■放散虫とは？

みなさんは「放散虫（ほうさんちゅう）」ってご存知ですか？

「なにそれ？」「その辺にいる虫？」って思う方が多いと思います。「放散虫（ほうさんちゅう）」とは、おそらく多くの人にとって謎の存在だと思います。

「放散虫（ほうさんちゅう）」は、5億年前に発生し現在の海にも生きつづけているプランクトンの1種です。プランクトンの1種と聞いて、アメーバやミジンコを想像された方もいるかもしれません。「虫」という名前がついていますので、その辺の虫と一緒と思う方もいるかもしれません。

放散虫は、単細胞生物という点では他のプランクトンと同じですが、目立つ特徴があります。それは、ガラス質（シリカ、SiO2)の骨格を持つことです。

しかも、その骨格は放散虫の種類や生息していた年代によって多種多様な形があり、自然のものとは思えないような造形をしています。

これが、放散虫です。人工物のようにも見えますが、これらは自然に作り出された造形です。放散虫は5億年前から生息しているため、チャートと呼ばれる化石の中からも発見されます。骨格の形が特徴的なことから、その地層の年代を特定する示準化石としても用いられています。

ティラノサウルスが生息していた白亜紀に、この放散虫は海を漂っていました。発掘された化石の中にこの放散虫がいたら、この化石は白亜紀のものと判断する材料になります。

放散虫のこと、ちょっと分かってもらましたか？

■プロジェクトのきっかけ

5億年も前から海に生息している「放散虫（ほうさんちゅう）」たちのことをもっと知ってもらいたい、また、電子顕微鏡で見るその姿は想像を絶する美しい造形と緻密な構造をしていることを知ってほしいという願いから、今回のプロジェクトを企画しました。

2017年から今年まで、放散虫を長年研究されている新潟大学の松岡篤先生と共同で、カレンダーの製作をつづけてきました。カレンダー製作を始めた2017年は「第15回国際放散虫研究集会（InterRad XV）」という学会が新潟で開催された記念の年で、世界中から放散虫の研究者が集まりました。

カレンダーの他にも、トランプ1枚1枚の絵柄として、様々な放散虫を印刷した「放散虫トランプ」も2018年に製作し、好評発売中です。

カレンダー・トランプ製作、松岡先生の地道な講演活動のおかげで、2019年の8月には「フジフィルムスクエア（東京都、六本木）」、9月には「富士フイルムフォトサロン（大阪府、大阪市）」にて、放散虫の写真展が開催され、大盛況でした。また、絵本『ほうさんちゅう』（アリス館）も刊行されました。

2020年は、クレマチスの丘（静岡県長泉町）にある「NOHARA BOOKS」にて、2019年に展示された写真の一部が9月29日まで展示されています。放散虫への注目度も高まり始めています。また、新潟大学旭町学術資料展示館（新潟県中央区旭町）にて「ジオパークの微化石展」や、海韻館（富山県富山市）、富山市科学博物館（富山県富山市）でも、放散虫の企画展が実施されました。富山市科学博物館では、プラネタリウムで放散虫を投影する珍しい試みも行われました。

今回は、放散虫を、さらに一般の人たちに知ってもらえて、その造形美をいつでも楽しんでもらえるよう手元に置けるグッズの製作を考え、クリアファイルとマスクケースの製作を企画しました。その神秘的で美しい造形を楽しみながら、放散虫に親しんでほしいと思います。

デザインに使用する放散虫の画像の多くは沖縄近海の海から採取した現生の放散虫です。放散虫に興味を持ってもらいたい、そこから科学や生物、地質学にも興味を持ってもらいたいというのはもちろんですが、環境保全につながるような活動にも繋げていきたいと考えています。そのために、ご支援いただいた金額のの20%を現在COVID-19の感染症で医療制度が危機にさらされているという、沖縄の医療維持に寄付します。

ぜひ、この機会に、放散虫について知ってください！

■放散虫の魅力

わたしにとって、放散虫の一番好きなところは形の美しさです。ガラスを素材として、どうやってあの形をつくりだしているのか、何年も研究していますが、まだ謎のままです。サイエンティストとして、なんとかその秘密を明らかにしたいと、日々研究をつづけています。みなさんにも、放散虫の多様な形を楽しんでもらいたいと思います。

