藍濃度具屋の新し挑戦『壳 (クー）』コレクション、世界に先駆け先行デビュー

『藍染の美しさ、魅力を多くの人に知って欲しい！』 そんな想いで台湾の藍染家が立ち上げた万年筆のインク・ブランド藍濃道具屋（レンノンツールバー）。　藍染色を基調にした定番色や、台湾の伝統、文化、風習を題材に生み出される季節限定インクは日本の万年筆愛好家の皆様に見出され、今や世界で支持されるインクブランドに成長しました。そんな藍濃道具屋の本社と工房拠点がある彰化（ジャンホワ）の課題解決のため、新しい素材開発に仲間らと着手しオリジナル万年筆を生み出しました。今回のプロジェクトでは、藍濃道具屋が新しい素材で自分達らしさ表現するオリジナル万年筆の紹介です。応援よろしくお願いします！

＊リターン品の配送完了期間中、jetsetter株式会社は日本における独占販売権を有する正規輸入代理店です。正規ルートとして日本で先行販売を行います。詳細に関しては、ページ下部のリスク＆チャレンジをご覧ください。

新しい挑戦は、地元の課題解決から。

藍濃道具屋の拠点、彰化（ジャンホワ）は、台湾最大級のアヒル飼育地であり、加工業者の集積場でもあります。台湾では鶏卵よりもアヒルの卵を加工して食べる習慣が強く、主に塩漬け卵の黄身を使った伝統菓子やちまき等に利用され、地元経済にとって非常に大切な基幹産業のひとつです。卵殻は本来カルシウムなどを豊富に含む資源で、地域経済を潤わせてくれる素材なのですが・・・・

中身が取り出された後、大量に発生する卵殻は今まで廃棄物扱いされ、処理コストや環境汚染（悪臭・水質汚染） の原因となっていて、今では廃棄物問題は地域環境の悪化や観光・生活環境へのマイナスイメージにもつながっています。

地元の課題解決に立ち上がった、頼社長と仲間たち。

彰化では、多くの若者起業支援が行われ、地域が抱える課題や問題を共有し、それらを解決に導くことに熱意を持った若いクリエーターやビジネスパーソンが集う機会があります。そんな機会の中で、藍濃道具屋の頼社長と意気投合した４人が「フラットな関係性で、それぞれが得意な領域で地元の課題解決に立ち向かおう！」とチーム『Crap Changer（クラップ・チェンジャー）』を立ち上げました。

クラップ・チェンジャーの最初の取組みが、今回の万年筆プロジェクトとなります。今まで廃棄されてきた鴨卵の殻に、水庫（ダムや貯水池）の底泥を混ぜ、注型、乾燥、研磨を経て、新たな命を吹き込めないか、試行錯誤を繰り返しました。

私自身も今年3月に彰化の彼らの拠点に赴き、打ち合わせに参加。主に、今まで彼らが試作を繰り返してきた、新しい万年筆の胴軸の素材に関して意見を伝えて来ました。日々の筆記や持運びに必要な強度を説明しながら意見交換を重ね、色々な刺激をもらった貴重な体験でした。

万年筆の表面は胴軸を握った際に感じる"手触り感"を大切にしたかったので、研磨の際にあえて卵殻の凸凹を残した状態のものをいくつか試作してもらいました。オンラインでの打ち合わせがあたり前の時代だからこそ、こうした場面ではリアルな打ち合わせが大切だと感じた時間でした。

難題だった胴軸の強度と軟度と、その間で。

卵殻や底泥はいずれも硬い素材だが衝撃に弱い。実際に彰化での商談のあと、帰国後最初に受け取ったプロトタイプのサンプルは割れてしまっていました。まだ胴軸内に真鍮製の円柱上のシリンダーを入れて補強していないとはいえ、やはり万年筆としての素材としては、もう少し検討の余地があると判断。

素材作りからプロジェクトを始めるということは、課題と向き合う時間になることを理解しないといけないことだと頭では分かっていましたが、地域課題解決に向けた新しい取り組みはなかなか思ったようには進みません。

何度も「普段使いの万年筆」としての硬度を再考して、アヒルの卵殻を細かく砕いて、泥底の素材を合わせて、樹脂を加えたり、それぞれの割合を変えたり・・何度も配合を試して、強度を確かめながらの作業は根気も必要でした。

