私たちのからだは、食べるもので作られています。だからこそ、食にこだわるあなたに聞いていただきたい残念なお知らせがあります。

こんにゃくはこんにゃく芋から作られていると思われていますが、

私たちが普段口にしているこんにゃくは、こんにゃく粉から作られています！！

左のこんにゃくは、スーパーでよく見ますよね。でもこれ、残念ながらこんにゃく芋ではなくこんにゃく粉から作られているんです。対して、右のこんにゃくは、こんにゃく芋だけで作られたもの。こんにゃく芋から作られたこんにゃくは、栄養も豊富で、体にうれしく、そしてなによりおいしいんです。

初めまして！ 大阪堺にある中尾食品工業株式会社 代表の中尾友彦です！「若いね」とよく言われますが、年齢は34歳。代々蒟蒻屋の家系で、25歳のときに4代目を継ぎました。社員20人にも満たない会社ですが、「未来を切り開く、日本が誇る小さな大企業」としてForbes JAPAN主催のSMALL GIANTS AWARD2019で特別賞をいただいています。

また、近年では衛生面にも力を入れており、大阪府から品質管理について表彰されています。おかげさまでテレビや新聞にも多数取り上げていただき、僭越ながら「こんにゃく王子」という愛称もつけていただきました。

私の会社は、こんにゃく芋からこんにゃくを作れる数少ない会社のひとつです。

「こんにゃく芋」だけでこんにゃくを作ると、「ベージュ色に茶色の点々」に仕上がります。これこそが「ホンモノのこんにゃく」です。

でも実際のところは、店頭で見かけるこんにゃくのほとんどが「こんにゃく芋」ではなく「こんにゃく粉」から作られています。こんにゃく粉から作ったこんにゃくは「グレーに黒い点々」になります。

こんにゃく芋で作られたホンモノのこんにゃくは、普通のこんにゃくより断然美味しいと自負しております！ 食べてみると、きっと驚かれるはずです。

下茹で不要で、生食だってOK！ こんにゃく特有の臭みがないことに、特に皆さん驚かれます。それに、見た目はツルツルテカテカではなく、表面に凹凸があります。だから、味染みが抜群にいいんです。

さらに女性にうれしいのが、ホンモノのこんにゃくには水分や脂分を保持する脂質「セラミド」が含まれること。セラミドはこんにゃく芋の皮に多く含まれるため、製粉工程で皮が残らない「こんにゃく粉」にはほとんど含有されていません。

実は私が「こんにゃく芋」で作られたこんにゃくをオススメするワケは、もうひとつあります。こんにゃく粉は、こんにゃく芋を乾燥させて粉末にしたものですが、その製造上、キャリーオーバー（※）として二酸化硫黄（亜硫酸）が残留することがあります。

※キャリーオーバーとは、原材料には含まれるが使用した食品には微量で効果が出ないため、食品表示法に基づく食品表示基準によって表示を免除される添加物を指します。

※こんにゃく粉の中には、二酸化硫黄（亜硫酸）が発生しない乾燥方法で作られているものもあります。

この亜硫酸ガスは漂白剤としての機能を有するので、こんにゃく粉は真っ白になります。真っ白のこんにゃく粉で作られたこんにゃくも、もちろん真っ白。でもそれだと見た目がこんにゃくっぽくなくて売れないですよね。そこで、ホンモノのこんにゃくに似せるために、ひじきなどの海藻を添加するのです。これが私たちがよく見るこんにゃくです（こんにゃく特有のニオイも実はほとんど海藻のニオイなんです）。

「こんにゃく芋」よりも「こんにゃく粉」で作るほうが、固めやすくて作りやすい。だから、ほとんどのこんにゃくは「こんにゃく粉」から作られます。それに、亜硫酸ガスも、身体に害を与えない規定値内であるとされています。それでも、この事実を知ると抵抗をもたれる方も多いのではないでしょうか。

「一物全体」という言葉が示すように、食べ物というものは、素材全体でバランスがとれるようにできています。だからこそ、皮や葉、芯といった部分にこそ栄養があったりするもので、捨てるのはもったいない。こんにゃく芋も同じで、芋そのものを丸ごと食べるほうが私たちのからだにはいいのです。

さて、前置きが長くなりましたが、こんにゃく芋で作られたこんにゃくの良さを十分わかっていただけたと思います。その良さを理解していただいているからこそ、中尾食品のこんにゃくは多くの料理人に愛用されています。

