30年後のヴィンテージ。奇跡の日本製「育てる服」100%児島産1950sジーンズ

「ヴィンテージ」をデザインする

30年後にただの古着ではなく「ヴィンテージ」と呼ばれる商品になるために、時を経てどういう風にエイジングしていくかを思い描きながら「育てる服」を製作してます。今回はマニア必見、1950sセルヴィッジジーンズを「育てる服」仕様にアップデートしました。まさに「一生モノ」です。
☆ヴィンテージ：製造から30年以上経過した古くて価値のあるモノ

1990年中頃にピークを迎えたヴィンテージジーンズブームが再来し、当時のヴィンテージジーンズが1000万以上の高値を付ける商品も現れるほどブームが再燃しています。
そのブームに便乗して日本が誇るデニム産業もまた盛り上がりを見せてます。当時のヴィンテージジーンズを彷彿させる精度の高いレプリカや復刻モデルの中でも、高価格帯の国産ジーンズが人気で、「インバウンド客を中心に購買に拍車が掛かってます。ここ最近ある人気ショップでは、入荷しても直ぐ売れてしまいサイズ欠けが続いてる状態です。

そんな状況を埋めるため国産ジーンズを生産しようとしますが、児島以外のデニム産地でもデニムの生産に最長2年待ちのメーカーもあり、ジーンズを生産する以前に生地のデニムすら入手困難な状況に陥っております。また、私が今回提案する100%児島生産のセルヴィッジデニムもしかり、生産ラインもキャパオーバーのため次回の生産の目処が立ず来春まで受注をストップしている状況です。

1950sのヴィンテージ(本物)は相当な余裕と覚悟がなければ中々手が出せないし、こだわり国産ジーンズすら入手困難な状況です。そこでアパレル企画者としてプロフェッショナルな角度から、「当時のクオリティを再現したい」、「このクオリティを多くの方に体感してもらいたい」と思いこのプロジェクトに繋がりました。限定数になってしまいますが、今回手に入った方は本当にラッキーだと思います。

1950年代は技術の進化や新しい付属が流通し始めた過渡期だったこともあり、この頃のヴィンテージジーンズは、美しいタテ落ち感などデニムの品質が良く、洗練されたディテールが存在する年代で、多くのブランドが真似るほど完成度が一番高い時代だと思います。　

迫力のある1950年代のヴィンテージジーンズ。

サカノシタノデニム新品から12ヶ月着用、コントラストが効いた綺麗な縦落ちが現れてきました。

憧れの1950年代のセルヴィッジジーンズを目指し、まずは当時の代表するディテールを忠実に再現。

ネームや付属も長期プランで日々のエイジングを楽しめるように、当時のデザインや製造工程、原材料も再現した、こだわりのオリジナルクオリティを使用。

サカノシタノデニムのプロトモデルをリジット(新品)から着用12ヶ月。本物(1950s)のヴィンテージのようなタテ落ちやフェード感が現れてきました。

インディゴ染料の濃い部分が残り、縦落ち部分とのコントラストが綺麗に表現されるので、程度の良い当時のヴィンテージと比べてもエイジングに関してはサカノシタノデニムの方がいい落ち方をしていると思います。
また自分なりのエイジングを楽しめるので、エイジングプランを立てるなど、只服を着るだけではなく目的や目標を持ち、日々のルーティーン化することも可能です。さらに着用する度に知らず知らず愛着が湧き、幸福感が増して行くのも魅力の一つです。

本格的なヴィンテージスタイルはユニセックスで楽しめます。女性も着用できるように小さいサイズを作成しました。

モデル:身長154cm
デニムジャケット(インディゴ/リジット)着用サイズ：サイズ1
フィット感：着丈・袖丈1サイズくらい大きめのオーバーサイズで着用

ジーンズ(インディゴ/リジット)着用サイズ：サイズ03
フィット感：ウエストは余裕があり、ヒップや渡り(太もも)〜裾にかけてゆったりフィット

幻のシャトル織機(TOYODA GL3)と匠の技術で1950年代のXXデニムを精巧に復刻。

30年後に「ヴィンテージ」と呼ばれるクオリティを

1950年代のXXデニムに憧れ当時の製法に近づけて製作。触ったことのない初めての感触、脚を通す度に心を豊かにして、日常をランクアップさせてくれる肌触りと日々表情を変え、洗う度に風合いが良くなる究極の30Vintageデニムの魅力をご紹介します！

ジーンズ好きには周知の内容ですが、1946〜1966年まで某有名ジーンズブランドがデニムに最上位の品質を表すXX(EXTRA EXCEEDの略)をつけて販売していました。その中でも50年代のデニムの完成度が高く、細かな凹凸のシボとタテ落ちやフェード感などクオリティの高さが際立ちます。またこの当時のオンスは12.5〜14ozと言われるミッドウェイトです。

