ファッションアイテムの中では買いやすくコーディネートにはかかせない、足元の数センチのオシャレを楽しむことができる靴下。だけどやっぱりタンスには溜まっちゃうし消耗品だからわりと短期間で棄てられてしまいます。廃棄衣料に占める靴下の割合は多いです。

そんな靴下をすべて土に還る素材で作りました！

コットン、サトウキビ、微生物が食べるナイロン

靴下を作るのにはこのような糸を用います。

①表糸（全体に使う糸、表面に見える糸）コットンやアクリル、ポリエステル。季節によりウールや麻など

➡ ①綿とポリ乳酸（PLA）をブレンドした糸 （綿50 ポリ乳酸50）を使用

②裏糸（伸縮性、フィット感のための糸）ポリウレタンにナイロンやポリエステルを巻いた糸を使います。

➡ ②微生物による分解のナイロンで作った伸縮糸 （ナイロン100）を使用

そのほか履き口には

③ゴム糸と呼ばれる着用時のズレを防止するための天然ゴムや合成ゴム糸を使います。ふくらはぎに跡がついてしまうのはこの糸です。

➡ ③使用していません。編み組織で工夫してズリ落ちにくくしました。

糸屋のこだわりがたくさん詰まっています。

繊維業界の中でも本当に知られていないのが糸屋かと思います。ですが様々なファッションアイテム、それに使われる生地等は全て１本の糸から始まっていますので、糸屋にもご興味を持っていただきたくこだわりをご説明します。

表糸に使用していますポリ乳酸（PLA）とはサトウキビやトウモロコシなどの植物由来のポリエステルに似た素材です。二酸化炭素の発生を抑えるカーボンニュートラル、植物由来でバクテリアにより分解される生分解性素材です。燃焼しても炭酸ガスと水になり有毒ガスがでませんし、生ゴミとして処理出来るなど地球にやさしい原料です。さらに天然の抗菌性も持ち備えています。環境に与える影響から考えましてもポリ乳酸繊維は、生産時の消費エネルギーも少なく、環境負荷が低い繊維で海外ではオムツやポリ袋などに多く使用されています。

このたびは靴下に向けてポリ乳酸とコットンをブレンドすることで綿の持つ肌触りやしなやかさがありながら耐久性や乾きやすさを持ち合わせた扱いやすい素材にしました。ポリ乳酸はポリエステルに近いため毛羽立ちが難点でしたが、紡績方法を工夫しました。空気の力を利用して糸にしていく方法で、すべての繊維の先が糸の中心にくるように設計しており中心部の撚りが甘く、外側は撚りが強くなっています。特徴として毛羽が少なく綺麗な糸になっています。

裏糸の伸縮糸にはナイロン繊維Amni Soul Eco®（アムニソウルエコ）を採用しました。https:www.fulgar.com/eng/insights/biodegradable-nylon-amni-soul-eco

こちらも生分解性を持つナイロン繊維で、廃棄した場合に微生物によって分解され、最終的に二酸化炭素と水となって自然界へと循環します。化学繊維ですが土に還して100%自然に循環させることができる画期的な繊維です。通常の化学繊維は分解されるのに何十年もかかりますが、アムニソウルエコは地中の条件が良ければ約3年～5年ほどで分解されます。（米国生分解プラスチック試験ASTM D5511）

元々当社はブラジルから糸を輸入していました。このプロジェクトにはイタリアから元となる糸を手配し日本国内で靴下の裏糸に適した伸縮の糸になるよう加工をしまして使用しています。Amni Soul Eco®はSolvay社の開発商品です。

シンプルなデザインでシーズンを選ばないカジュアルなリブソックス。これからの季節にはスニーカーやサンダルと合わせて楽しんで欲しい♪

素材はコットンとポリ乳酸のブレンドでソフトタッチだけどサラっとしています。毛羽感も少なくお手入れもしやすい★

履き口のゴム糸を使っていないので締め付け感少なくゆったりした履き心地。またズリ落ちにくいように編み方を工夫しました。

良いものを長く愛用していただければと思っています。

私達奈良営業所のお客様は広陵町を中心とした靴下の一大産地です。近隣の大和高田市、香芝市、橿原市、葛城市には200社あまりの靴下の工場が稼働しています。長年のモノづくりの歴史と自負、たくさんの技術やこだわりがあります。