たとえば、NHKや民放番組に出演する料理研究家 柳澤英子先生。彼女が出版したダイエットレシピ本「こんにゃく食堂」（小学館）で使われているこんにゃくは、すべて中尾食品のものです。

また、食べログで3.7(※)を叩き出す大阪日本橋の割烹「酒肴 哲」でも、中尾食品のこんにゃくを使っていただいています。「酒肴 哲」は、年中おでんを食べることができる、おでんが主役の居酒屋。日本各地の酒場を知り尽くした居酒屋研究の第一人者の本「太田和彦の居酒屋味酒覧＜決定版＞精選204」（新潮社）に掲載されている、知る人ぞ知る名店です。

（※）2022年4月15日時点での値です。

▲哲さん人気のおでんのこんにゃく

このように、プロの料理人も認めるハイレベルなこんにゃくを作れる中尾食品が今回Makuakeで先行販売するのが、「高野山こんにゃく」です。一般社団法人高野町観光協会監修、多くの高野山関係者にご協力を賜った、他にはない崇高な逸品です。

そもそもこんにゃくは仏教とともに日本に伝わった食べ物で、高野山とは切っても切れない縁深いもの。ですから、伝来当時の製法にとことんこだわりました。もちろん、こんにゃく粉は一切使わず、こんにゃく芋だけで作ります。だから、美味しいし、体に嬉しい。

▲セラミドが含まれるので、こんにゃく芋の皮はプルプルしています。

このこんにゃく芋に加えるのが、高野山の二大聖地の奥之院に続く樹齢数百年の杉の枝葉を燃やして作った灰の上澄み液（アクと言います）です。「灰」と聞くと驚く方が多いのですが、昔のこんにゃくは木灰を使って作られていました。木灰はこんにゃく作りに欠かせない「凝固剤」の役割を果たすからです。

▲手作業で不純物を取り除いてから燃やします。

▲できた灰を水と混ぜ合わせます。

しかしながら、現代のこんにゃく作りにおいて木灰が使われることはほぼありません。代わりに、同じアルカリ性である石灰岩や貝殻、卵の殻から生成した水酸化カルシウムが使われます（※）。理由は、現代において木を伐採して燃やして灰を作るという工程が、ものすごく手間と時間がかかる上、専用機械の導入にお金がかかるからです。

（※）高野山こんにゃくにもPh（アルカリ度数）の調整のために水酸化カルシウムは含まれますが、アルカリ性のメインは木灰です。

▲木を燃やして灰を作る機械バイオマスボイラー

しかし、中尾食品には「こんにゃく芋 × 木灰」という昔ながらの製法でこんにゃくを作る技術や機械が揃っています。そして、その昔ながらの製法で作る「高野山こんにゃく」に対する強い想いがあるのです。

私が高野山に初めて出会ったのは、まだ会社を継ぐ前の証券マンとして和歌山勤務をしていた時代でした。先輩に連れられ高野山に参拝したのがきっかけで、年に一回の高野山参りが定着。何度も足を運ぶうちに、高野山が特別な場所になっていきます。

その後父親から会社を継ぎ、縮小するこんにゃく市場を目の当たりにした私は、「従来のこんにゃくばかり作っていてもダメだ」と一念発起。こんにゃくを「食べる」のでなく「飲んで」もらおうと東京で生芋こんにゃくを使用したスムージー店をオープンさせました。

満を持してオープンしたスムージー店でしたが、客足が伸びず、二ヶ月で撤退。早すぎる撤退だったため、残務整理が予想以上に大変で、多くの課題に頭を悩ましました。

そんなとき、落ち込む私に希望を与えてくれたのが高野山でした。高野山へ詣ってその偉大さ、雄大さに触れると、それまで悩んでいたことがちっぽけに思えたのです。それ以来、ツラいときや悩んだときは、自分をリセットするために自然と高野山へ足を運ぶようになりました。

25歳で会社を継ぎ、今年で9年目となります。幾度となく壁にぶち当たり、その度に課題と向き合ってきました。それができたのは、悩むたびに高野山に足を運び、精神的に救われてきたからです。高野山のおかげで今の自分がいる。今の中尾食品がある。

