私たち「井上本店」は、元治元年（1864年）に奈良の地で創業した醤油蔵です。

明治維新が起こる少し前、いわゆる幕末に酒蔵からの暖簾分けで醤油づくりを始めた井上平七から数えて6代目となる当代としては、初の試みとなる木桶仕込みによる醤油づくりを始めました。

私たちは決して大きな会社ではありませんが、大正末期に建てられたレンガ造りの氷室を醤油蔵に使用している「レンガの醤油屋さん」として、原料の処理から製麹、仕込み、発酵、熟成、圧搾までの醸造の全工程を自社で行っております。

1960年代に全国の多くの地域で醤油製造のほとんどの工程を地域の共同工場で行うようになったのに対し、奈良県では、各醤油蔵が昔ながらの醸造を続け、酵母菌を守り継ぎ続けてきたため、現在でも醤油蔵の独自性が失われておらず、蔵によって違った醤油が生産され続けています。

井上本店では、“本物の醤油”をつくるため日々醤油づくりに哲学した先代 井上平祐が残した、

醤油は単なる旨味調味料ではない。
元来、醸造は微生物が自らの生命をまっとうするために作り出す貴重な生命物質を利用させていただくという先祖の遺産である。

という考えに基づき、蔵に住み着く微生物たちの邪魔をしないよう人がサポートし、長期間熟成、天然醸造にこだわって丁寧な醤油づくりを心がけてきました。

原料には国産丸大豆・小麦、オーストラリア産天日原塩を使用し、開放型コンクリート槽での発酵・熟成を経て、製造してまいりました。しかし、使い始めてから40年を経過し、使用できないコンクリート槽も増え、新たな発酵槽について考えなければならない時期となってきておりました。

単に天然醸造を続けてゆくという事だけでなく、手入れや入れ替えなどの管理面の有用性、自然素材であり環境への負荷の軽減など、様々な条件を検討したところ、やはり木桶に戻ることが良いという考えに至りました。

醸造の世界では数百年使い続けてこられた実績のある昔ながらの木桶ですが、私たちにとっては、子ども世代、孫世代、これから先も醤油をつくり続けるための新しい挑戦でした。

実は、木桶は絶滅の危機に瀕している存在でもあります。

プラスチックや金属製の醸造タンクが用いられることが多くなったこと、それによって新たに木桶が作られなくなり、木桶を製造する桶屋さんもほとんどなくなってしまいました。

このままでは木桶による醸造という日本の文化までもがなくなってしまうという現状を憂い、醤油蔵、酒蔵、味噌蔵、流通・飲食関係者によって立ち上げられた「木桶職人復活プロジェクト」を通じて、希少な木桶を2本手に入れることができました。

また、木桶の材料には奈良の吉野杉が使用されることが多く、奈良県の林業の継続、山林の保全にもつながっているという点も地元奈良で商う私たちにとっては大きな“縁”を感じるところであります。

地元のテレビ局からも「木桶で醸す老舗しょうゆ」として、昨年4月に行った仕込みの様子の取材を受けました。

木桶の手配に始まり、設置環境の整備、仕込み、発酵・熟成の管理は、本当に日々手探りでの醸造となりました。

慣れ親しんだはずの醤油づくりがこんなにも難しく、奥深く、そして面白いものだとあらためて実感することができました。

本当に美味しい醤油ができるのだろうか？
そんな考えが頭をよぎることもありましたが、1年の熟成を経て、いよいよ醤油として搾ることができました。

「自分たちが食べて美味しいと感じるものをつくる」
そんな当たり前のことにコツコツと真面目に取り組んできた想いを込めて
木桶仕込み醤油「木まじめ」という名前をつけました。

「木まじめ」は、いわゆる濃口醤油というものに分類されます。
色は透き通った赤橙色で、華やかな香り、軽やかな味わいで、素材の味を引き立てる名脇役のような醤油にできあがりました。

卵かけご飯
ご飯に卵、そして醤油という実にシンプルな食べ方ですが、大好きな方も多いのではないでしょうか？ 卵をかけるよりも先に醤油を回しかけることで、醤油の香りをよりいっそう楽しむことができます。ぜひお試しください。

鮭茶漬け
みなさまはお茶漬けに醤油を使われますでしょうか？
実はこれがとても美味しいんです。
ご飯にほぐした焼き鮭をのせ、さっと醤油を回しかけ、熱々の煎茶をかけたら、後は食べるだけ。お好みで刻み海苔やネギをのせるのも良いですね。

焼き厚揚げ
お子さまからも人気で、お酒のおつまみとしても人気の焼き厚揚げにかける醤油としてもよくあいます。カリカリに焼いた厚揚げにかけるだけ。薬味がなくても醤油だけでとても美味しくいただけます。

湯豆腐
寒い季節に嬉しい湯豆腐にもとてもあいます。
昆布とカツオ節で濃い目に作った出汁でお豆腐をコトコトと温め、つけダレには茹で出汁大さじ2杯と醤油大さじ1杯、素材をひきたてる木まじめならでは素朴で満足感のある湯豆腐がお楽しみいただけます。

