今回のプロジェクトは、 「小径曲げ技術」によるデザイン性とバネ性をフルに活用して作った パームレスト付きのマウスパッド です。キーボードを打つ際にも、手のひらと手首の間あたりを固定できるパームレストがあると、楽に長時間の作業が行えます。それと同様に、 マウスを使い続けても疲れないマウスパッド を作りたいと考えました。

　私たちの会社、ストーリオは、本来曲がりにくい堅い無垢材を、小さなアールで曲げることができる 「小径曲げ」技術 を開発。その技術を使うことで、従来の木工品のイメージを変えるほどの、 シャープで機能的なデザイン製品 を作っています。

　複雑な曲げによる、 無駄の無いデザイン の他、ポリマー加工で強度を上げつつ、小径曲げを行うことで、 木が驚異的なバネ性を持ち 、クッション的な機能や、開閉時の利便性などを持つ木工製品も可能です。それらの技術は、名刺入れや万年筆ケースなどに結実して、多くのお客様に使っていただいています。

※万年筆ケースは本プロジェクトのリターンには入っておりません。

　ポイントになるのは、曲げ加工でクッション性を持たせた パームレスト 部分。ここに手首や手のひらを置いて作業すると、楽なのはもちろんですが、手首が固定されるために、 マウスを持つ手に力が要らず、ポイントしたい場所にカーソルを動かすことができます。 また、大きなディスプレイなどを使う際の、マウスを持ち上げては下ろす作業も、とてもスムーズ。 マウスの上げ下ろしが楽なので、狭いスペースでも自在にマウスをコントロールできます。

　パームレスト付きのマウスパッドというアイディア自体は、それほど珍しいものではありません。実際、いくつもそういう製品はあります。しかし、どれも長く使っていると手首が汗ばんだり、くっついたりしてしまいます。また、パームレストも低めのものが多く、ただマウスを操作するだけなら楽なのですが、上げ下ろしの際には結局パームレストから手を持ち上げなくてはならないものがほとんどでした。

　パームレストが木でできていれば、 サラッとした使いごこちが長続き するのではないかと考えたのが、開発のきっかけでした。

しかも、 パームレスト部分にクッション性 を持たせれば、さらに快適になるに違いないと考えて、試作品を作りました。作ってみて分かったのは、思った以上にマウスパッドの幅が必要ないということでした。パームレストで手首が安定すると、マウスを必要以上に左右に動かすことなく、スムーズに画面の端から端まで動かすことができます。おかげで、 マウスパッドを置く余裕がほとんどない、私のデスクでも使うことができるようになりました。

　パームレストの角度や高さ、クッションの柔らかさなどは、多くの人たちに試用してもらって微調整していきました。奥側を少しだけ曲げて、手前に向かって下がっている構造にしたのは、手首を固定していると、奥に行くほどマウスが指から離れてしまう分を補正するためです。この角度のおかげで、 奥も手前もスムーズに動かせます。 またクッションの構造上、パームレストの奥側が開いているので、 マウスを手前ギリギリまで持ってくることができます。 これも、曲げ木で作ったから可能になった部分です。

　今回のマウスパッドにも、とても魅力的な木目が入っています。もちろん、天然の木から採っているので、写真のように色々な木目や木肌がありますが、左の板に出ているのは、ギブソンのレスポールなどで使われている、いわゆる「トラ杢（トラ目）」です。印刷や合板と間違えられたりするのですが、この木目をたっぷり感じられるのも、木材を広く使うマウスパッドの面白さの一つだと考えています。

　クッション部分の下部にはすべり止めが貼られています。実際に使っていただくと分かるのですが、ちょうど手首の重さがかかる部分になっているので、使用中にマウスパッドが動くこともありません。また、やや角を落とした加工や、キーボードの脇に置いたときのサイズバランスなど、細かいところも見ていただけると、色々発見があると思います。