放散虫のもうひとつの大きな魅力は、その進化です。放散虫は、いまから5億年前にガラス質の骨格をもつ生物となりました。繁栄や大量絶滅をくりかえし、現在の海にも生きつづけています。みなさんがすむ地球のまわりの海でも、ひっそりとくらしているはずです。5億年の化石の記録を調べると、どのように進化してきたかを研究できます。放散虫は進化のひみつにせまるのに、ぴったりな生き物といえるでしょう。

これまでに1万以上の放散虫に種名がつけられています。しかし、その数倍の放散虫には、まだ種名がついていません。みなさんの中から、未来の科学者があらわれて、種名のない放散虫たちの名付け親になってくれたらと願っています。（by松岡 篤）

■リターンについて

電子顕微鏡や光学顕微鏡で撮影された放散虫の姿を、肉眼では見ることのできない放散虫の造形美を、身近な製品のクリアファイルと必需品となったマスクケースにデザインしました。2種類の絵柄の放散虫クリアファイルと、1種類の絵柄のマスクケースを、お手元に届けします。

［クリアファイル］

・シングルポケットタイプの一般的なクリアファイルです。

・サイズはA4の書類をすっぽりと収納できる幅22cm×高さ31cmです。

・書類の持ち運びや保管にお使いいただけます。

・Aタイプのデザインは、沖縄近海で採取された放散虫を電子顕微鏡で撮影した白黒写真を使用しています。

・Bタイプのデザインは、沖縄近海で採取された放散虫を光学顕微鏡で撮影したカラー写真を使用しています。

※写真は開発中の画像です。実際の仕上がりと異なる場合があります。

［マスクケース］

・今の生活になくてはならないマスクの持ち運び、収納に便利なケースです。

・表面のコートには抗菌ニス（SIAA、ISO22196準拠）を使用していて、清潔にご利用いただけます。

・サイズは幅24cm×高さ20.5cmです。（二つ折り時：幅12cm×高さ20.5cm）

・デザインは、銀職人の横山隼さん（RC GEAR）製作の放散虫銀模型の写真を使用しています。

・ダブルポケット仕様で、使用前・使用後のマスクの使い分け等ができます。

・片方のポケットにはポケットティッシュを差し込める切り込みが入っています。

※写真は開発中の画像です。実際の仕上がりと異なる場合があります。

■スケジュール

2020年9月 プロジェクト開始

2020年10月 マスクとクリアファイルの製作開始

2020年12月 ご支援いただいた方に発送、一般発売開始

■ご支援金の使い道

クリアファイル（2種）とマスクケース（1種）の制作費として使用します。

また、ご支援いただきました金額の20%を、沖縄県の医療支援に寄付します。

■実行者紹介

［製作会社］株式会社イメージミッション木鏡社

イメージミッション木鏡社は2000年に創業した科学玩具・知育玩具のメーカー。「自然・本物・科学」をテーマに、子どもたちや感動を忘れない大人たちに、自然の不思議、科学の楽しさを知ってもらえるような玩具や教材を開発・販売をつづけている。

［放散虫顕微鏡画像提供］松岡 篤（新潟大学）

アンモナイトの研究者を目指して大阪市立大学に入学。在学時に放散虫の研究が日本の地質の認識を大きく変えた「放散虫革命」に遭遇し、放散虫研究を開始する。プレートプレートテクトニクス分野の付加体研究で理学博士の学位取得。1987年新潟大学講師に着任、助教授をへて2002年より教授。2014～2017年国際放散虫研究者協会会長をつとめる。絵本『ほうさんちゅう』（アリス館）では監修を務める。

［放散虫シルバーアクセサリ画像提供］横山 隼（RC GEAR）

銀職人、ジュエリーデザイナー。一般的なシルバーアクセサリーの他、恐竜・古生物・放散虫の銀細工模型の制作を行う。その再現度・正確性の高さから、制作した模型は複数の科学館や博物館の展示資料としても使われている。絵本『ほうさんちゅう』（アリス館）ではアドバイザーも務める。