今や世代によっては記憶から遠のいてきたたわしの存在。しかし、合成洗剤を染み込ませて洗剤の力で汚れを落とすスポンジたわしが主流になるまで、洗うための道具と言えばシュロのたわしが定番でした。そんなたわしをもう一度、皆様にどんなものか再認識していただきたい。「鉄」を扱う私たちだからこその視点で生まれたシュロのたわしをご紹介します。

私たち岩手製鉄は「鋳物」の調理雑貨を製造・販売するメーカーです。これまでマクアケさんで8回のプロジェクトを実施させていただきました。そのお陰で多くのお客様との出会いがあり、たくさんの有難いお声を頂戴しています。その中で、洗い方についてお客様からご質問をいただき、岩鉄鉄器を洗うのに一番適したものは何か？と言う点について社内で議論しました。

素材や使い勝手など検討し、自然素材のタワシが最適である。という結論になり、地元でタワシについて相談に乗ってくれるお店を探したところ盛岡市にある「ござ九・森九商店」様にたどり着き、相談をしました。

岩手製鉄：どんな素材のたわしがいいですか？

ござ九：簡単に潰れないシュロの密度が高めのものがいいのではないかと思います。

岩鉄製鉄：取手をつけることはできますか？

ござ九：もちろん可能です。取手のあるほうが女性でも力が入りやすく、使いやすいと思います。岩鉄鉄器に合わせてサイズも2種類あるといいかもしれませんね。

丁寧なアドバイスをいただき、2サイズのたわしが完成しました。

たわしと聞くと、硬くてキズがつくイメージをお持ちではないでしょうか？それはきっと、本来使用されていた原材料が高価になって、その代用として使われるようになった素材のせいかも知れません。元祖たわしに使用されているシュロの木から採れる繊維は、柔らかいのにコシがあって、丈夫で長持ちする優れものです。

そもそもたわしは何の素材からできているかご存知でしょうか？

その多くは椰子(ヤシ)の木から採れる天然繊維で、ココナッツの殻の繊維であったり、日本各地で見ることができるシュロの木という木に生えている茶色い毛のような部分です。

（左：ココナッツ、右：シュロの木）

今回の商品はシュロの繊維を使ったたわしで、そのシュロの良さをご説明していきます。

シュロの繊維は、古くから魚網、つるべ井戸の縄、竹垣を縛る縄、運搬・荷造り用・建築用の縄やロープとしと利用されていました。その強靭な耐久性に併せて持つ柔軟性は人の肌に使っても大丈夫なほど柔らかく、大切な器やお鍋も傷つけにくいのが特徴です。

▲繊維がしなやかなシュロのたわしは傷がつきにくく、しっかり洗えます。

私たちが製造する鋳物の調理道具にもピッタリで、焦げ付きや頑固な汚れもガシガシ擦り落とすことができます。

他にもまな板やフッ素樹脂加工のフライパン、根菜の泥落とし、皮むきにも便利です。

もちろん食器類以外にも清掃用具としてもお使いいただけます。

また、やさしい手触り・使い心地のため、ボディ用としてもご愛用いただくこともあります。

シュロの繊維は、何十年、何百年と木と共に生き続けられるよう雨風に晒されても、簡単には風化しない特性を持っています。水気の多い場所に放置していても、カビが生えるリスクは低く、使用後は水切りラックやストラップで吊るしていただくとより長くお使いいただけます。

お使いの前に

使い始めは、細かい茶色い粉がでます。これはシュロの粉で、染料や害になるものではありませんので、流水ですすいでからご使用ください。

使っているうちに出なくなりますが、気になる場合は、最初のうちは紙の上や屋外などで粉を落とすようにしてから使っていただくと、早く粉が落ちきります。天然素材のためご了承下さい。

雑菌が気になる場合は、熱湯をかけて天日干し
雑菌の繁殖が気になる場合は、熱湯をかけて天日干しを行なってください。

繊維にゴミが挟まったら
洗い物をした時、食材や食べかす、ご飯粒などが繊維に挟まったまま放置をすると、雑菌が繁殖する原因になります。ゴミが残らないように手で取るか、たわし同士をこすり合わせるなどして、取り除いてください。

素材：シュロ

持ち手：ラミン

重量：大/約60g、小/約40g

※持ち手は大・小ともに丸い形状になります。

※皆様のお手に届く商品には「IWATETSU」の焼印が入ります。

人々の幸せを願って。岩手製鉄の70年

岩手製鉄は、1949（昭和24）年に岩手県北上市で創業。
かつて「産業の米」とも言われた「鉄」を扱う製鉄事業を通して戦後日本の復興期を支え、そこで培った製鉄・鋳造技術に磨きをかけながら、時代のニーズに合わせて進化・発展してきた会社です。 しかし、どんなに時代が変わっても、扱うものが変化しても、岩手製鉄の想いは変わりません。
人間にとって、本当に大切なものは何のか。人間がどうしたら幸せになれるのか……。
岩手製鉄のものづくりは、常にそこからはじまっています。