが
「赤膚焼シェード/HIJIKA」です。

現代のアウトドア・インテリアライフに溶け込む、ぬくもりある“作品”としての光。

作り手の想い、手仕事の痕跡・温もりを感じながら、日常に静かな感動を届けます。

1.　歴史：赤膚焼の歴史を受け継ぐ、光の器

・城下町・赤膚山の土から生まれ『遠州七窯』に数えられた赤膚焼は、歴史とともに
息づく器として、茶人や武士たちにも愛されてきました。

どこか懐かしく穏やかな色味から歴史を感じる器から漏れる光を楽しむことができます。

2.　美：柔らかな光が生む、心の余白

陶器特有の「ざらつき」が、落ち着いた陰影を生み出します

キャンドルにさっと添えるだけで、空間がシェードアートになります

また、お香などのカバーとして使用いただくだけで表面に施した抜きの装飾から立ちのぼるランダムな煙と香りを楽しんでいただけます。

3.　only one：一つとして同じもののない表情

すべてが手仕事。

ろくろを回し一点一点手作業で形成。土のコンディションや釉薬の
つけ具合は当然同じものは存在せず異なる表情を持っています。

形のも風合いも全てが違う故、自分だけのアイテム・灯りとして愛着を育める存在になります。

製作風景

赤膚焼の若手作家菅原さんに協力をいただいて完成したシェードです。
１つ１つろくろを回し、丁寧な手つきで形成して行きます。

【土を作る作業】
土は生き物です。
毎回水分量や硬さが変わります。職人の感覚が必要になる大切な作業です。

【成形作業/ろくろ】
繊細な作業で１つ１つ作製。
作業風景はまるで土が自然に動いているような不思議な感覚になります。

【乾燥＋彫】
陶器の為、光を通さないので手作業で抜きの作業を行います。
こちらも手作業で一個ずつ作製しています。

【釉薬付下準備】
赤膚焼特有の赤色を残すために釉薬がかからないように下地を塗りこんでいます。
こちらも完成後のデザインを左右する大切な作業です。

【釉薬付】
赤膚を残しつつ全体に満遍なく釉薬を塗布する作業。

それまでに乾燥で縮むことを考え大きめに成形を行ったり、
実際できた時に縮みすぎて没になったり。
自然のものだからこそアクシデントがあります。

そして自然乾燥から焼きでさらに本体が縮むためサイズの計算が一番気を使う部分。

このように１つ１つ丁寧に作っております。

作家紹介

菅原尚己（スガハラナオキ）

奈良の伝統工芸である赤膚焼（アカハダヤキ）の若手作家。
高校より陶芸を学び、地元・奈良の赤膚焼窯元である大塩昭山先生のもとに師事。
そのあと奈良に自身の窯を取得し独立。
展示会やイベントに積極的に出展。精力的に活動中。

京都府立陶工高等専門校　卒業
奈良にて赤膚焼窯元　大塩昭山　師事
現在奈良市にて独立

開発ストーリー

工芸品に触れる機会が増え、感じたその美しさ、温もり、技術の深さに圧倒されました。 同時に、年々職人の廃業が増え、次の世代に受け継がれるはずの技術が、
静かに消えていっている現実にも気づかされました。

「美しいものを、美しいと感じる感性が失われていくのは、あまりにも惜しい。」
そう思ったとき、工芸の技術をただ守るのではなくて現代の暮らしの中で“
新しい価値”として再構築する必要があると感じました。

それが、アウトドアやインテリアといった日常の延長線上で、工芸と暮らしをつなぐこと。
そうして食器や茶器以外の用途で浮かんだのが「陶器で光を包む」シェードという
アイデアでした。

とはいえ、構想を形にするのは簡単ではありませんでした。

「売れない」「もう作らない」「工芸では食べていけない」

そんな声ばかりが職人からも返ってくる。
職人はアーティストです。
本当に作りたいものが作れずOEMなどの下請けで商品を作る日々に心が折れそうと
おっしゃっていた職人もいらっしゃいました。

それでも、諦めずに歩みを止めず、少しずつ少しずつ、私の想い理解を示してくれる
作家さん・職人さんと出会い、お互い作りたいもの楽しく作れるものを試作を重ね、
1つずつが形になっていきました。

ただ技術を守るだけでなく、“楽しんで、続けていける形”をつくること。
それは私にとっても、作家にとっても、希望の光だと思っています。

このシェードが誰かの暮らしを照らすとき、同時にひとつの文化が未来へと
繋がっていく。 それを信じて、このプロジェクトを立ち上げました。

利用方法・操作方法

１.キャンドルシェード

キャンドルに被せることで美しい影が生まれます。
ベット脇やリビングなどで部屋を暗くして光の揺れと影を楽しむ事ができます。
別売りのキャンドルプレートと組み合わせる事で一体感が生まれます。

