プロジェクト実行者
ストーリー
- 空間をも再生する音質、伝統工芸による外装、生活に寄り添う機能
- 日本の職人たちの技を持ち寄った、経年変化に耐え風合いが増していく、漆によって制震された外装
- 理論的最少歪みを目指した回路設計、200kHzの広帯域、高音質トランス式DACの組合わせ


Kitten Sound Atelier は、見た目のためだけではなく、振動制御技術(制振)の一環として漆芸や陶芸の伝統工芸や自然物を活用しています。これは、長く使用していただくためという大きな目的のためです。
音とは振動です。ですので、音響機器が作られている素材が振動したら再生音にその振動の音が混じってしまうことになります。なので、それぞれの素材が持つ固有の振動は抑え込まねばなりません。ですが、固有振動を持たない素材など存在せず、その実現のハードルは極めて高いものとなります。
そして、制震に使われる素材の代表格であるゴム系のものは、元々の再生音の振動までを打ち消してしまいますし、経年変化にも強いとは言えません。
それに対して、漆は紫外線以外の弱点を持たず、三千年前の縄文遺跡からの出土例もあるほどの強さを誇る天然樹脂です。そして、元々の素材と漆が染み込んだ素材、そして表面の漆の部分と異種接合材料となることで、振動を抑え込みます。
陶磁器の一つである貫入青磁に至っては、自己変形しない固い素材なのに制震効果を持つ稀有な存在です。
そして、その仕上がりはどちらも歴史に裏打ちされ、日本人の感性に合う最高級品の輝きに満ちています。
私たちは、その特性を最大限利用しているのです。
そのような考えが認められ、私たちの製品は「グッドデザインぐんま」に選定されました。
詳しくは、「伝統工芸素材と制震」の項をご覧ください。

弊社は前回のオリジナル・スピーカーによって、マクアケさまでのチャレンジを成功させていただきました。そして、その際に得た資金によって真空管アンプの開発を行いました。しかし、コロナ禍によって、忍耐の時を強いられてしまいました。

その間に、オーディオの状況も変わりました。
人を集めることが避けられた結果、従来のオーディオに加えて、ヘッドホンやイヤホンのポータブル・オーディオの分野が大きくなってきたのです。

とはいえ、私たちのすることに変わりはありません。
良い音を求めるという果てしないクエストの中で、従来のオーディオと新たなポータブル・オーディオを繋ぐものとして弊社のノウハウを尽くし、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)「始月」と、それに組み合わせて使用するヘッドアンプ「淡月」を製作いたしました。
そして、今まではそれらのものをキットとして発売していましたが、PSEマークを付けた製品として販売したいと考えています。

そのために、社内に電気用品安全法に準じた検査体制を構築します。

私たちが、弊社の製品を生活に寄り添うものとして、長く使えるオーディオ機器を目指すのには理由があります。
オーディオ製品とは個人のものであり、目的を大きくとっても家庭のものという極めてプライベートなものなのです。なので、その生活環境の変化に対応できなければならないと考えているからなのです。
たとえば、ポータブル・オーディオは、若者向けというイメージがあります。

ですが、ポータブル・オーディオは生活の充実とともに居間を彩るAVシステムに取って代わられ、さらに時間が流れる中で再びプライベートなものに戻っていくのです。
近年よく見られることですが、若い頃から良い音を聴いてきた方が歳を取られ、生活を縮小していくときに、施設等の限られた空間でも良い音を持っていきたいと思うのです。そして、よいヘッドホン・アンプとよいヘッドホンに戻るのです。
AVシステムとは人生に寄り添うもの。
ポータブル・オーディオに始まり、ポータブル・オーディオに終わるというのが近年見られるオーディオという趣味の特徴なのです。

