留め具に部分にスマホを引っ掛けて

倒すだけでスタンドに！

縦置きも横置きも自由自在

カードは指で押して、スッと出し入れ

意匠出願番号：意願2021- 17220

大学時代は自身の屋号で活動し、その後は下請けでの製作に集中、現在は革小物メーカーで正社員として勤務しています。

そんな私が、新しいブランドを立ち上げるに至った、今の価値観についてもお話しさせてください。

ブランドをつくるに当たり、コンセプトを決めなければなりません。

やはり、自分の価値観がベースになってきます。

大学時代にたくさん作らせたいただいた三つ折り財布

当時は「どうやってコンパクトにたくさんのカードを持ち歩くか」を考えていて、カードポケットの部分にあるギミックを仕込みました。

使い方の動画：https://www.instagram.com/p/BRMe_YmgcQc/?utm_source=ig_web_copy_link

スマホスタンドをどうやって小型化し、その機構を財布に埋め込むか、厚紙を折りながら構想を練っていました。

厚紙を折ってスマホを立て掛けているうちに、三角形の一辺、「スマホをたてかける辺」は硬さが必要なく、その他の二辺がしっかりしていれば、スマホの「重み」と「硬さ」を利用し、安定感のある三角形になることがわかりました。

硬さが必要ない部分はコンパクトに折り込むような形でデザインを練っていきます。

今回のアイテムはクレジットカードのサイズを基準に寸法を考えていきます。

最初は安定感がある縦型（カードの長辺を使う大きな三角形）で考えていました。

しかし、スマホを立てた時の角度を60°付近にするには帯（おび：折り込むパーツ）を長く取る必要あり、スマホ幅によっては縦置きにした時と横置きした時で角度が変わってしまう問題が見つかりました。

そのため、帯パーツが短くなる横置き（カードの短辺でつくる三角形）で製作を開始します。

今回、特に難しかったのは、「財布としての留め具」と「スマホスタンドとしてのストッパー」を両立させることでした。

最終的に「留め具の部分に厚みを持たせる」ことでスマホを固定でき、留め具としてもスムーズに開閉できることが検証できました。

その後は、カードを収納する内装についても試作を繰り返しました。

最初に考えたのは構想を練っていた帯を中央に配置し、重なったときの厚みを減らすため、帯部分のカードポケットをくりぬくというものでした。

くり抜いた部分はカードが見えるので、指で押せばカードの出し入れがスムーズです。

しかし実際にカードを入れてみると、くりぬいた部分にカードがあたり、スムーズに入ってくれません。

カードがスムーズに入るよう下のラインを斜めに修正しました。

形状ができてきたので、裏地を使って試作をして様子をみます。

斜めにカットした部分が段差になり、スマホを置いたときの位置によっては少し左に傾斜してしまいます。

この点は斜めの角度を浅く変え、スマホを立てた時に段差が影響しないように調整を行いました。

製品の左右で斜めの角度が違うのはそのためです。

傾斜がきつい方が指を入れる部分が大きく出し入れはしやすいのですが、右ポケットについてはスタンド機能に影響しない程度に角度を調整しました。

帯の幅についてもバランスをとる必要がありあました。

スマホを支えるためには帯の強度が必要ですが、幅をとりすぎるとカードケース側の耐久性が弱くなってしまいます。

製品では素材を変更し、薄くしてもハリがある豚革を採用。

スマホスタンドに必要な強度を確保することができました。

その後、本格的に革でサンプル製作を始めると新たな問題が出てきました。

留め具部分が厚すぎてミシンで縫えません。

この部分には非常に悩まされましたが、ミシンで針を貫通させる考えを根本から改めました。

厚みのある部分は貫通させず、タブルステッチで薄い革を縫い付け、両サイドは手縫いでかがることで固定しています。