画面左が1950sヴィンテージデニムの通称XX、右が今回使用するサカノシタノデニムで開発した100%児島産・30Vintageデニムです。シボの凹凸感やフェード感が見間違えるくらいそっくり、オンス数も13.6ozと想定内に仕上がりました。
この1950sのXXデニムを目指して再現された究極の30Vintageデニムが簡単に真似ができないこだわり二点をご紹介します。

①幻のシャトル織機

100%児島産の「30Vintageデニム」を製織しているヴィンテージシャトル織機の種類がとにかくヤバい！

1950sの美しいタテ落ちを目指すために選ばれたシャトル織機が、豊田自動織機G型の中でも初期型で幻と言われている” TOYODA GL3 ”になります。
TOYODA GL3は製造年が1964年のため、目標とする1950年代当時のクオリティに近付くはずです。

児島地区では（株）ショーワ様のみがこのTOYODA GL3を保有しています。
残りは井原地区の機屋さんが数台所有しているだけです。とても希少な存在でシャトル織機の”絶滅危惧種”に値します。

実際この織機で製織した結果、タテ落ちや生地の凹凸感が1950sのヴィンテージジーンズにとても近い風合いに仕上がることが分かりました。
この凹凸があることで細かなタテ落ちが作られるんです！　更に生地を洗うと凹凸感がハッキリと確認できます。

1時間でたったの3.5m

この超ヴィンテージシャトル織機TOYODA GL3は、通常のシャトル織機よりも製織スピードが遅く、1時間でたったの3.5mしか織ることができません。
1反(50m)を製織するのに1日では終わらない、またキズや織機の故障などが原因で通常の生地に比べて生産に時間が取られます。
・良く言えば、ゆっくり丁寧に負荷を掛けずに立体的な生地に仕上がる。
・悪く言えば、生産効率が悪く生産者の負担が大きい。

②染色

100%児島デニムのロープ染色技術が半端ない！

国内で稼働するロープ染色機は数台しかなく、そのうち児島地区では（株）ショーワ様が所有してます。

こちらのロープ染色はただのロープ染色ではありません！！（株）ショーワ様は2009年プルミエールヴィジョンでウールデニムを発表しハンドル賞を受賞するなど、綿素材以外のウール、シルク、ナイロンなどでロープ染色を成功させたことで「奇跡のロープ染色」と呼ばれ技術の高さが窺えます。

30Vintageデニムを設計して頂きました（株）ショーワ・テキスタイルデザイナーの片山満輝さんに、生産工程のこだわりについて質問をぶつけてみました！

①TOYODA GL3
質問：幻のシャトル織機TOYODA GL3のメリット、デメリットを教えて下さい。
回答：メリット：GL3の織機で製織した生地の風合いの良さがメリットと言えます。革新織機と呼ばれる大量生産に向いた織機では出せない風合いが出せるのが、シャトル織機の特徴です。そのシャトル織機の中でも初期型のGL3はスピードが遅く、他のシャトル織機（GL8、GL9など）と比べても生地の表情やタテ落ち感などが良いのが特徴です。
デメリット：生産スピードの遅さ、キズの出やすさなどが挙げられます。織機の回転数を出来るだけ落として製織することで風合いは良くなるのですが、生産量は各段に下がります。16時間/日の稼働時間で55ｍを織り上げるのがやっとです。あとは、機械の故障が多く部品の調達や修理に苦労しています。また、織機1台1台の癖が違うのでその台に合った調整をしていかなければなりません。

②奇跡のロープ染色他社との違い
質問：奇跡のロープ染色と呼ばれてますが他社とのロープ染色の違いと御社の特徴を教えて下さい。
回答：ショーワのインディゴロープ染色はインディゴ染料100%で染めていて、硫化染料など他の染料は混ぜていません。奇跡のロープ染色という謂れはウールデニムの開発がきっかけで、そのあとシルクデニム、ナイロンデニムとインディゴ染料では染まらない素材の染色に成功した事によります。インディゴの染液はアルカリ性で、ウールやシルクなどの動物性たんぱく質でできた繊維は溶けてしまって染める事ができませんでした。それをショーワは独自の染液を開発してウールなどの繊維をインディゴで染める事に世界ではじめて成功しました。
片山さんありがとうございました。改めて30Vintageデニムの生産工程の優位性を感じ取れたと思います。

「ヴィンテージ」をデザインする

30年後にただの古着ではなく「ヴィンテージ」と呼ばれる商品になるために、時を経てどういう風にエイジングしていくかを思い描きながら「育てる服」を製作してます。今回はマニア必見、1950sセルヴィッジジーンズを「育てる服」仕様にアップデートしました。まさに「一生モノ」です。