弊社代表は元技術系公務員でしたが年配者の多い所属に配属され、趣味として昭和の舶来銘機の修理を多数依頼されているうちに、製作依頼も受けるようになって転職した経緯を持ちます。
そのため銘機と言われていても、あまりに使用状況に恵まれていないものや、音本位で安全性や機器の寿命が考慮されていない設計のものを見ており、その反省から長く持ち続けていただくためのさまざまな工夫をするようになりました。
そこからまた、長く使っていただける使用状況にも目が行くようになりました。
そのために弊社が考え、製品に取り込んでいるエッセンス(要素)は以下のようなものになります。
◯ 家族のオーディオ
男性が自分の部屋に閉じこもり、家族の誰にも触らせないでオーディオ機器を独占する。なのに、購入のときは配偶者の顔色をうかがう。これは一時代前によくあった風景です。
ですが、人の声の嘘を聞き分けるのは女性の方が優れていたりして、本来は男性が独占するものではないのです。
人と人とのつながりが希薄になりつつある現代では、男性に限定するようなオーディオ機器のニーズの形そのものが変わっています。家庭の団らんの中心となって、家族をつなぎとめるという目的すら現代のAV機器は背負わされているのです。

○ 生活環境の変化に対応
長く使うということは、生活環境の変化に対応することです。家族の人数の増減、引っ越し、人生はなにが起きるかわかりません。もちろん良いこともあるでしょう。最初はパソコンのディスプレイとヘッドホンで聴いていても、生活にゆとりができれば大画面化、高画質化したモニターと合わせ、機器を揃えていくことにもなるでしょう。
その際に、たとえば野球中継なら一塁側と三塁画の応援が別々に聞こえたり、巨大怪獣の足音はきちんと怖く聞こえなければなりません。ですが、大画面化に音はついていけていないのが実情です。

大画面化に対し、スピーカーは小さくなってしまっているのが実情です。そのため、外付けオーディオ・システムが必要とされています。
○ 音作り
家庭で長く使われるためにはどのような音に仕上げるのか、音に対するノウハウはすべてここに注ぎ込まれます。
まずは、飽きないためには、鮮度の高い音が必要です。ただし、刺激的な音と鮮度の高い音は明確に違います。例えば、お店に入ったときに「わぁ、いい音!」と思っても、1時間聴いたら疲れてしまうのは刺激的な音です。
同じようなことは、視覚でもあります。電気屋さんで並んでいる大画面ディスプレイは、そのままの設定では家庭に持ち込めません。店頭ではコントラストが高くてきれいでないと売れないので派手な画像作りをしていますが、これは店頭用モードで出している画像なのです。家庭だと刺激が強すぎ、耐えられません。
音でも同じです。例を上げるなら、店舗であればお客様の回転を早めたい業種と長くリラックスしていただきたい業種では、まったく違う音設計になります。
そして、鮮度が高くても刺激的でない音、それが家庭で求められるものです。1日流れていても聴き疲れせず、そのまま寝られる音。でも、映画を見ればきちんと迫力があり、音楽を聞けば楽しい音。
つまり、変な意味で凝りすぎない、自然な音が必要なのです。
○ 操作系の単純さ
長く使うということは、よく使うことでもあります。家族の誰もが使え、女性やお子様にもハードルが低い操作系を目指しています。そのために、電源スイッチ、入力切り替え、ボリューム、ミュートしかスイッチ類はありません。
現在は音源がデジタルになっており、ソフトに問題が少ない時代ですので、そこまでの日常でのイコライジングは不要と割り切っています(初期設定としての機能は待たせてあります)。

○ 結果として
寿命の長いオーディオ機器は、ディスプレイがどう変わろうともいい音を奏で続けます。
そして、そこの家の中心で歴史と文化を形作り、人と人を繋ぐものです。
一生をよい音ときれいな見た目で彩り、寄り添うのです。

○ 漆という選択
漆という選択は、当然のことながら制振だけが目的ではありません。
古くなったとき、くたびれてしまう素材と味がでる素材があります。
漆は味がでる素材の1つであり、飽きのこない高級品の輝きを持つとともに、その歴史の長さから輝きを維持する技術も確立されています。長く共にいる素材として、最適なものなのです。