このような土地柄の中でモノづくりをしておりソフトな風合いのままズリ落ちにくい靴下を作りました。

現在では少なくなってしまった古い機械で職人が心を込めて作製しています。

日々活動している中で多くのアパレルはじめ業界の会社へ糸の提案をさせていただいておりますが、環境素材に関しての取組はまだまだです。

頭ではわかっていてもまだいいや。とか糸の値段が上がるなら使わない。といった声をよく耳にします。

日本の環境への意識はまだまだガラパゴスだと感じてしまいます。世界を取り巻く地球温暖化やプラスチック問題などこれからの世代には本当に身近な問題だと思いますし、昨今の自然災害の頻発など今や本当に待ったなしの状態だと考えています。

この状況に何か一石を投じたいという思いが強くなり、私共に馴染みのある靴下という形で皆さまのお声を頂戴したくチャレンジすることにしました。

靴下という消耗品だからこそ早く地球に還る方がベター、糸屋として考えてモノづくりしてみました。この靴下を“for”と名付けたいと思います。

こんな思いで名付けてみました。

リターンについて　　 【All or Nothing】

チャレンジ成功しましたら商品を心を込めて作成しまして順次お届けいたします。

・S-Mサイズ 足底22-24cm 　総丈22cm

カラー３色展開：オフホワイト/サクラ/グレージュ

組成：綿40％ ポリ乳酸40％ ナイロン20％

※サクラ、グレージュ お届け商品のお色目はもう少し優しくなります。

・M-Lサイズ 足底24-26cm 　総丈24cm

カラー３色展開：オフホワイト/ブラック/グレー

組成：綿40％ ポリ乳酸40％ ナイロン20％

※グレー お届けの商品のお色目少し濃くなります。リブ目の白さが無くなります。

資材（ソックパス、口紙、帯）は極力使用せず、奈良県の【鹿紙】で梱包してお届けいたします。

【鹿紙】とは奈良公園の鹿が観光客などが捨てたポリ袋などを誤飲して死亡する事例が相次いだことから、同県内の３企業が共同で開発し2020年に発表されました。

鹿が食べても健康への影響が少ないとされる素材で作られた紙で牛乳パックなどリサイクルパルプを用い、鹿せんべいの材料でもある米ぬかを配合して作られています。

クルクルと丸めて鹿紙に入れましてお送りいたします。

スケジュール

2021/4/20 プロジェクト開始

2021/5/30 プロジェクト終了

2021/6/初旬 生産開始（染色、編立、加工）

2021/7/中旬 順次発送予定

これからのこと

このたびのチャレンジの結果次第では今後、色数や素材、スタイルを増やして継続していけたらと思っております。またこのforの取組について教育や繊維業界の啓蒙にも繋げていきたいです。

例えば日本全国には多くの綿の産地がございます。綿花の栽培から収穫、糸づくり。さらには編/織から染色まで体験しながら学べるような取組のフォーマット作りにもチャレンジしていけたらと考えます。

糸のことを知ってもらう。興味を持った子供たちがまたこの業界に入ってきてくれたら、そんな妄想を拡げております。Think Global , Act Localでこれからチャレンジしていきたいと思いますので糸屋のこだわりと職人の知恵の詰まった"for"をよろしくお願いします。

このたびのプロジェクトにご協力いただいた方々

ヤスダさま

株式会社AVILASさま

カワボウ繊維株式会社さま

株式会社市川染工場さま

株式会社ナカムラさま

HIGH TEXTILE Co.,LTDさま

実行者紹介

三山株式会社 https://www.miyama-tex.co.jp

（向かって右から）

中元美由樹：ナカモトミユキ（2019年入社：帽子関連、大阪担当）

松田昴大：マツダタカヒロ（2017年入社：セーター、九州、備後担当）

大塚誠也：オオツカセイヤ（2015年入社：靴下、奈良担当）

森井政弘：モリイマサヒロ（2003年入社：なんでもやります）