「育てる服」には、着れば着るほど日々のエイジングにより、シワやアタリなど服の表情を変える様が美しく素敵なものに変化するというデニムに似た価値観があります。これは無意識の内に日本人が持つ独特の美意識「侘び寂び」に通じているのだと考えます。また、着用する度に愛情が湧き、着用する度に幸せな気持ちになります。この無限ループが生まれ着用頻度が上がり幸福度が増します。

「育てる服」
①生地・付属はエイジングを楽しむための工夫がされた一生モノを使用。
②流行に左右されない定番的なデザインやサイズ感。
③愛着が湧き、長く大切に扱うことで大量廃棄が軽減されるという思想。
④着用頻度の高さを考慮した耐久性の高い縫製仕様と着心地の良いパターン設計。
⑤100%JAPAN MADE(純日本製)

丁寧で細かく記載された縫製仕様書を作成することで、縫製工場とのコミュニケーションが良くなり、オペレーションを円滑に回すことができます。その結果、縫製ミスが少なくなり商品クオリティが上がります。

新たなディテールが追加されました。従来のジーンズはフロントポケットの容量は大きいですが、スマホを入れたら横向きになり収まりがとても悪く、そのことを気にした経験があると思います。
またプライベートで男性はバッグを持たない人が多いため、ポケットにスマホを入れる方は多いと思います。因みにプロトモデルを育ててる最中の6ヶ月後に、フロント右ポケット袋に穴が空いちゃいました。そんな状況を打開するために開発された”スマポケ仕様”です。

スマホが縦にすっぽり収まり固定されるため、スマホを収納しても快適に過ごすことができます。また、新しいディテールを無理やり付けた感じもなく、見た目は普通のジーンズなので見た目も問題ありません。
30年後には「当時はスマホの普及により2025年製〜スマポケ仕様が追加された」などユーザー間でディテールの誕生理由を共有したり、ヴィンテージの1ディテールとして紹介される場面など思い描き新ディテールを考案しました。

リジット(新品)に洗い加工を加えた新商品のヴィンテージウォッシュバージョンです。

製品洗い加工も勿論児島地区で行いました。ただ洗うだけではなく、手作業により細かなアタリやヒゲなど世界屈指の加工技術で、着用期間を週3〜4日ペースで2年間着用したと想定した場合のフェード感をイメージして加工しました。

☆右ポケットは着用の度に財布を入れていた設定のアタリ感をイメージしております。

新色の先染めブラックが追加されました。後染めのベタッとしたブラックではなく、墨黒からグレーがかった経年変化が楽しめて、インディゴ同様にエイジングの過程で繊細なタテ落ちを表現します。

元々ブラックジーンズは1986年ごろに誕生したと言われており、デザインや縫製仕様も現行に近いモデル、またデニム自体セルヴィッジが無いため革新織機で製織されてたと推測できます。そのため立体感は少なくまたタテ落ちも鈍いです。今回使用するブラックデニムは1950年代を目指したデニムを再現しているため抜群のフェード感と風合いに仕上がってます。

インディゴ同様に、世界屈指の加工技術で、着用期間を週3〜4日ペースで2年間着用したと想定した場合のフェード感をイメージしました。☆右ポケットは着用の度に財布を入れていた設定のアタリ感をイメージしております。※デザイン、パターン(型紙)はインディゴブルーと同じものになります。

1st TYPEデニムジャケットは1936〜1952年まで製造されいたため、ジーンズと同じ1950年代の復刻デニム生地を使用していることもあり、1950年代のモデルを参考に製作しました。カフスボタンは内側にデザインされて、カフスとウエストベルト巾は40mmと細めに設定されています。因みに1953年以降2nd TYPEに切り替わるタイミングでカフスボタンは外側に位置され、カフスとベルト巾も45mmに変更されます。

シンチバック：針付きヤスリ仕様(47バックルタイプ)、レッドタブ：レーヨン素材(シャトル織機タイプ)、イエローステッチ：UJコアなどヴィンテージ感満載の付属＆ディテール。

現状の製品SPECが記載されたSPECネームがヨーク裏に縫い付けられています。スマホやPCのように常に製品の仕様や生地がアップデートされる度に数値は変更されて行きます。※特別リターン商品はパンツご購入いただいたサポーター様のみご購入いただけます。

今では国産アパレルに巡り合うことが奇跡なくらい国内生産率は減少の一途をり、海外生産との価格競争や後継者不足などの問題を払拭できず、1990年50.1%→2022年1.5%にまで減少。

表記ではMADE IN JAPANと日本製を一括りにされますが、その中身(製造過程や内容)は様々です。やっと日本製に出会えたとしても、その商品は本当に満足の行く日本製ですか？

日本製は高価な商品が多いです。当たり前なことですが日本人の賃金ベースで縫製、加工、物流、販売する為、東南アジアで生産された商品に比べて高価になります。
またこの奇跡の日本製の中には種類があり品質もピンキリのため内容を確認できないと満足度が左右される場合があります。