そのために弊社では、熟練の漆職人、さらには産地と協力関係を結び、漆・樹脂混合仕上げや樹脂・漆混合仕上げではなく、純粋な漆仕上げをしています。これは、「仏壇の表示に関する公正競争規約施行規則」別表3によって定められています。

◯ 真空管という選択
真空管アンプならではの楽しみがあります。
半導体の音、真空管の音は違うものです。「かまぼこ型」などといわれ、低音も高音も出ていなかったのは昔の話。今は、音を殺しかねない強負帰還に依らずとも、きちんとハイ・サンプリング、ハイ・ビットの音に対応可能な広帯域の音の設計ができる時代です。そして、広帯域を追求しても、真空管の音は柔らかく、生活の中で聴き疲れしません。つまり、変な意味で凝りすぎない、自然な音なのです。
また、お買い求めののちに真空管を差し替えて音の変化を楽しむ。そんなことができるのも、飽きずに使える真空管アンプの特質の1つです。
付属するのは、かのエジソンの会社、ゼネラル・エレクトリック社製の高信頼真空管、5670です。アメリカの真空管黄金期の球で、信頼性、音質ともに十分なものです。
この高信頼管は1万時間程度の使用時間を期待されており、毎日2時間の使用でも14年近く使えるものです。
ですが、それに加えてウェスタン・エレクトリック社を始めとする他社製品に差し替えて、音の変化を楽しむのも楽しいでしょう。本機の回路は、バイアス調整等、一切不要です。ただ、経緯のよくわからない真空管も出回っておりますので、そこにはご注意ください。
差し替え可能真空管:他社製5670、2C51、396A、6n3など。

そして、真空管の差し替えは音の変化だけでなく、もう一つの意味があります。
増幅素子を、ユーザーが新品に替えられるということです。半導体アンプでは絶対にできないことで、これも長く使えるということに繋がる特質です。
つまり、一度の差し替えを予定するなら、30年近い製品寿命を期待できるのです。
○ パーツの選択
弊社製品は、安全性と長期使用を考え、コスト重視の会社ではできない部品選択を行っています。
・ 電源スイッチにはサーキット・プロテクタを使用しています。これは家庭での使用を前提としているからです。機器に異常があった場合、自動的にスイッチが切れるもので、ヒューズの交換が不要です。ブレーカーと同じものと考えていただいて問題ありません。コストは従来のヒューズより10倍以上にもなりますが、信頼性が高く事故も少ないものです。
・ コンデンサも耐電圧、規定使用時間に十分な余裕を持つものを選定し、容量も回路から必要とされるよりも多いものにしています。これも耐用年数を延ばすためです。
・ 抵抗は1本1本に至るまで消費電力を検討し、2倍以上の定格のものを使用して余裕を持たせた熱設計をしています。
なぜなら、部品の耐用期間を決めるのは稼働時の温度だからです。10℃上がるごとに部品寿命は2分の1になってしまいます。なので、球本体はヒーターがあるために温度を下げられませんが、本体シャシーは一日稼働させても手で触って温かいと感じる程度です。
・ 電源の整流回路にはチョークトランスを6つも使用しています。
重くコストも掛かるチョークトランスですが、低い直流抵抗による回路効率の向上、経年劣化による故障への強さ、高周波ノイズの低減、漏電等の事故の少なさに利点があります。
・ バランスコネクタ、6.3mmピンコネクタは、信頼性の高いNEUTRIK社製品を採用しています。
・真空管ソケットに至るまで、個々のバーツもすべてRoHS指令に適ったものを選定しています。
◯ 設計
・スイッチは右側です。昔の機器の電源スイッチは右側についていました。それは、電源スイッチには電源がつながっており、万が一の事故の際、左手より心臓に遠く感電の被害が少ないからです。近年、パーツの信頼性の向上や遠隔スイッチの導入、デザイン重視などのことから左側スイッチも増えていますが、弊社の顧客重視の基本スタンスの証明としてスイッチは右側に付けています。
・基本的にネジは見せません。真鍮製のマイナスのネジ等、デザイン上で見せるネジはありますが、構造としてはお見せしません。これは、不用意な分解等を避けるためです。
・電源ケーブルは外付けです。高音質な電源ケーブルを使用していただくことも可能ですが、本体出しの電源ケーブルは機器を運ぶときに踏みつけて転倒する原因になったり、なにかあったときに交換ができないなどの問題があるからです。

