湊町にいがた。創業1767年の今代司酒造は全国屈指の蔵元数を誇る新潟県内において、玄関口である新潟駅から最も近くに蔵を構え、古くからの伝統を大切にすると同時に新しいコンセプトにこだわり、今の時代に合った地酒の魅力や楽しみ方を表現しております。

Makuakeでは、2回目のクラウドファンディングです。

初回は、木桶で造られる日本酒の伝統を守り、残していきたい、とプロジェクトを立ち上げ多くの皆さまにご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

そして、２回目となる今回は2012年より眠らせて以来、お出しするタイミングを探ってきた貴重な自然栽培ササニシキ生原酒。ご自宅でじっくりと、そして経過した時を味わっていただけるようなお酒をご用意しました。

【プロジェクトの背景】

2012年。
「自然栽培米を使って酒をつくってみませんか？」
とある方よりご提案をいただきました。話を聞けば秋田県に当時としては珍しい自然栽培で米をつくる農家さんがいらっしゃるとのこと。

通常当社では新潟県産の五百万石や越淡麗という酒米を使用するため、県外の米を使うこと自体ほぼありませんでした。

そのためはじめは当然ながら迷いもありましが、一方で自然栽培といえば書籍や映画でも取り上げられ、業界では革新的な農法で注目を集めておりました。

【自然栽培の特徴】

自然栽培農法とは、化学肥料や農薬はもちろん、肥料や堆肥さえも施さず、自然のままの土壌と水だけで栽培する農法です。決して放っておくのではなく、作物の成長の過程によって、中耕や草取りなど、必要な時にお手伝いをしてあげます。

子育てで例えるなら、たくましい子に育てるには、過保護に育てるのではなく、親が見守り、必要なときに手を差し伸べる育て方に似ていますでしょうか。土と作物が本来持っている力を引き出して、栽培する愛情いっぱいのこの農法。

聞こえは非常にいいのですが、実際は大変な労力と時間を要する非常に難しい農法とされており、数年間の試行錯誤を経て土壌をつくらなければなりません。リスクは非常に高く、ましてや米で自然栽培に取り組んでいる農家さんは非常に少なかったようです。

【秋田県産自然栽培米ササニシキ】

ご紹介いただいたのは秋田県大潟村の石山範夫さん。
自然栽培米のササニシキ（※以下：自然栽培ササニシキ）を現在も生産されています。

石山さんはかつて自然栽培でりんごを生産されている農家の木村秋則さんと出会い、田んぼのおこし方、代かきの仕方などを学んだ方で、自然に逆らわずに観察しながら、稲の力にまかせる農法を習得されていらっしゃいました。

「これをきっかけに学びも含めて実際にこの目でみてみよう。」

そう思い立って現地秋田へと足を運びました。

石山さんがつくる圃場はとにかく自然あふれる圃場。まず色が違います。

通常の田んぼは黄緑色ですが、石山さんの田んぼは濃い緑。稲が土からありとあらゆる養分をもらっているかのような非常に力強い色をしています。

茎も太く丈夫でいくつもの節間ができており、台風が来てもびくともしないほどだそうです。

実際に食べてみると、コシヒカリにはない食感。主張は控えめで、東北の方の生き方を象徴するかのようなどこか奥ゆかしいお米でした。そして自然栽培ササニシキにまさに惚れこんだ瞬間でした。

そのササニシキもかつてはコシヒカリと人気を二分する存在でしたが、冷害に弱く倒れやすい性質が明らかになって以降、生産量が急激に減少していき、最近では店頭で見かけることも少なくなっている貴重な品種です。

【製造を決意】

「この米を使って酒をつくったら果たしてどんな味になるのだろう。」
純粋にそういうお酒をつくってみたくなりました。

貴重な米だけに譲っていただけるか不安でしたが、石山さんに改めて相談したところ、

「面白そうだからやってみましょう。」

快いお返事をいただき、正式に自然栽培米ササニシキを譲っていただけることになりました。

もともと飯米では、新潟県の特産品にもなっているコシヒカリがあるのですが、コシヒカリは粘りが強く酒造りとしては難しいとされています。それに対し、ササニシキはもともと粘り気の少ない上品な味わいが特徴のお米で、比較的あっさりとしています。日本食で言えば寿司のしゃりなどにもよく使用されているお米です。

酒造りにおいてもその粘り気の少なさゆえ、麹造りにも適すのではないかと仮説をたて、早速その冬、つくりに挑みました。

想像通り粘り気は少なく、麹もきれいでしっかりとした出来に。

仕込みも無事に完了し、絞り終えると香り高く、味もまろやか。まさに今まで弊社にはなかった味わいで、瞬く間に自信作となりました。

そして、当時つくったこのお酒は貴重であったため、一般販売はせず、生の状態でサーマルタンクに保管し、一部の方々に対してのみ受注生産にてお渡ししていました。流通量はかなり限られておりましたため、このお酒はまさに蔵に眠る貴重なお酒として長らくの間大切に保管されてきたのです。

【ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒】

これは蔵として趣味の世界ですが、寝かすことによる味わいの変化を楽しむのも日本酒の一つの魅力です。
「長くとっておいたらどうなるのだろう」

サーマルタンクをマイナス2℃に設定し、保管して7年超。今、味わいはどのように変化したのか。

ふとした好奇心から味をみてみました。

すると、香りは熟成香を帯び、味わいはスッキリ感をそのままに深みがさらに増し、まろやかな酒に変化しておりました。

2012年より眠らせて以来、お出しするタイミングを探ってきた貴重な自然栽培ササニシキ生原酒。

現在自粛が求められる生活の中、改めて自然の恵みと、経過した時間に想いを馳せながらじっくりと味わっていただきたいと思い、今回「Makuake限定酒」としてご紹介させていただくに至りました。

また、特別なお酒を出荷するにあたり、本年度醸造されたばかりの新潟県産米100%使用生原酒もお入れしたセットもご用意しました。

実は、令和元年醸造より今代司酒造は新たな体制となりました。
これまで杜氏を務めていた高杉に変わり、38歳の若手である古田が製造責任者を務めております。

その古田が率いる新体制でつくった初年度のお酒。今代司の挑戦でもあり、是非皆さまにお試しいただきたい一本です。
7年寝かせたヴィンテージと、生まれたばかりの今年の新酒の飲み比べ。驚くほど違う味わいをぜひ楽しんでいただけますと幸いです。

【商品詳細とおすすめの飲み方】

■【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒
ナッツのような熟成香を帯び、味わいはスッキリ感をそのままに、熟成酒ならではの深い甘味と酸味が特徴。40度前後のぬる燗にすると旨味が口の中に優しく広がり、さらにまろやさを楽しめます。

・使用米：秋田県産 自然栽培ササニシキ使用
・精米歩合：60%
・アルコール度数：17度
・日本酒度：+2.0
・酸度：1.6
・アミノ酸度：0.9
・おすすめのつまみ・食事：豚の角煮やうなぎ、あん肝の煮付けなど、脂の多い料理や味の濃い料理とよく合います。
※冷蔵にて保管ください。

■2019年度醸造 天然水仕込み 純米生原酒

食中酒として日本酒本来の姿を追求して生み出した今代司の定番酒を期間限定のフレッシュな生原酒バージョンにてご提供。フルーティーな香りとお米本来の旨味を感じていただける一本です。

・使用米：新潟県産五百万石、新潟県産こしいぶき使用
・精米歩合：65%
・アルコール度数：18度
・日本酒度：+7
・酸度：1.6
・アミノ酸度：1.8
・おすすめのつまみ・食事：旨味たっぷりのカツオやブリ、マグロなどの赤身のお刺身、オクラやナスのおひたしなどとよく合います。
※冷蔵にて保管ください。

【リターン紹介】

①4,600円コース(税込)：【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒 1本 / 720m

②6,100円コース(税込)：今と古（いにしえ）飲み比べセット
【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒・2019年度醸造 天然水仕込み 純米生原酒 各1本 / 各720ml

③9,600円コース(税込)：【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒 3本 / 720m

④14,200円コース(税込)：今と古（いにしえ）飲み比べ３本ずつセット
【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒・2019年度醸造 天然水仕込み 純米生原酒 各3本 / 各720ml

⑤17,200円コース(税込)：【Makuake限定】 時を味わう ヴィンテージ2012 自然栽培ササニシキ 純米生原酒 6本 / 720m

【実行者プロフィール】

今代司酒造
1767年創業。全量純米仕込みの酒蔵。

日本一の蔵元数を誇る新潟県内において、玄関口である新潟駅から最も近くに蔵を構えております。

酒蔵を閉ざすのではなく、オープンにすることで、少しでも多くの方々がよりいっそう地酒に親しめる環境をご提供することに使命を感じ、日々皆さまをお迎えしております。

古くから発酵食製造業が集まる「沼垂（ぬったり)」に位置し、江戸から明治に栄えた湊町・新潟の風情を残す酒蔵は見学もでき、伝統の酒造りの世界を今に伝えています。また、「むすぶ」ということを自身の存在価値であると考え、日々の取り組んでおります。

【資金の使い道】

今回クラウドファンディングで集まった資金は、酒蔵における新たな設備投資やメンテナンス・修繕などに使用させていただきます。酒蔵の伝統を受け継ぎ、発信していくためにも、皆さまのお力をお貸しください。応援、よろしくお願いします。