２.お香カバー

お手持ちのお皿を敷いてその上にお香を置き、本製品を被せてください。
表面の抜きの部分から漏れる香りがついた煙が、立ち上る雰囲気を楽しんでください。専用プレートはφ3mm径の穴の真鍮パーツを使用しています。
市販のお香でもご使用可能です。

３.ランタンホヤ

別売りのキャンドルプレーをと組み合わせる事で棒状（約φ3mm）のお香も
使用することができます。※直径３mm以上のものは使用不可

フュアハンド、DEITZ78のランタンに使用できます。
ガラスのランタンでは物足らないユーザー様におすすめ。
隙間から漏れる光の影と、火の揺れを楽しむ事ができます。

※風が強い場合は火が消えてしまう恐れがございます。
　火の扱いには十分にご注意ください。

仕様

サイズ：W8.4 cm / H. 8.1cm（小口サイズ　上外径.φ 6.6cm/下外径.φ 5.9cm）
素　材：土
カラー：白/濃紺

FAQ

Q. 割れやすいですか？
A. 陶器製品の為、強い衝撃や落下には弱く割れる可能性があります。
　必ず安定した場所でご使用ください。

Q. 一点ずつ異なるのはなぜ？
A. 職人の手で一つひとつ成形・施釉され、焼成されるため、形、色合いや風合いに
個体差が出ます。それぞれの違いを“あなただけの表情”としてお楽しみください。

Q. 歪みがありますが大丈夫ですか？
A. ろくろを使い職人の手で一つひとつ成形しているため個体差が生じます。
歪み等必ずでものですが、点検の際ランタンや専用プレートにはまらないものに関しては省いております。万が一ご使用できない場合はご連絡ください。

Q. 対応するランタンはどれですか？
A. フュアハンド２７６、デイツ７８サイズのランタンは使用可能です。
　現行で販売されているランタンでのみ確認しているためオールドランタンの
　場合などは使用できないものがある場合があります。

Q. 屋外でも使えますか？
A. 使用可能ですが、本体が軽いため強風などで地面に落下した場合は破損する恐れがあります。風や地面の状態などに十分ご注意ください。特に不安定な場所ではご使用をお控えください。

Q. メンテナンスは必要ですか？
A. ご使用後はやわらかい布で乾拭きしてください。水洗いは可能ですが、長時間の浸水や食洗機は避けてください。破損いたします。

Q. 注文後のキャンセルや返品は可能ですか？
A. 受注生産のため、ご注文確定後のキャンセルやお客様都合による返品は承っておりません。不良品の場合は交換対応いたしますのでご連絡ください。

スケジュール

プロジェクト公開（Makuake開始）：2025年８月16日10:00から

プロジェクト終了：2025年９月1５日 22:00まで

生産開始：プロジェクト終了後、順次開始

リターン発送：12月末までにお届け（生産状況により前後する可能性あり）

進捗はMakuake内の「活動レポート」で随時ご報告いたします。

リターンについて

実行者紹介

こんにちは。

奈良を拠点に、デザイン・ものづくり・プロデュースの分野で活動する「stock arts.」と申します。
同ブランドの手仕事に特化した2nd LINE 「artizm.」
artisan（職人） ✖️ ism（主義）の造語ですが、職人の技術や感性が好きなユーザー様に使用していただきたい想いで立ち上げました。

学生時代から手を動かしてものを作ることが好きで、デザインの力で誰かの暮らしに灯りをともしたいという想いを持ち続けてきました。

奈良という地で出会った工芸品たちは、単なる“古いもの”ではなく、今も手の中で静かに息づく“生きた技術”を感じました。
しかし、全国的に年々その灯りは小さくなり、若い作家が夢を描けずに道を閉ざしてしまう現実や、高度な技術を持っていても廃業してしまう職人、生活のために請負先として商品を作るだけで自分の作品をリリースできていない職人がいる事を知ったとき、「守る」のではなく、「つなぐ」ことの意味を強く意識するようになりました。

このプロジェクトは、そうした“静かな危機”に、静かな希望で応えたいという想いから生まれました。

使うたびに手の跡・温もり・歴史を感じられる道具として
そして、これからの暮らしと文化をつなぐ“灯り”として。

この器が、使い誰かの心と、未来の職人の手に届くことを願っています。
応援購入いただいた皆様が快適に使用していただけるよう心がけた製造を行いますので、よろしくお願いいたします。

代表者：田代 敦士

今までのリリースについて

レジン加工や木製加工をされている職人とタッグを組み、カメラ三脚で使用可能なテーブルを作製。
応援購入いただきありがとうございました。
Makuake後もたくさんのお問い合わせをいただきました。

先日終了したプロジェクト。
こちらは奈良川上村の木工工芸士とタッグを組み灯籠えイメージしたランタンホヤガラスを装着するカバーを製作しました。

これからも、素晴らしい工芸の技術を使ったアイテムを考えリリースする予定です。