今回チャレンジする製品シリーズは、Crescetoと名付けました。
Crescetoとは三日月(満ちていく月)、成長、だんだん大きくなるなどの意味があります。弊社製品には、すべて月にちなんだ名を付けてきました。
◯ Crescetoシリーズの特長
ご説明してきた長寿命設計に加え……
・ハイレゾを超える広帯域、高いSN比とチャンネル・セパレーションを確保しています。
・高い性能は、弊社オリジナルの独自開発のSSVT Hybrid SRPP増幅回路(実用新案第3230880号)から生まれています。
・入出力にバランス端子の採用するなど、業務用機器に準じる構成。
・音響部分の配線には、純銀線を使用。
・すべてRoHS対応素材を使い、組み立ての全工程を国内で行っています。

始月とはすべての始まり。デジタル信号はアナログ信号に変換されることで、初めて耳に届き感動を生む音声信号になります。
始月は高音質トランス式DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)です。すでに弊社で完成しているモデルを、今回はCrescetoシリーズとして無垢材、漆仕上げの筐体に収めます。

デジタル音源が主流の時代において、もっとも重要なオーディオ機器はDACです。スマホやパソコン、テレビなど、すべてのデジタル機器にDACは内蔵されています。
しかし、それらは残念ながら最低限の機能に留まっています。電源すら考慮されていない、小さな小さなチップ1つなのです。
その一方で一台良いDACがあれば、すべてのデジタル機器をつなぐことができ、そのすべての音質が向上してしまうという利点があります。

◯ トランス式DACとは
今回、音質はオーディオマニアにも満足いただけるものを。そして、使用状況は家庭の居間を想定しています。そのために、トランス式を採用しています。
通常、デジタル回路からアナログ信号を取り出すのは、電流の変化によってです。
なぜなら、デジタル回路は0と1しかなく、電圧の変化としては取り出すことができないからです。なので、電流を流し出す口をたくさん設け、その開け閉めで流れ出す電流の量を変え、その変化をアナログ信号として取り出しているのです。
電流の量の変化は、抵抗によって電圧の変化に置き換えるか、オペアンプで電圧に変換するかです。これは電流電圧変換、IV変換と呼ばれています。
弊社は、このIV変換にトランスを用いています。
トランスはオペアンプと違って電源が不要です。そのためトラブルが少なくまた音質的にも優れています。ただし、鉄芯に銅線を巻き付けるという構造上、オペアンプとは比べものにならないほどコストが掛かります。数十円〜で済んでしまう他の方法に比べ、極めて贅沢な作りであると言えます。
もちろん、トランスならばなんでもいいとはなりませんので、このためのトランスは特注で巻いており、目の覚めるような曇りのなさ、滑らかさと同時に力強い音質を実現しています。
◯ 始月の仕様
形式 KDA-01