●木桶仕込み醤油「木まじめ」3本セット / 6本セット

私たちが初めて木桶で仕込んだお醤油「木まじめ」の初搾りを一般販売に先駆けて一足お先にお届けいたします。
また、若干数ではございますが、早期割引セットもご用意しております。

名称：こいくちしょうゆ（本醸造）
原材料：小麦（国産100％）、大豆（国産100％）、食塩
内容量：150ml
賞味期限：製造日から2年（ラベルに記載）
保存方法：直射日光を避けて常温で保存
開栓後は冷暗所で保存（冷蔵庫に保存すると品質低下が少なくてすみます。）
本品に含まれているアレルゲン：小麦、大豆

※デザイン等は変更になる場合がございます。
※ご注文状況、製造工程の都合等により出荷時期が遅れる場合がございます。

●醤油味比べセット

木桶仕込み醤油「木まじめ」と弊社の従来商品（淡口 / 濃口 / 濃厚）、醤油の使い分けができる専用の「三口醤油皿(醤3)」をセットにした味比べセットです。
いろいろな味を試してみたいという方には特にオススメです。

イゲタ醤油 淡口
だしと相性がよく、素材のコクと旨味を引き立てる醤油です。

イゲタ醤油 濃口
まったりとした中にきりっと引き締まった味わいの醤油です。

イゲタ濃厚醤油
仕込み配合の妙で濃厚な味わいと軽やかな使い心地を両立した醤油です。

※淡口 / 濃口 / 濃厚の各製品に含まれているアレルゲン：それぞれ小麦および大豆

「三口醤油皿(醤3)」は、醤油の多様性、使い分けを広めるために全国100社以上の醤油メーカーが参加し、プロダクトデザイナーとともに開発された専用の醤油皿です。醤油の使い分け、醤油の味わいはもちろん、色や香りの違いを楽しむことができる逸品です。

●復刻版レトロ帆前掛けセット

木桶仕込み醤油「木まじめ」と弊社の前掛け(復刻版)をセットでお届けいたします。
帆前掛けは、力仕事の多い職人の現場にあって腰を守るためや服が汚れたり、やぶれてしまわないようにと広く使われてきました。
現役で使われているものも数枚ありますが、このたび復刻版としてあらたに作成いたします。

●手作り醤油講座付き蔵見学セット

木桶仕込み醤油「木まじめ」3本をお届けするとともに、ご自宅で本格的なお醤油づくりを体験いただける手作り醤油講座付きの井上本店の醤油蔵の見学ツアーにご招待いたします。

手作り醤油講座では、見学時に仕込みを行い、その後の発酵～熟成～圧搾はご自宅に持ち帰って行っていただきます。時間をかけて自分で育てたお醤油を味わっていただけます。

醤油や発酵について興味がある、もっと知りたいという方にオススメです。

【蔵見学開催予定日】（各限定10セット）
2022年6月11日(土) / 18日(土) / 7月2日(土) 午後2時から
※見学と手作り醤油体験をあわせて約2時間を予定しております。
【場所】弊社醸造蔵（奈良県奈良市北京終町57）
※商品は、プロジェクト終了後順次お届けいたします。

●プロジェクト応援セット

応援資金は、新たな木桶の購入や設置環境の整備などに使わせていただきます。
木桶を導入して今後も醤油をつくり続けてゆく弊社の想いへの応援をよろしくお願いいたします。

【3万円コース】
木まじめ 3本

【5万円コース】
木まじめ 3本、イゲタ醤油(淡口/濃口/濃厚 各360ml)

【10万円コース】
木まじめ 3本、イゲタ醤油(淡口/濃口/濃厚 各360ml)、復刻版レトロ帆前掛け

この度は、私たちのプロジェクトのページをご覧いただき、まことにありがとうございます。

弊社は、奈良県の京終（きょうばて）という町にある小さな醤油蔵です。

大正末期に建てられたレンガ蔵の中には、先代の頃から現役で稼働しつづけるものもたくさんありますが、「微生物の邪魔をしない」昔ながらの製法の範囲で様々な専用設備も導入してきました。

継ぐ予定はなかったのに「簡単だよ、できるできる」という先代の言葉にのせられて始まった全くの素人からの醸造職人としての暮らしも20余年になりました。

「井上本店の蔵で作る醤油の味を知ってしまったから」
「自分たちが食べたい、食べ続けたいから」

そんな想いで続けてきましたが、ありがたいことに私たちの子どもたちも同じように考えてくれているようです。

まだ私自身「簡単だよ」とはなかなか言ってやれませんが、子どもたちやその子どもたち、さらに先の世代にうちの味を残してやりたいと思っています。

今回の木桶の導入は、原料から商品化までのすべてのプロセスを全て行うという全国的に見ても少なくなった製造方法をこれからも続けてゆくという意思表明であり、こんな醤油屋の想いを知ってもらいたいと考え、Makuakeに挑戦いたしました。

ぜひ皆様の応援よろしくお願いいたします！

株式会社 井上本店 吉川 修 / 惠美子