試作品の制作では1本1本適正な素材の分量を測りながら、整形のために"型”に流し込みます。素材の個性と仕上がり具合。その間を、行ったり来たりの繰り返しの日々がしばらく続きます。

ある程度の柔らかさを保ちながら強度を確保できた素材に、補強のために胴軸に真鍮製のパーツを入れるため内側にスペースを確保します。この作業は熟練の職人さんに依頼。１つ１つの作業に、思わず息が止まります。

仕上がった胴軸は、首軸との接合面を手作業で整えていきます。「ここまで手作業で！」・・一から新しい素材を使うということは、大量生産ではないものづくりは"個性”をうみだしますがますが、同時に機械製造で生み出される均一感とは真逆にあります。手間はかかりますが、藍濃道具屋らしさが伝わる仕上がりになっていく過程は、少し誇らしくもあり嬉しく感じます。

胴軸の最終工程には、素材の補強ということで、表面に特別なコーティングを施こします。結晶化を安定させるためのもので、表面に塗って層を作るのではなく、素材に吸収する形での補強となります。今まで、みたことのない仕上げでしたが、これで素材自体の"手触り感”を残すことができます。

真鍮製のキャップや首軸には、液体の中に溶けたニッケルを真鍮の表面に少しずつ付着させていく方法で仕上げていきます。金属部位の仕上げは、あえて"風合い"を出すため、いわゆるツルツル・ピカピカにしていません。大量生産品にはない『表情』を1本1本の万年筆に持たせたいという思いを込めています。

ほぼ全工程が彰化の熟練の職人たちの手により進められています。素材だけでなく「今までにはなかった形で地域に貢献したい。」そんな想いで始まった挑戦は、地元の職人さんたちの意識も変える、大きな価値がああるプロジェクトだと感じています。

こうして藍濃道具屋とクラップチェンジャーの初めての協業から生み出されたのが『壳』シリーズ。新しく、今までにないスタイルの万年筆ですが、1本1本の個性を楽しんでいただける文具愛好家の皆さんに応援していただけると嬉しいです。

9月11日に発売になった人気専門誌「趣味の文具箱」の最新号でも2ページにわたり特集を組んでいただきました。「壳クー」コレクションと、特別に調色された「鴨生」と「化泥」のインクも含め、藍濃道具屋とクラップ・チェンジャーが表現しようとする彼らの世界観を感じ取っていただけたら嬉しいです。

商品紹介

No.1　初生（フォンヨン）

細かな卵殻が見受けられる中、グレーを基調とした『No.1初生（フォンヨン）』の色目は、素朴で実直な彰化地域の人柄を表しているようです。卵殻はフレーク状（欠片）になって混ざっているため、自然な個体差が生まれます。軸の太さや表情など1本ごとに異なる表情は他とは違う個性を放っています。

スチールペン先（EF/F/M/B ）　両用式　本体約139mm/収納時約146mm /胴軸経14.5mm

＊ハンドメイドのため、長さ・胴軸経・重さは個体差があります。

No.2　風詠（チーシェン）

白色を基調にしたNo2.風詠（チーシェン）の同軸には、彰化のアヒルの飼育場が集まる海岸線を吹く、風の流れを感じられるような模様が特徴的な仕上がりになっています。1本1本異なる彫刻アートのような仕上がりの風詠も所有欲がそそられます。

スチールペン先（EF/F/M/B ）　両用式　本体約139mm/収納時約146mm /胴軸経14.5mm

＊ハンドメイドのため、長さ・胴軸経・重さと色や表情には個体差があります。

プロジェクトの背景にある課題を投影した２つのインクの色

今回のプロジェクト用に特別に2色のインクをリターン用に仕上げました。どちらも台湾の課題解決を背景に生み出された色目です。（モニター環境により、実際の商品の色合いと多少異なってみえる場合があります。ご注意ください。）

【 鴨生（ヤーシェン）】

母鴨が全身の力を振り絞ったのち、丸くふくよかな卵はやわらかな稲わらの上にそっと落ちます。その完璧に滑らかな殻は、鶏卵のように真っ白ではなく、清らかで穏やかな淡い青緑色。まるで新しい命の誕生を祝福しているかのような色目です。