※注 仕様について以下の変更の可能性があります。
ヘッドアンプ淡月の電源スイッチによる連動機能の付け加え。

淡月とは春の朧月。寒さぬるむ温かさの中の冴えた月、それがこのアンプの音のイメージです。オーディオマニアにも満足いただけるクオリティで、使用状況は家庭の居間を想定しています。鮮度が高く刺激を抑えた自然な音です。
◯ なぜ、ヘッドアンプなのか
淡月は単なるヘッドホンアンプでもプリアンプでもありません。その両方の機能に加え、様々な環境に対応する機能を持っています。なので、DACのすぐあとに続く最初のアンプということで、ヘッドアンプとしています。
アンプとは増幅器、電気信号を増幅する機械です。今は小さなICチップ1つでも増幅ができる時代ですが、その質を問うとなれば、当然のように充実した電源、選ばれた増幅素子が必要になるのです。
・淡月は、無垢材、天然石、漆仕上げの真空管半導体ハイブリッド式ヘッド・アンプです。弊社開発のCRVT Hybrid SRPP(Current Regulator Vacuum Tube Hybrid SRPP)増幅回路(実用新案323088)搭載(回路名は銀座の録音スタジオ音響ハウスのエンジニア、須田淳也氏命名)。真空管の負荷を抵抗ではなく能動ICを使用することで、広帯域、低歪、低インピーダンス回路を実現しています。
詳しくは、「CRVT Hybrid SRPP回路とは」の項をご覧ください。

形式 KHA-01

◯ 淡月にはさまざまなモードがありますが、まずは……。

その上で、発注時のオプションで、*プリ・アンプ・モデル、*スルー・モデルの選択ができ、それぞれにさらに細かい設定が可能です。
これはオーディオが極めてプライベートなものであり、オーディオシステムをお持ちでない方、すでにお持ちの方でニーズと考え方が異なるためです。
*プリ・アンプ・モデル

電源スイッチオン時、入力された信号を前面ヘッドホン端子および背面の出力端子(RCA、バランス)に同時出力。電源スイッチオフ時に、入力端子の信号を背面出力端子(RCA、バランス)にスルー出力しません。
これにより、ヘッドホンアンプ機能に加え、オーディオシステム、AVシステムのプリアンプとしても使用可能です。
使用状況の概念としては、図のとおりです。

そして、このモデルの中でのオプション設定は以下のとおりです。

なお、ヘッドホン、イヤホンのプラグ差し込みによる背面出力切断機能はありません。なぜなら、接点が増えてしまい、音質的に不利だからです。
*スルー・モデル

このモデルは、電源スイッチオフ時、3系統の入力端子のうちの特定の1つの信号を背面出力端子(RCA、バランス)にそのままスルー出力します(図の場合はCDプレーヤーを想定しています)。

これにより、既存のオーディオシステムに影響なく置き加えることが可能なヘッドホンアンプとなります。また淡月に電源スイッチオン時は淡月とプリアンプの間の接続が断たれるため、プリアンプとしての使用はできません。


2系統出力・モデルは、家庭での使用に加え、同時通訳業務での使用を想定。
◯ マクアケ記念・オプション
なお、今回のマクアケ記念モデルとして、さらに外装にオプションがあります。
1. 金箔漆仕上げを漆黒塗りにするモデル(−1万円)。
2. トランスカバーの天然石を、群馬の陶芸家、石塚花弓先生の陶板にするモデル。+1万円
石塚花弓先生 ミシェラン2星ホテル、ゴ・エ・ミヨ掲載レストランL'Arbre、銀座資生堂FAROなどの器を焼かれている陶芸家(写真は先生の作品です。完成品のイメージ画像です)
https://www.instagram.com/hanayumi_i/

3. トランスカバーの天然石を、群馬の人気陶芸家、閑野淳先生の陶板にするモデル。+1万円
閑野淳先生 ゴ・エ・ミヨ掲載レストランL'Arbre、FAN × DALCUORE他、有名店の器を焼かれている陶芸家 (写真は先生の作品です。完成品のイメージ画像です)
https://www.instagram.com/hanayumi_i/

4. サイドウッドを、社内漆塗りから漆芸家 佐野圭亮先生の塗りにするモデル。+4万円
佐野圭亮先生 〈第4回日本和文化グランプリ〉優秀賞
貝仕上げのサイドウッドの試作品です。

(完成品のイメージ画像です)
5. サイドウッドを、社内漆塗りから漆芸家 吉沢真先生の塗りにするモデル。+3万円
吉澤真先生(写真は先生の作品です。完成品のイメージ画像です)
吉澤先生の吉澤指物店は群馬県産の天然素材にこだわり、手触りの良いものを作り続けています。群馬県庁での表彰トロフィーにも採用されるほどの評価を得ています。

