「kurumu」は大判の一枚布（110×110cm）のシルク素材を使ったおくるみです。　　　　　　

・赤ちゃんのおくるみは素材やデザインが決められているから、用途によって使い分けをしなくてはならず､布がかさばって困る。

・季節によって赤ちゃんの洋服を変えるのは大変で、体温調節が難しい。

そんなお悩みを解決するために生まれたのは「kurumu」。

赤ちゃんはその柔らかい布でしっかりと包まれることで手足の自由が適度に制限され、お母さんのお腹の中にいたときのような安心感が得られるとされています。

掛け布団のように眠っている間に、はだけて寝冷えをしてしまったり、自ら顔にかけて呼吸をふさいでしまったりといった心配を防ぐことができます。

また、シンプルなデザインによって使い勝手が良いだけでなく、成長とともに変化する様々な使用用途にも対応した実用的な製品です。

この思いを実現するため、おくるみとして使用する以外にも､アイディア次第でたくさんの使い道があります。

このようにたくさんの使い道を提案できるkurumuは、赤ちゃんだけではなく、その周りの人のことも考えられているため、出産祝いやギフトにも最適です。

丹後ちりめんは、京都府北部の丹後地方（与謝野町）特有の撚糸技術を用いた絹織物です。

丹後ちりめんは、しなやかな肌触りと、優れた性質を兼ね備えています。

①季節を問わず快適に過ごせるシルク素材

絹は、周知のとおり蚕の繭からとれる糸です。これは、天然繊維の中でも、動物性タンパク質でできた長繊維です。

一個千ｍを超えるこの糸には、生地素材として多くの優位性があります。

まず、湿度の変化に反応し、快適な環境を保ちます。その吸湿性は、木綿の平均1.4倍です。放湿性は平均1.5倍の速さで放湿する性質を持ちます。

また、熱伝導性がどの繊維より小さく保温効果も高いです。

この性質によって生まれる快適環境で、赤ちゃんを優しく包みます。

②丹後ちりめんの特徴

丹後で織られているちりめんは、大きく分けると無地ちりめんと紋ちりめんの二つに分かれます。

無地ちりめんとは、生地表面に、シボと呼ばれる凹凸を持つ無地ちりめんです。基本的には柄はありません。

紋ちりめんとは、ジャカード装置を用いて、織組織を任意に操り、生地表面に柄表現を施した織物です。

私たちが使用するのはこの紋ちりめんです。(下図は見本柄です。）

③紋ちりめん（紋意匠縮緬）の特徴

二重組織の織物の内、生地表面に文様を表現した織物です。

経糸に駒糸、緯糸に八丁撚糸（水撚り）を使用しています。

染付が良く、優雅な金属光沢を放ち、羽二重のような印象を持ちます。

一見フラットに見えますが、細かな凹凸シボが生地表面を覆っています。そのため、赤ちゃんの肌に触れる接地面積が最小限になり、肌触りがなめらかになります。

赤ちゃんの体を清潔に保ちます。

私たちが提案する柄は、もともと羽賀織物さんが代々使用してきた伝統的な柄を使用し、そのなかでも赤ちゃんの健康や成長を願う意味のある柄の合計２種類を提案します。

①【七宝に市松詰】:　 繁栄、子孫の繁栄、人の縁・関係性の円満を志向する縁起柄

この柄は円の並列を四分の一ずつ重ねることで光を表す菱のような形と花びらのようなかたちの組み合わせが見えるという仕組みになっており、七宝の柄を形成します。この七宝を繋いだ模様が「七宝繋ぎ模様」と呼ばれています。

（この模様の意味は、円（輪）は和に繋がるもので、人と人の和の大切さを表しています。）

さらに、七宝柄の中に市松模様が描かれ、この柄は、途切れることなく続いていることから「子孫繁栄」「発展」の意味が込められ、子供にとって縁起の良い柄として使用されてきました。

②【大かごめ】邪気を祓う魔除けの模様

籠目は､竹などで編んだ籠の模様をデザインした柄で、陰と陽、光と闇という相対する事象や調和を意味し、また三角形の模様は古くから魔物や病を示すものであったとされ、やがて三角形は邪気を祓う魔除けの模様として用いられるようになりました。

そのためこの柄には、赤ちゃんや子供を守る背守りのような意味が込められています。

基本的に絹製品の家庭用洗濯機による水洗いは、大変危険です。

あらゆる生地素材は、洗濯の度にダメージを蓄積しますが、絹は特にデリケートな素材です。

家庭用の洗濯機をご使用されると、変色・縮み・スレ・毛羽立ちなどのトラブルが発生する恐れがあります。

高級な製品でもあるため、ドライクリーニングによるお手入れを、強くお勧めしています。

この商品には、ハイパーガード加工を施しています。

ハイパーガード加工とは、絹の持つ優位性はそのままに、 欠点であるスレ、シワ、縮みを解消させる加工のことです。特に、スレ防止に長けています。

日常の場面で、安心してご活用ください。

※絹はアルカリに弱いです。石鹸など、アルカリで処理すると、生地の脆化に繋がり、黄褐変が促進されますのでご注意ください。

はじまりは2018年の夏に京都府商工労働観光部染織・工芸課主催で開催されたDesign Week Kyoto クラフトソンにて、実際に京都の丹後に訪れ、丹後ちりめんの機能性や可能性を多くの人に伝えたいと、「First Chirimen」をコンセプトに立ち上げました。

「First Chirimen」というコンセプトは赤ちゃんがはじめて触れる生地（布）が良質な丹後ちりめんを使用した製品であって欲しいと思いで名付けました。

今回私たちがkurumuを製作するきっかけとなったクラフトソンでは、丹後ちりめんの織り手の方々のご協力があって実現したものでした。

羽賀織物の羽賀信彦さんは、kurumuの製作にあたり丹後ちりめんの生地の提供や生地の相談など、kurumuの製品の完成度を高めるためにご協力をしてくださりました。

＞羽賀織物　丹後ちりめん　京もの認定工芸士・羽賀信彦氏

羽賀さんは27歳の時に、別の仕事をされていた場所から与謝野町に戻られ、家業を継ぐことを決意された、丹後ちりめんの担い手です。

「以前は会社や工房ごとに分かれており、企業秘密として一切外部の方に工房や技術を見せることがなく、産業として閉鎖的だったが、今回のクラフトソンを通じて着物の生地だけではなく、何か違う分野の可能性を実現したい。未来に残し、挑戦していきたい。」

という羽賀さんの思いを、kurumuを通して実現していきたいと思っています。

丹後地方（与謝野町）の地域ならではの気候や風土に支えられた丹後ちりめん。

しかし丹後ちりめんの織り手はどんどん高齢化し、その数は減少しています。

だからこそkurumuを通して、新しい命に丹後ちりめんの可能性を生み出すこと

で、世代を問わず愛され続けるものであってほしいです。