高級ノートを使うと気分が上がり、仕事へのやる気も倍増しますよね。

高級ノートを使用する醍醐味は、やはりその書き味。

そして、高級感のあるデザイン性。ネームバリューなどでしょうか。

しかし、その大事な高級ノートや大切な手帳が雨やこぼしてしまったコーヒーなどで濡らしてしまう残念な思いをしたことはありませんか？

雨や汚れからノートを守り、更に便利にする高級ノート専用の本革カバーを 紹介します。

コーヒーをこぼしちゃいました！！

この企画は、私の普段の「やってしまった・・・」という経験からスタートしています。

カフェでコーヒーを飲みながら仕事をしているとき、スマホに電話が掛かってきました。

仕事に集中していた私は着信音と周囲への配慮でちょっと慌てました。

スマホを素早く取り上げようと手を伸ばした瞬間・・・

マグカップの持ち手部分に右手がヒット！！

ナミナミに注がれていたコーヒーがこぼれて、大事なノートの表紙に滴り落ちました。

すぐに拭き上げても後の祭り・・・

今まで大事にしていたノートが・・・

1000円も出して買ったお気に入りの高級ノートが・・・

見事に薄茶色のシミがついてしまいました。

同じように・・・・

寿司屋で醤油・・・

イタリアンでオリーブオイル

そんな状況でも安心な皮革を開発しました。

突然の雨でカバンがびしょ濡れ、中身も・・・

あるときには自転車で通勤中に雨が降ってきました。

有名メーカーのヒューズノックスリュックを使っていたのですが、チャックの隙間から水が入り・・・

家で開けると大事な手帳がまたしてもびしょ濡れ・・・

この2度の失敗を経て、今回このノートカバーを創ってやるぞ！！

という経緯になりました。

今回の開発ミッションは・・・

① 雨が突然降ってきてもノートの表紙には雨染みを作りにくくすること。

② コーヒーや紅茶、花瓶の水、醤油などがかかってもさっと拭き取れて汚れが本革に残らないこと。

③ A5高級ノートを守るために、表紙を折らずにスッキリ入るノートカバーにすること。

また、どんなタイプのA5ノートでも対応できること。

そして、高級ノートを美しく着飾る素材は ”本革” であること。

今回は潔くこの3点を目指しました。

折り曲げずにノートを入れられる画期的構造

今回のポイントの一つは表紙を折り曲げずに挿入が出来るにはどうすればよいか？

でした。

普通のブックカバーは両サイドのスリットに表紙を折り曲げて入れます。

しかし、高級ノートの場合表紙に厚紙を使っていたり、繊細な仕様が多いため、絶対に曲げ入れはしたくありませんよね。

そこで今回は、製法工場の職人のアイデアで、画像のように上部を開く構造にしました。

上部が空いているので、表紙や裏面を折り曲げずに綺麗にスッキリと収納が出来ます。

糸かがり綴じ製本ノートやリングノートを360度オープン！！

糸かがり綴じノート、リングノートの良いところは画像のように360度ノートが綺麗に開くところです。

今回はこの特性を活かすために、360度気持ちよく開くようにカバーも工夫しました。

立ち仕事や野外スケッチなどテーブルの無い状態でも気持ちよく使える工夫をしました。

様々なシーンで活用できることを想定し、設計しています。

ノート背表紙がぴったりと合うハーフカットスリット

背表紙の部分には、2本のハーフカットスリットを彫り込んでいます。

とても手間の掛かる作業ですが、このスリットを入れることで、ノートとカバーがぴったりと絶妙なバランスで張り付きます。

薄手のノートからリングノート、手帳まで様々なA5ノートに対応しています。

こういった細かな構造を何ヶ月にも渡り、妥協せず製法工場と打ち合わせしました。

万年筆やペンを挿せるトリコロールノートバンド

今回は写真のようなトリコロールノートバンドをオプションで作成しました。

ノートのバラケを抑制できること・・・

万年筆などペンホルダー付きなのでノート単体持ち運びしやすいこと・・・

トリコロールのシンプルでかわいいデザインなので、ワンポイントの個性が光ること・・・

トリコロールノートバンドは3種類の中からお好きな物を選べます。

ノートカバー3種、ノートバンド3種で組み合わせの幅が広がります。

ちょっとした取引先との会議に名刺を忘れた・・・・

お取引先との会議の際などに名刺をもらう事って多いですよね。

今回、特別に名刺入れを2カ所作成しました。

1カ所はお取引先の名刺を入れておくところ。

もう一つは、良く忘れがちな自分の名刺をここに忍ばせておくこと。

いざ忘れてしまったときにはここから出せば、名刺忘れの心配はありません。

また、クレジットカードやスイカなどの電子決済カードを入れておくのもお勧めです。

このようにとてもシンプルですが、使い勝手の良い構造にしています。

姫路のスーパータンナーであるセナレザー社

我が社のパートナー企業であるセナレザー社は今から約50年前に姫路の高木地区にてタンナー業（皮革製造業）をスタートしました。

現在は2代目社長が会社を守っていますが、私たちはこの会社の次期社長候補である3代目候補の中森氏（上写真）と交友を深めています。

彼は若手20代ですが・・・

タンナー業界では20代は天然記念物級に少なく、2018年に日本タンナーズ協会の調べでは、20代就業者数が全体のわずか7．3％となっています。それに引き換え、50代以上の割合は50％を初めて突破しました。