彫り目を残した仕上げになります。

◯ 漆が音響機器と相性が良い理由
ヨーロッパで生まれたピアノは、良質な木材で作られ外見も木目調でした。日本に入ってきたピアノは、高温多湿に耐えるよう漆で黒く仕上げられました。昔の日本では、国内で初生産した自動車まで漆で仕上げていたのです。当然の成り行きでした。

良質な木材が不足しつつある中で、木目に欠点がある材でも隠して使える利点により、高級感のある黒いピアノは世界を席巻することになります。しかし、漆による仕上げは、楽器にとっては致命的に響きを失わせてしまうのです。そのため、ピアノの響板は黒く塗られず木目が見えています。
スピーカーも同じ経路をたどります。響きのよい良質な木材が枯渇する中で、各音響機器メーカーはMDFへ材料を切り替えていきました。そうなると、良く響くとは言い難いMDFの使い方として、箱を響かせるよりも響かせないように制振した方が、シミュレーションどおりに音を作れるのです。
このような歴史を考え、弊社では、共鳴・振動を抑制する漆による仕上げは、現代スピーカーに留まらず、音響機器全般にわたって最適な仕上げと考えているのです。
◯ 伝統工芸は漆だけではありません
古くから陶磁の世界で最高級品の1つとされている青磁には、貫入というヒビが全体に入っているものがあります。

これは飽きのこない装飾としての技法ですが、図らずもこの貫入によって振動は打ち消し合い、振動を他に伝えないのです。

弊社は、このような特性を活かしたものづくりもしています(実用新案登録第3225065号)。

他社で真空管を使う例では、真空管を使ったというだけのために、その特性を活かしていない例が見られます。単なるバッファ回路としてしか使っていないのです。ですが、今や文化財とも言える当時の真空管を活かしきらないのは、あまりにもったいないことではないでしょうか。
弊社では真空管回路をきちんと増幅回路に使用し、それもオリジナルの回路を採用しています。
この項では、淡月の音の秘密の一端である、CRVT Hybrid SRPP回路についてご説明します(実用新案323088)。これはこの増幅回路の説明であり、製品そのものの最終的特性を示しているわけではありません。
通常、増幅回路の素子は下図のようなグラフで表されています。
この図ですと、+1から−8までの数字が振ってある右斜め上に上がっている線が、等間隔で揃っているほど、音響再生にはよい真空管となります。ですが、どうしても右下に行くほど線の間隔は狭まってしまいます。
赤い線が真空管の動作を示していますが、この線は右下がりから水平までの角度でしか引けません。また、この傾きを水平に近づけるほど電源電圧が必要となることから、水平の場合には無限大の電源電圧が必要となってしまいます。なので、程々の傾きにせざるをえないのです。

赤い線が真空管の動作を示していますが、音声信号が±2Vで入力されたとき、-3Vの緑の線を中心に、+2Vで-1Vの青い線、−2ボルトで−5Vの青い線の間を行ったり来たりします。そして、同時に150Vを中心に103Vから190Vの間で増幅出力されます。
ということは、
150V−103V=47V
190V−150V=40V
となり、±2Vで4Vの入力でしたから47V+40V=87Vの出力になります。また、87V÷4Vで、21.75倍の増幅がされたことになります。
そして、47ボルトと40ボルトの差が歪みということになります。
なので、(47−40)÷(47+40)=0.08 8%の歪率の回路ということになります。