30ml 染料インク　

【 化泥（ホワニー）】

水は大山を流れ下り、数百万年もの岩壁を削り、打ち砕き、揉みほぐし、転がし、叩きつけます。やがて広大な湖にたどり着き、静かに沈み、降り積もり、幾重にも層を重ねていきます。それはやがて、大地に刻まれた時の物差しとなるのです。今回のプロジェクトの万年筆の素材となった水庫（ダムや貯水池）の底泥をイメージした色目です。

通常はイベントでの対面販売がメインの『魔幻命相館』インクコレクション。「３つのシーンを選び、進んでいくとインクとの偶然の出会いがある。」そんな藍濃道具屋の遊び心ある取組み。実は2025年12月から1月にかけて、新しい形での新装を予定しています。そこで、1人でも多くの日本の文具愛好家やインクファンの方々に『魔幻命相館』の存在を知ってほしい！」との頼社長からの強い要望もあり、今回リターン品の一部に加えました。

イベントでのインクとの"偶然の出会い"ではないですが、お好きな色であなたのインク・ライフを楽しんでいただければと思います。それぞれの色とインクの意味は、藍濃道具屋公式Facebook (https://www.facebook.com/Lennonink)にてお知らせしていきます。

スケジュール

・9月11日発売の趣味の文具箱　最新号Vol.75 号 にて 、今回の藍濃道具屋オリジナル万年筆『壳 (クー）』コレクション取り上げていただきました。（014-015ページ）

・9月20日（土）：プロジェクト開始

・10月30日（木）：プロジェクト終了

・11月中：リターン品入荷予定

・12月中：ペン先調整/検品を済ませリターン品発送予定

実行者紹介

【 Jetsetter株式会社　CEO　村雲　伸二 】

商社にて高級筆記具、機械式時計、革製品の国内市場に向けた営業、ディレクション、PR、販売員教育と合わせて欧米提携ブランド先企業に出向いて商品企画、品質管理、海外展示会サポート等、幅広い業務に携わる。その後、同商社を退職、jetsetter株式会社のCEOとして今まで培った人脈と経験をもとに「丁寧で上質な暮らし」に寄り添うこだわりのアナログ製品を台湾やイタリアを中心に世界中からセレクト、日本の百貨店や専門店などを通してみなさまに紹介しています。今回のプロジェクトでは、「地域社会と共に持続可能なビジネスを目指す」といういう藍濃道具屋の頼社長とクラップチェンジャーの仲間たちの理念に共感して日本からプロジェクトをサポートしています、新しい挑戦への応援よろしくお願いします。

【 藍濃道具屋 CEO 頼 正晃 】

2014年、台湾・淡水（ダンシュイ）にて藍濃道具屋（レンノン・ツール・バー）を設立。藍染家として年間多数のワークショップやイベントなどに参加。精力的に「藍染」文化を広めています。藍染の美しい色を一人でも多くの人に知ってもらうために台湾の若者中心に人気の万年筆インクをプロデュース。日本で火がついた藍濃道具屋の人気は欧米にも広がりを見せている。現在では洋服のリサイクル事業として着古したものを藍染をして新しくアップサイクルしりなど環境循環事業を視野に入れた取り組みにも力を入れています。今回、地元彰化の課題解決にクラップ・チェンジャーと協業したことが、今後の更なる活躍につながればと期待しています。どうぞ応援よろしくお願いします。

【 Crap Changer 】

クラップ・チェンジャーは、「捨てられるもの(=crap)を価値あるものへと変える (=changer)」という挑戦的な想いが込められた台湾・彰化に拠点を置く若手クリエイター集 団で、藍濃道具屋の頼社長が中心となり今回のプロジェクトが立ち上がりました。 「地域資源のアップサイクル」や「素材の再定義」をテーマに、サステナブル戦略立案家、デ ザイナー、彫刻家、ビジュアル企画家、写真家など多分野の専門家と協業し、廃棄物と見なさ れていたものを新たな形で蘇らせ、地域や社会に新しい物語と価値を生み出していまきます。

今回チャレンジする藍濃道具屋オリジナル万年筆『壳 (クー）』コレクションは、まさにその活動理念を体現する第一回目のコラボレーション・プロジェクトです。

＊クラップ・チェンジャーは「捨てられるもの（＝Crap）」を価値あるものへと"変える者"（=Changer）」という想いが込められたネーミングです。