なにか高野山に恩返しができないだろうかーーー。

実は初めて入山したとき、私は奥之院の線香を見て「高野山の線香の灰でこんにゃくを作れないか」というアイデアを思いついていました。灰はアルカリ性で、こんにゃくを固める凝固剤として使えることを知っていたからです。

そもそも、こんにゃくは仏教と共に日本に伝来した食べ物で、高野山と相性が抜群なのです。

毎年奥之院で行われるお大師様の御入定された日を偲ぶ儀式「旧正御影供（きゅうしょうみえく）」では、みかん箱に２つ入るくらいの大きなこんにゃくが８つも奉納されます。お大師様に一日2回お食事を届ける儀式「生身供（しょうじんく）」にもこんにゃくが使用されています。精進料理や法会にもよく使用されており、好相性です。

高野山を訪れる度に「高野山の線香灰でこんにゃくを作って恩返ししたい」という気持ちが高まりました。しかし、その足がかりもなく月日が過ぎてゆきました。「何かきっかけさえあれば」と思い、会長（中尾食品3代目で父親）に相談。
するとなんと、高野山常喜院の住職が会長の古くからの友人だということが判明！ 住職の加藤さんに話を聴いていただけることになったのです。

さらに一年後、紀陽銀行鳳支店長（当時）の福元さんのお取り計らいによって高野山の線香の灰をいただけることになり、夢が一気に現実に近づきます。

「ついに高野山の線香灰を使ってこんにゃくを作れる！」

ご縁がつながり、プロジェクトが動きだした矢先のことでした。高野山で線香を納品されている大師陀羅尼製薬の高梨社長から、「線香には身体に有害な物質が含まれる可能性があるから、食べ物に使用するのは不向き」だということを教わります。

再びふりだしに戻った高野山こんにゃくプロジェクト。しかし、諦めきれない私は、一年近く解決方法を模索します。そんな必死な私の姿を見た高梨社長から、「線香灰ではなく、高野山奥之院を守る杉をそのまま燃やして灰にしたらどうか」という助言をいただきます。

「なるほど！ 高野山の杉なら、自然のものだからこんにゃく作りに使える！」

高野山こんにゃくプロジェクトを進めるにあたって、何度も高野山の関係者と綿密な打ち合わせを重ねてきました。その中で私は「高野山こんにゃくプロジェクトの成功が、高野山への恩返しになる」と確信します。

▲高野山常喜院住職の加藤栄俊様（中央）と、高野町観光協会事務局長岡部光惠様（左）との打ち合わせ

というのも、長引くコロナの影響で、高野山はシーズンになっても観光客が少なく、宿泊業や飲食業が苦しい状況です。そんな中、この高野山こんにゃくプロジェクトをきっかけに高野山へ足を運ぶ人が増えれば、コロナで観光客が減っている高野山への貢献になるはず。くしくも、来年2023年は、弘法大師さまがお生まれになって1250年の記念の年。5月〜7月にかけては、「宗祖弘法大師御誕生1250年記念大法会」が開催される予定です。その前年に、自分が作ったこんにゃくが高野山を盛り上げる一助になれたなら、こんなにうれしいことはありません。

それに、杉の枯れ葉・枯れ枝を再利用することは、高野山の森林環境を守ることにもつながります。普段、杉の枯れ葉・枯れ枝は高野山のスタッフによって定期的に集められ、処分されています。この一部をおすそわけいただくことは、本来捨てられるはずのものが資源として活用されることになり、SDGs15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」の中の「森林の持続可能な管理」に該当します。

つまり「高野山こんにゃく」は、高野山にとっても、中尾食品にとっても、消費者にとっても、そして地球にとっても良い「四方良し」な商品なのです。

高野山初参拝から、10年余り。参拝する毎に高野山とのご縁が深くなり、この度ご縁をいただいて「高野山こんにゃく」を生み出すことができました。この「高野山こんにゃく」は、お大師様に奉納させていただく予定です。

仏教と共に伝来した当時と同じ製法で、こんにゃくが作られることはほとんどなくなりました。そして、おいしくて栄養価が高いホンモノのこんにゃくの味を知っている人は、少数となっています。

これを機に、ホンモノのこんにゃくの味を知っていただいたり、高野山を身近に感じていただいたりできるリターンをご用意しましたので、ぜひとも一緒に盛り上げてください！ よろしくお願いいたします！