一方、CRVT Hybrid SRPP回路では、真空管の動作を示す赤い線は、真横に寝てしまいます。電源は無限大にできませんから、ICチップによって擬似的に水平線を作り出しています。
ということは、上図と同じ条件ですと、緑の線の150Vを中心に90Vから210Vの間に出力されます。
150V−90V=60V
210V−150V=60V
となり、±2Vで4Vの入力でしたから60V+60V=120Vの出力となり、120V÷4Vで30倍の増幅がされたことになります。
そして、(60−60)÷(60+60)=0.00 すなわちほぼ0%の歪率の回路ということになります。
つまり、この回路によって増幅率は高くなる一方で、歪率はほぼ0%に抑えられたことになりました。
また、斜め上に上がっている線は、右下に行くほど線の間隔は狭まってしまいますし、赤い線は右上がりには引けないので、これが理論的に最少の歪率の回路ということになります。

金箔貼り。
風のない密室で、息すら止めての作業です。

・黒漆仕上げと金箔仕上げの納品です。

・オリジナル基板が組み込まれます(イメージ画像です)。


・始月
形式 KDA-01

材質製造国 日本、アメリカ合衆国、中華人民共和国、中華民国、フランス、
保証期間 2年
・淡月


形式 KHA-01

材質製造国 日本、アメリカ合衆国、中華人民共和国、中華民国、フランス、
保証期間 2年

Q. 初期不良時を確認した時にはどうしたらいいですか?
A. 保証期間中であれば、お送りした箱に入れて送り返してください。完動品をお送りします。
Q.壊れてしまった場合はどうしたらいいですか?
A.保証期間中であれば、お送りした箱に入れて送り返してください。修理してお送りします。故障状況によって、修理は有償となります。
Q.音を聴いてみたいのですが?
A.10月25日から11月3日まで、群馬県吾妻郡中之条町で行われるイベント、「秋、酒蔵にて」において試聴ができます。
また、弊社試聴室での試聴も受け付けます。また、関東近隣であれば、持ち込み試聴も日程が合えば行いたいと考えています。他の地域でも、たまたま出張の予定と合うことも考えられますので、ご相談いただければと思います。

マクアケ様の尽力により、東京八重洲で2025年2月8日に開催された冬のヘッドフォン祭りにおいて、淡月を展示をさせていただきました。

その際のお客様の感想です。ただ、ヘッドフォンやイヤホンを用いての試聴は、お客様がどんなジャンルの音楽を聞いているのかすらわからないため、言葉の切り取りになってしまうのはお許しください。
「空間を描き出す能力が高く、イヤホンでも広がりを感じる」
「再生音が克明で、どんな楽器が使われているかがわかる」
「きわめて自然」
「極めて滑らかなのに、音が立っている」
「高い音が特に良い」
などなどでした。
ただ、無言のお客様でも、顔が輝いていたのはありがたかったです。
また、このイベントは別にプリアンプとしてのシステムに組み込み使用においても、
「パワーアンプが化けた」
「オールバランス接続のシステムを構築できた。アンバランスとの音の違いを実感した」
などのお言葉を頂いています。

・2026年1月28日に期間終了。
・プロジェクトが達成された場合、3月28日までに社内での検査体制を構築予定。
・製造に2ヶ月を予定しているため、完成後の検査ののち、4月1日から発送を始めます。
・5月11日までに、すべての発送を終える予定です。


技術系公務員として勤務 2017年3月退職
2017年6月、株式会社 Kitten Sound Atelier設立
当社は日本の伝統工芸と音響技術を融合させ、家庭の中心に置けるオーディオ機器を実現する会社です。科学技術に立脚し、オーディオにおける迷信を排し、感性を満足させるものをつくることを目指しています。
会社にする以前、オーダーメイドで製作していた頃から、美しいものを作るためにさまざまな芸術家、工芸家、職人と20年がかりで関係を結んできました。その過程で、伝統工芸を単なるキャッチーな宣伝文句にするのではなく、音作りの一環として取り入れるノウハウを積み上げてきました。 会社を立ち上げ、「製品」を作るようになってからも、それらのつながりを活かし画一的な工業生産品にとどまらないもの作りを続けています。 そしてこれらは、日本有数の録音スタジオ、音響ハウスのショップで扱われています。
また、弊社はさまざまな社会活動に協力しています。

