江崎グリコは創業以来「事業を通じて社会に貢献する」ことを目指しています。この今までとは違った環境の中で、自分達ができる事は無いかと考えました。

そこで今持っている技術や過去に開発した物を振り返り、「ヨウ素包接アミセル」を見つけました。「ヨウ素包接アミセル」とは、抗菌・抗ウィルス剤として、医療現場でも利用されているヨウ素を安定保持させることができる繊維素材です。この素材を開発したものの、使用用途が見つからず長年埋もれている技術でした。

この技術をマスクに応用できないかと試行錯誤を重ねて、抗菌・抗ウィルス効果を持った「ヨウ素包接アミセル」の不織布を開発しました。医療現場でも使えるレベルの機能性のマスクです。

しかし、私達は食品メーカーのため、マスク開発の経験がありません。皆様のご支援が力強い後押しになります。

江崎グリコが独自開発した抗菌・抗ウイルスフィルター「ヨウ素包接アミセル不織布」を中心に、細菌飛沫やウイルス飛沫、花粉を99％以上ブロックする高密度フィルター、肌ざわりやマスク全体の強度を保つ不織布を使い、4層構造の機能性マスクを開発しました。
各層の不織布にはそれぞれ必要な機能をもたせています。

※ヨウ素やフィルターの効果であり、マスク全体の性能や一呼吸ごとの性能を示すものではありません。

ヨウ素は医療現場でも使用されている抗菌・抗ウィルス剤の成分です。

細菌、ウイルスに効果があるとされ、長い利用実績と確かな効果が認められています。

通常液体で使用されますが、ヨウ素は安定性が悪い（気化する）ことが問題でした。ヨウ素の液体をアミセル不織布に塗布することでヨウ素が安定保持され、乾燥した状態で長時間留まり、効果を持続することがわかりました。

江崎グリコが開発したバイオアミロースにヨウ素を染み込ませたところ、長時間においてヨウ素が留まり、ヨウ素の効果も持続することが分かりました。

この発見から、バイオアミロースをレーヨンに練りこみ、不織布にしてヨウ素を染み込ませた「ヨウ素包接アミセル不織布」を作りました。

アミセル不織布をヨウ素の液に浸けると、一瞬で濃い紫色に染まります。ヨウ素デンプン反応と同じ原理です。

多くの食品に含まれている「でんぷん」の一成分にアミロースがあります。アミロースはヨウ素を安定保持するなどの特徴（ヨウ素デンプン反応）を持っていることは以前から知られていましたが、大量生産が難しく、その利用は進んでいませんでした。

江崎グリコは長年、食品素材の研究をする中から独自の微生物酵素を開発し、それを利用して砂糖から純度の高いアミロース、「バイオアミロース」を大量生産することに成功しました。

バイオアミロースを大量生産できるようになったことで、ヨウ素を包接するというアミロースの機能を繊維として利用できるようになったのです。

アミセル内のバイオアミロースは、螺旋構造に折りたたまれ、ストローのような構造を作ります。この構造の空洞内にヨウ素を取り込む現象が「包接」です。

I-53 MASKは微小粒子、細菌飛沫、ウイルス飛沫、花粉の捕集効率のほか、各種マスクの性能試験を実施しています。

江崎グリコの独自素材「ヨウ素包接アミセル不織布」と肌に触れる「スパンボンド不織布」では、皮膚への安全性を確認するために、各種試験を実施し、問題が見られなかったことを確認しています。

*1 試験方法：ヒトパッチ試験
マスク材料がヒトの肌に接触したときの刺激性の有無を判定します。マスク材料を皮膚に24時間接触させたときの皮膚反応を調べる試験です。

*2 試験方法：累積刺激および感作試験 (RIPT)
マスク材料がヒトの肌に繰り返し接触したときの刺激性の有無、アレルギー（感作性）反応の有無について確認します。マスク材料を皮膚に3週間に繰り返し接触させたときの皮膚反応を調べる試験です。

※本製品は2月中旬までに配送を完了する予定です

コロナ禍で困っている方々に対してグリコとして何か貢献できることはないだろうか？

先の見えない社会状況の中で、じっとしていられないとの思いが強かったように思います。

医療、介護の現場で働く方々の声を拾い上げるなかから、社内に埋もれていた研究成果を思い出し、一つのソリューション提案を考えました。

今回のヨウ素包接アミセルは、グリコが長年続けてきた食品素材の基礎研究から生まれたバイオアミロース、オーミケンシ（株）の機能性レーヨン研究、関東天然瓦斯開発（株）のヨウ素研究という、分野も全く異なる３つの研究成果が偶然出会って生まれた機能性繊維です。

これをマスクに活用することで、ヨウ素の持つ抗ウイルス・抗菌機能をより広くリスク低減に役立てることができるようになりました。

今回のマスクの開発では、各種マスクの性能試験に加え、ヒト皮膚への安全性も確認することで、より安心してお使いいただけるマスクが開発できたと考えています。

長年続けてきたグリコの基礎研究の成果が、コロナ禍の人々の生活に役立たせることが出来れば幸いです。

Glicoの商品づくりは、創意工夫・不屈邁進の研究開発の歴史に他なりません。Glicoが目指す「おいしさと健康」とは、サイエンスに裏付けられるものです。

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