手のひらに残るぬくもりを・・・ペットと共に生きる「かさこ地蔵さま」

大切な家族として、かけがえのない時間を共に過ごしてきたペットたち。

その存在は、私たちの心をあたため、癒し、人生を豊かにしてくれます。

かけがえのない家族が旅立つ。

その別れは言葉にできないほどの深い悲しみを伴います。

「ありがとう」

「また会おうね」

「ずっと忘れないよ」

そんな想いを、そっと形にして残せたなら——。

その願いから生まれたのが、小さなお地蔵さま「かさこ地蔵さま」です。

手のひらにすっぽり収まるその姿は、どこかホッとする安らぎを与えてくれ、

話しかけたくなるような、やさしい表情をしています。

静岡県焼津市の小さな工房で、伝統的な木目込み人形の技法を用い、

一体ずつ、心を込めて手作りしています。

お顔や体には「桐塑（とうそ）」を使用。

木の温もりを活かすため、白い胡粉はぬらず、自然なままの桐塑（とうそ）のお顔にしています。

木目込み人形とは・・・

江戸時代の京都で誕生した、280年以上の歴史がある伝統工芸品。

桐の粉としょうふ糊を混ぜた自然素材「桐塑（とうそ）」を使った技法で作られ、

お節句や縁起物としても用いられます。

「温もり」を感じてもらうため、

歴史ある伝統工芸木目込み人形の技法をもとに制作。

型から抜き上がったボディを丹念に紙やすりで磨き上げていきます。

ボディを丁寧に磨くことは、木目込み人形の作業にとって重要なことです。

表面を滑らかにすることで、綺麗に仕上がります。

この工程がしっかりしていないと、後の作業に影響が出ます。

桐塑（とうそ）を使って凹凸や溝を整えます。

これをしっかり行わないと表面が不均一になり、仕上がりが綺麗になりません。

滑らかに美しく仕上げます。

ボディが整ったら、「さらし」を決め込んでいきます。

「さらし」は木目込み人形にとって下着のようなものです。

溝の中にボンドを入れて着付けます。

余分な生地はハサミやカッターで切り、残った「さらし」も丁寧に溝に決め込みます。

衣装はインド刺繍を決め込み、華やかで可愛らしい雰囲気に仕上げます。

カラーは、ブルー・グリーン・レッドの3色からお選び頂けます。

※お顔の色味、インド刺繍柄には個体差が生じます。

お首に巻いたよだれ掛けは、カラーにあわせた水玉柄にしています。

かさこ地蔵さまの「傘」は、羊毛フェルトで一つ一つ手作り。

衣装にあったお花をデザインしています。

手にはお数珠を持たせます。

お腹の中は空洞になっていて、大切な想い出の品（爪・毛・歯・お骨など）を収めることができます。

蓮の花をモチーフにした台座は木工職人が制作。

「かさこ地蔵さま」を包み込むようなイメージに。

お仏壇のようにかしこまらず、

どんなお部屋にもやさしく馴染む佇まい。

「かさこ地蔵さま」は大切なペットを想う気持ちに寄り添うために生まれました。

元気な間は健やかな日々を見守り、

旅立った後は飼い主の心を癒す存在です。

人と動物の絆を形として残し、感謝と想いを込めてそばに置けるように——。

作り手自身も愛犬との別れを経験し、心に触れられるものをと願いを込めて手作りしています。

このお地蔵さまが、あたたかな記憶にそっと寄り添い、見守ってくれますように。

全体幅：約12cm

高さ：約12cm

奥行き：約12cm

※かさこ地蔵さまのみの場合

全体幅：約6cm

高さ：約11cm

奥行き：約5cm

昭和40年、叔母が趣味の店「美也比（みやび）」を開業しました。

木目込み人形を中心に、日本の伝統と美しさを届けてきた店です。

私は当時、幼稚園教諭をしておりましたが、平成25年に叔母が他界したのをきっかけに、幼い頃から親しみ、大好きだった木目込み人形の世界を引き継ぐ決意をしました。

木目込み人形は、今から約280年前の江戸時代中期に誕生した伝統工芸品です。特にお雛様として知られ、細やかな手仕事と優しい表情が特徴です。私はこの伝統を大切に守りながら、今の時代の想いにも寄り添う形を模索しています。

今回製作したのは、木目込みの「かさこ地蔵様」です。

現代では、ペットが家族の一員として大切にされており、別れの悲しみからペットロスに苦しむ方も少なくありません。私自身、そうした声を耳にし、何か心に寄り添える存在を形にできないかと考え、この地蔵様を作りました。

やさしい表情のかさこ地蔵様が、旅立った大切な存在を静かに見守り、悲しみに寄り添いながら、これからの人生にそっと寄り添う存在になってほしい――。そんな願いを込めて、ひとつひとつ丁寧に心を込めて制作しています。

伝統と現代の想いをつなぐ、新たな木目込みのかたち。

どうか皆様の心に届きますように。