このように業界全体が急速に高齢化の波に襲われており、若手や次世代の担い手がとても少なくなっているのが現状です。

そのような中で、若手が次の時代に日本の皮革業界を残すために奮闘している中心人物がこの中森氏となります。

セナレザー社は国産牛革にこだわり、製品の製造を行っています。

【ウェットブルー】

写真のような淡い青色の美しく、柔らかな皮革原料を元に皮革の製造は始まります。

このブルーの色はクロムという特殊な金属で処理するために淡いブルーとなります。

クロム処理することで革の腐敗を抑制し、長時間の保存が実現されます。

業界用語ではこの状態を「ウェットブルー（濡れた青色だから）」と呼びます。

このウェットブルーを元に、次は写真のような大きな専用ドラムを使って染色をしていきます。

構造は至って簡単で、大きなドラム式洗濯槽と思ってください。

この中に染色したいカラーの液剤を投入したり、それを洗い流す洗剤を投入して下画像のような革らしい色に染色します。

ここで一つ疑問が浮かびます・・・

排水路を見ると様々な色の水が流れています。

これが河川に直接流れ込んだら環境汚染につながるのでは？

と思った方も多いと思います。

安心してください。

セナレザー社のある姫路レザー産地では、すべての排水路が専用の浄化施設に流れるようになっています。

河川に流れる前にはすべての汚染物質が取り除かれる仕組みとなり、公害物質は一切自然に影響を及ぼさないように配慮されています。

姫路レザーは姫路市や兵庫県などの行政のサポートもあり、公害を出さないエコでサスティナブルな皮革を製造しています。

鞣（なめ）された皮革は別工場で画像のような加工が施され、最終的な色付け工程を経て、国内や世界の鞄、靴、ランドセル、財布などの製造メーカーへと出荷されていきます。

1000年続く姫路レザーの歴史

姫路での皮革製造の歴史は1000年を超えています。

姫路は当時播磨地方（兵庫県西部）の一地区であり、延期式という平安時代中期の律令施工細則（法律書）に地名が出てきます。

以後戦国時代になると播磨地方は甲冑、武具の一大製造拠点として隆盛を極めます。ちょうど豊臣秀吉が天下統一をした時代の話です。

江戸時代には姫路藩の財政を支える特産品（姫路靼）、工芸品（白なめし革）などが生産されました。

明治維新後は海外の博覧会などに出品され、海外への輸出品として大きな産業へと発展してきました。

このように1000年脈々と伝統と技を継承してきたのが姫路レザーの原点となります。

セナレザーではその原点を大事にし、幾百年と皮革工芸が存続するために若者からベテランまでが職人の技を究めようと日々切磋琢磨しています。

国産黒毛和牛近江牛の皮を使用

今回は、国産の黒毛和牛本革を使って贅沢に作っています。

中でも産地を限定し、近江牛の皮革を選び製作しました。

食肉牛として農家に育てられた牛さんは、そのほとんどは食用として焼き肉店やスーパーなので販売されます。

しかし、皮は残念ながら食べられません。

それを近江の原皮屋（天然皮革買取業者）さんが買い取り、牛さんの命のすべてを大事に大事に余すところなく使い切ります。

今回は、その近江牛の中でも特に良い皮を厳選して仕入れています。

良い皮の条件

良い皮といってもどのような良い皮なのか？わかりませんよね。

皮革業界では最上級の皮をA反と呼びます。

そこから等級が落ちるモノをB反、C反、D反と呼びます。
A反は、最上級でほとんど何も問題が無い皮を指します。

B反は、一部に牛さんの血管跡などが残り、少しだけ使えない部分があるモノを指します。