　色は、ナチュラルと黒染め。そして、この Makuake限定色として青染め を用意しました。机の上の雰囲気に合わせてお選びください。このようにキレイに染まるのも、新鮮なイタヤカエデの特長です。 塗装と違い、色が剥げることもありません。
　パソコンの前に置くのによく似合うようにデザインしましたので、いわゆる木工品に比べると、かなりクールな印象かと思いますが、使ってみると、 夏は涼しく冬は温かい 、昔ながらの木工製品です。そのギャップも含めて、ご愛用ください。

　クッションの強度 に関しても、新潟県工業技術総合研究所にて、 １０万回以上の疲労試験 を行い、上図のように劣化が起きていない事を確認しています。その後公開テストも含め、100万回の疲労試験まで完了。 木材の概念を超える十分な強度 を確認しました。

　使っている木は、地元新潟県の糸魚川市雨飾山麓近郊でとれる樹齢100年のイタヤカエデです。本来は薪をとるための里山なのですが、薪の需要がなくなり放置されていました。イタヤカエデはこれ以上大きくなると、木自体が朽ちてしまい、二酸化炭素を放出します。

　それらの木を伐採し、内部が変色したりカビが生えたりしない内に 素早く製材 します。そして乾燥させ、ポリマー処理して 強度と美しい木肌 を確保します。

　放っておくと、朽ちてしまう広葉樹ですが、 雪深い中で長い年月をかけて育った木 は、 木肌が白く染めたときにとても美しかったり、長い時間が思い掛けない綺麗な木目を生み出して いたりするので、加工の仕方や使い方で、とても魅力的な製品に生まれ変わるのです。
　私たちは、各業者と協力して、 木の選定から製材にも関わり 、その木材に適した製品を作るよう心がけています。それは同時に、 山師や伐採士、製材所が持つ技術と文化の継承 に繋がると考えています。

サイズ ：　巾13×長さ24×高さ約3～3.5cm
パームレストストローク ： 約1～1.5cm
重さ ： 約100g
材質 ： カエデ無垢材（新潟県糸魚川産）。自然の木材の為、木目に個性あり。
強化処理 ： 木の内部にポリマー含浸及び、曲げ加工による変性処理により強化。
カラー ： ナチュラル、黒染め、青染め（限定色）　
　　染色のため色剥げ無し。自然の木材のため色の染まりは個性あり。

品質保障 ： 製品発送後1年間、正常使用において支障が出た場合、修理または交換。
使用上の注意 ：自然の木材です。充分な強化はしていますが、下記ご注意下さい。
・高温高湿環境下での保管・使用は避けて下さい。歪みの原因になります。
・故意に強く曲げたり、割るような力を加えないで下さい。

※撮影にはサンプルを使用しているため、実際のお届け商品は形状が一部異なる場合がございます。

Q1：成形合板や曲げわっぱ、トーネット曲げとは、違う曲げ技術ですか？
A1：違います。無垢材のポリマー強化と特殊条件での複合技術で曲げています。詳しくは社外秘になりますので、ご了承下さい。

Q2：製造国は？
A1：材料・加工・組立の全てを新潟県内で行っています。

Q3：マウスの滑走感は？
A3：革や布製より滑りやすく、金属製より止まりやすい感じです。CAD操作や雑誌等編集作業に合わせて、磨きや塗装を調整しました。

　実行者ストーリオ（株）は、ユーザーがデザインされた家具などのスケッチを元に、プラモデルのようなキットに仕上げて販売する「StorioDesign」を運営している会社です。

　従来の精密木材加工「StorioWorks」に加え、木材の新たな加工法の開発に成功し、曲げ木製品のデザイン・製造販売「AvanWood」を始めました。

　今回のご支援によりこのマウスパッドの量産に取り組み、スタイリッシュで快適なデスク環境を皆様にお届けしたいと考えています。

ご支援、よろしくお願い致します。