高崎市公民館事業で、真空管アンプ組立講座

群馬交響楽団ゆかり喫茶店、「あすなろ」のスピーカーを聴く講座

高崎市染料植物園で、ラックカイガラムシの分泌物でできたSPレコードの音を聞く講座

群馬県立前橋工業高校でのスピーカーづくり講座
などなど。
リスク&チャレンジ
音質というものは、伝えようがありません。 国語的に美麗軸を並べても嘘っぽくなるだけかもしれません。なので、可能な限り試聴していただき、納得の上応援購入をしていただければと思います。 ※開発中の製品につきましては、デザイン・仕様・最大数が一部変更になる可能性もございます。 ※DACについては、上記の通り、仕様変更の可能性があります。 ※ご注文状況、使用部材の供給状況、製造工程上の都合等により出荷時期が遅れる場合があります。 ※本プロジェクトを通して想定を上回る皆様から応援購入を頂き、現在進めている環境から量産体制を更に整えることができた場合、正規販売価格が販売予定価格より下がる可能性もございます。 本文中に記載させていただいたスケジュールは、あくまでプロジェクト公開時点の予定です。応援購入の性質上、配送遅延のおそれがございます。原則として、配送遅延に伴う応援購入のキャンセルはできませんが、リターン配送予定月から3ヵ月を超えた場合には、希望者に限りキャンセルにて対応させていただきます。
サポーターからの応援コメント
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このプロジェクトはAll or Nothing型です。プロジェクト成立のためにはプロジェクト終了日の2026年01月28日までに目標金額が達成となる必要があります。
決済時に安心システム利用料として2.2%(税抜)がかかります。
インボイス(適格請求書):対応不可
【オプション】トランスカバー変更
10,000円(税込)
下記バージョンを変更することが可能です。
閑野 淳先生バージョン
【オプション】トランスカバー変更
10,000円(税込)
下記バージョンを変更することが可能です。
石塚花弓先生バージョン
【オプション】シャシー漆仕上げ:金箔飴色漆仕上げに変更
10,000円(税込)
シャシー漆仕上げ:金箔飴色漆仕上げに変更なリターンです
【オプション】サイドウッド仕上げ:天然木 吉澤真先生モデル 変更
30,000円(税込)
サイドウッド仕上げ:天然木 吉澤真先生モデルに変更できるオプションです。
【オプション】サイドウッド仕上げ:天然木 佐野圭亮先生モデル 変更
40,000円(税込)
サイドウッド仕上げ:天然木 佐野圭亮先生モデルに変更できるオプションです。
【Makuake特別価】始月:黒漆仕上げ
119,600円(税込)
完成した製品、始月1台
(一般販売予定価格 184000円の35%オフ)※送料込み
サイドウッド 天然木拭き漆仕上げ
【Makuake特別価】淡月1台 黒漆仕上げ
221,000円(税込)
完成したPSEマーク付き製品、淡月 1点
(一般販売予定価格 340,000円の35%オフ)※送料込み
※皆様の応援購入により量産効率が向上した場合、正規販売価格が販売予定価格より下がる可能性もございます。
※デザイン・仕様は変更になる可能性もございます。ご了承ください。
※ご注文状況、使用部材の供給状況、製造工程上の都合等により出荷時期が遅れる場合があります。
【Makuake特別価】 淡月始月セット
351,000円(税込)
Makuake特別企画 淡月始月セット
リターン内容 淡月本体1台、始月本体1台に加え、
「NEUTRIK社製コネクタ使用、オリジナル・バランスケーブル1mペア」
もしくは
「NEUTRIK社製コネクタ使用、オリジナル・アンバランスケーブル1mペア」
「Makuake(マクアケ)」は、実行者の想いを応援購入によって実現するアタラシイものやサービスのプラットフォームです。このページは、 プロダクトカテゴリの 「人生とともに過ごし育てるオーディオ。DACと真空管ハイブリッドヘッドアンプ」プロジェクト詳細ページです。