下記図のように一つの事例として、工賃の安い海外の縫製工場で9割以上を縫い合わせた後、国内に入れて縫製工場や加工場で最終の仕上げをすれば日本製になります。もし安価な日本製を見かけたら、大変な企業努力の賜物か上記事例の可能性が高いと考えられます。

上記事例のような造り方の日本製を省き、純粋に国内で生産した「純日本製」はもしかすると1%無いかもしれません。
※因みに純日本製とは下記図解のように企画・設計から製造、物流、販売まで全ての工程を日本でおこなった製品を指します。

サカノシタノデニムは100%国内プロダクトの日本製、更には日本のジーンズ発祥の地100%児島製になります。
またネームやボタンなど付属品も全て、原料からこだわり尽くした国産品を使用しているので細部の細部まで国産プロダクトを心がけております。

これほど国内の縫製業が大変な時に、敢えて日本製をこだわる理由が二点あります。

①サプライヤー様への恩返し
縫製の品質だけ求めるなら海外製品で質の高いものはいくらでもありますが、私が日本製にこだわる理由は以下になります。
まず一つ目は、今までモノづくりの部分で各産地のサプライヤー様から各産地の特色や色々な知識、また技術などを学び成長させていただきました。まずは今まで大変お世話になってきたサプライヤー様へ恩返しがしたいです。

②日本製の価値
二つ目は日本人は古来より「ものを大切にする精神」を大切にしており、この精神はものづくり文化やサステイナブルな技術の発展に影響してきました。
自然と共存共栄の精神が根底にあり、繊細さや緻密さ、優しさや丈夫で長持ちなどの価値観が育まれています。
このようなことから日本人ならではの真面目で丁寧、配慮の行き届いたモノづくりをプロダクト全般で垣間見れるからです。

この二つの価値があれば、大切に少しでも長く着ていただける→大量廃棄を軽減出来るにつながると信じて、皆様に愛される服を作りたいと思います。

生地メーカー/株式会社ショーワ

株式会社ショーワは創業1905年と100年以上の歴史を持ち、世界中でデニムの聖地と呼ばれる岡山・児島にて染め、織りから仕上加工までを一貫して行っているデニム製造メーカーです。

デニム産地の所謂作業着をイメージさせるゴツいデニムのみ生産しているメーカーではなく、細番手でインディゴロープ染色を可能にしたり、パリで開かれる生地見本市「プルミエール・ヴィジョン」にてウールデニムを開発し「ハンドル賞」を受賞するなど自社の強みを活かした企画が魅力的です。

縫製工場：ACTIVE

世界中が注目しているデニムの聖地岡山県・児島は産地内で生地から縫製まで完結出来てしまう国内でもとても珍しい生産背景を持つエリアです。
二本針の巻き縫いや環縫を多用するワーク系に特化した縫製が得意な地域の為、製品洗いの加工場や特殊な刺繍加工場などとの連携が密に行われるなど、各々の役割が明確に分業されているので地域での協力体制がしっかりしているように感じます。

通常の「 縫製 」だけを請け負う縫製工場ではなく、企画、デザイン、パターン、カッティング、縫製、加工と製品を作るためのすべての工程をハンドリングすることが可能な「メーカー」としてのフレキシブルなソーイングカンパニーです。

※製品洗い加工商品は寸法表と異なる寸法で上がる可能性がありますのでご了承ください。

※製品洗い加工商品は寸法表と異なる寸法で上がる可能性がありますのでご了承ください。

男性モデル：身長174cm
着用サイズ：サイズ3(インディゴ/リジット)

女性モデル：身長154cm
着用サイズ：サイズ03(インディゴ/リジット)

※製品はデニム生地になりますので縦方向に約4cm以上、横方向に3cm以上縮む場合もありますのでご了承ください。
サイズ選びの際は寸法表を要確認の上ご選択ください。

男性モデル：身長174cm
着用サイズ：サイズ3(インディゴ/リジット)

※製品はデニム生地になりますので縦方向に約4cm以上、横方向に3cm以上縮む場合もありますのでご了承ください。
サイズ選びの際は寸法表を要確認の上ご選択ください。

日本国内を生産地とし、現地のサプライヤー様と連携し、30年後にただの古着ではなく「ヴィンテージ」と呼ばれる商品になるために、時を経てどういう風にエイジングしていくかを思い描きながら「育てる服」をテーマに”一生モノ”と呼ばれるクオリティのモノづくりを目指すアパレルブランド・サカノシタノデニムを展開しています。

「育てる服」は着用する度にエイジングされる表情や感触を楽しむことで、愛着が湧き幸せな気持ちになれるモノづくりを目指して製作しています。
そのため生地や付属も特別な素材や製法にこだわり、一からオリジナルで製作しています。