C反は、牛が怪我をした際に出来た治療痕や原皮を剥がす際に出来る切り傷などが複数あるモノを指します。

D反は、このすべてが含まれとても使う場所が限定されてしまうモノを指します。

他にも使用制限要因は多数ありますが、ここではわかりやすいように上記のような理由で皮革にも等級があることを是非皆様に知って欲しいと思いました。

もちろん今回使っているのはA反を使用し、その中でも厳選した素材を皆様にお届けします。

特殊ウレタン充填で雨を弾く

普通のレザーでは雨を透過させてしまいますが、今回のノートカバーは特殊ウレタン充填処理という最新の技法を使って雨を透過させにくい構造へとタンニング（鞣す）した皮革を使用しています。

特殊ウレタン充填防水処理とは？

ウレタン防水とは、通常屋根の雨漏りや漏水防止の為に建築の現場で使う素材です。

建築物の場合はウレタン塗装することで、防水処理を施します。

ゴムのように柔軟性のある素材なので、地震や気候での伸縮に強く紫外線耐性も強いのが特徴です。

【防水ウレタン住宅塗装】

革には目には見えないたくさんの気孔があります。人間の肌にも汗や空気を透過させる顕微鏡レベルの気孔がありますが、牛革の皮革にも同じように穴が空いています。

この穴を通じて、革は水を吸収し、透過させてしまいます。

今回は、この穴を特殊ウレタン処理で浸透充填し、見えない穴の一つ一つを丁寧に塞ぐ処理を施しています。

この処理を施すことで、吸水しやすい革の弱点を克服し、1時間以上にわたって防水効果が持続するウレタン充填処理防水皮革が出来上がります。

非常に時間と手間・・・

それに伴う費用がかかる工程で作成されるため、このような処理をするのは5万円以上する高級な革靴などごく一部でしか採用していない、特別な処理となります。

防水皮革の証

今回の特殊皮革を皮革専門試験センターで試験してもらったところ、約60分間水を通さない結果が証明されました。

この結果は非常に優れた結果であり、ちょっとした雨やコーヒーや紅茶を零しても何の問題も無い事を表しています。

50年の経験と歴史が作り上げるとても素晴らしい才能を持った革を創造することが出来ました。

仕様

●防水本革A5ノートカバー

サイズ；350×220×3mm

素材；天然国産本革

カラー；ブラック、ネイビー、ワインレッド

●トリコロールカラーバンド

素材；天然国産本革、ポリエステル、ゴム

カラー；レッド×ダークブルー、ワインレッド×ネイビー、ネイビー×ブラウン

ONE DESIGNSのミッション

～職人さんの手仕事を守る～

先ほども少し触れましたが、現在皮革製造業界は他の製造業と同じように若手の人材不足に晒されています。

今、日本では職人さんの手仕事が少しずつ減ってきています。

機械化オートメーションが主流となり、製造業の中で生きてきた職人さんの代わりにロボットが製造する時代へ徐々にシフトしています。

しかしその波の加速はすなわち、職人の手仕事を奪うことにもなります。

私たちONE DESIGNSは職人を心からリスペクトしています。

職人さんは頑固な人が多いです。

人とのコミュニケーションが苦手な人が多いです。

しかしその反面・・・

一つのことに10年集中して誰にも作れない素晴らしい創意工夫が出来ます。

一つのモノに必死に向き合って、言葉ではなく己の技の限りを尽くして製品と向き合います。

私たちはそんな不器用だけど、とても素敵な職人さんの仕事を少しでも増やしたいと考え行動しています。

オートメーション化したロボットには出来にきめ細やかな職人の製品をお届けしたいと思います。