2020年、東京――。
「見えない」という壁を乗り越えたアスリートたちが、世界中から東京へ集まってきます。そのビッグイベントを前に、私たちは一本の映画をつくろうとしています。

ある一人の若者が、緑内障によって失明し、それでもブラインドサッカーと出会い、仲間と出会い、生きがいを見つけてゆく……。そんな実話を基にした物語です。

■カバーイラスト
※文部科学省推薦図書　高橋陽一先生

私たちは８年前に、『サッカーボールの音が聞こえる』という一冊の本と出会いました。この映画化に向けて、これまで数々の映画製作会社とともに動いてきたのですが、製作費の問題により、どうしても実現できずにいました。

けれども、私たちに最後のチャンスが訪れました。2020年東京でのビッグイベントを控え、社会の関心が少しずつ多様性に向けて動きだしている今なら、たくさんの人々が、この映画化に力をお貸しくださるのではないか。絶望から始まった、とてつもない希望の物語に、共感してくだるのではないか。そう思えたのです。

この映画化プロジェクトに集まった私たちは、さまざまなバックグラウンドを持つ、映画に関しては素人の集団です。専業主婦、サラリーマン、OL、フリーランサー、経営者……。私たちは、この『サッカーボールの音が聞こえる』と出会い、大きな希望と勇気をいただきました。

どんな絶望だって、乗り越えられる――。そう気付かせてくれて、私たちの人生にエールをおくってくれたこの物語を、こんどは私たちから、まだ見ぬ誰かに届けられないだろうか。しかも、より多くの方々と一緒に感動できるよう、一流の映画製作スタッフが製作し、素敵な俳優さんに演じていただける、エンターテイメントとして映画にしたい、心からそう願っているのです。

私たちのミッションは、１千万円をつのり、映画製作へ向けての第一歩を踏み出すことです。みなさまの「想い」を、出演者や、配給会社や、出資者や、スポンサーに感じていただき、これまで映画製作のプロたちが断念してきたプロジェクトを、みなさまと一緒に実現させたいのです。

不可能を可能にする――。
そう、失明して自室に引きこもりながらも、もう一度立ち上がり、ブラインドサッカー日本代表選手として活躍しただけでなく、初の日本選手権大会開催という新たな夢を実現させた、この物語の主人公のように。

プロジェクト名誉会長　北澤豪（日本障害者サッカー連盟会長）

応援団長　落合啓士（元ブラインドサッカー日本代表主将）

アンバサダー：杉山愛（元プロテニスプレーヤー）

日本ブラインドサッカー協会事務局長の松崎氏（左）と三笠宮瑶子さま（右）

ここまで、夢物語を語ってきたわけではありません。この作品の映画化へ向けて、私たちはすでに始動しています。私たちの活動に賛同し、映画化実現へ向けて、一緒に動いてくださっている方々がいます。

藤井裕也　監督
『クロスロード』『クロスロード～声なきに聞き形なきに見よ～』（出演：舘ひろし・竹中直人・平泉成・神田正輝）
『終の棲家』（出演：桐谷美玲）、『山田顕義物語』（出演：山田涼介・渡哲也・泉ピン子）
『本家のヨメ』（主演：岩下志麻・ビビアン・スー・高岡早紀）など作品多数。

平山譲　原作
『ありがとう』（講談社、映画化され、東映系全国ロードショー、出演：赤井英和・豊川悦司・薬師丸ひろ子）
『ファイブ』（幻冬舎、ドラマ化され、NHK新春スペシャルドラマで放映、出演：岸谷五朗・高島礼子・筧利夫）
『片翼チャンピオン』『還暦少年』（ともに講談社）、『４アウト』（新潮社）
『パラリンピックからの贈りもの』（PHP研究所）など著書多数。

守口悠介　脚本
『名前』（直木賞作家道尾秀介原案を津田寛治・駒井蓮ダブル主演で本年度映画化）
『きらきら眼鏡』（主演：金井浩人、池内千鶴、本年度公開の話題作）
『ラオス　竜の奇跡』（日本ラオス国交60周年記念作品）
その他テレビドラマ『相棒』（テレビ朝日）、『世にも奇妙な物語』（フジテレビ）など作品多数。

2010年に上梓した『サッカーボールの音が聞こえる』は、障害者の物語ではありません。あたりまえの若者が、耐えがたい苦しみや悲しみに直面したとき、どうすれば、もういちど、新たな一歩を踏みだしてゆけるのか、その過程を描いた実話です。

そんなブラインドサッカーの始まりの物語に共感してくださった若者たちが、2020年東京へ向かって、日本ブラインドサッカー協会公認の映画を、たくさんの人々と一緒につくりたいと動きだしてくれました。若者たちの「思い」に、私は本作を託しました。

本作を通じてブラインドサッカーの魅力や可能性をひとりでも多くの方々に知っていただき、2020年の会場が満員になり、日本代表はもちろん、他国の選手たちや、それから、まだ、病室や自室で絶望のなかにいる人々へ、エールをおくれればと、夢に描いています。