「自分の愛車が盗まれた！ おかしいな…車の鍵は家のなかにあったのに…」

私の友人が、“愛車の盗難にあった！”と連絡が来ました。彼とはクルマ好きの仲間同士で、普段からクルマ談義で盛り上がっています。

彼があんなに大切にしていたクルマが盗まれるとは…、その落胆たるや。想像しただけで私も悲しくなります。私はおそるおそる聞いてみました。

私「…それで、警察ではクルマは見つかりそう？」

友人「…うん。それはまだよくわからない。でも犯行の手口は、最近増えてる“リレーアタック”だって言われたよ。」

私「…リレー、・・・アタック？？」

友人「うん、最近出てきた犯罪らしい。でもクルマはロックしていたし、スマートキーも家のなかにあったのにショックだよ。」

私「なるほど、新しい犯罪か…。昔はクルマの盗難と言えば、窓を割ったり、レッカーで持ち去るような荒っぽい手法だったけど、今は違うんだね。」

友人「特にここ数年激増しているって。下手したらもの数秒で盗まれるらしい！スマートキーの電磁波を読み取り合って、犯人たちが“リレー”するとか何とか。」

私「ドアを開けるには便利だけど、スマートキーの“電磁波”がネックになったのか。なるほど。」

どうやら最近は、クルマを盗み出す新手の犯罪が広がっているようでした。

友人は、最近増えている「リレーアタック」によって、愛車の盗難にあいました。仕組みはこうです。

最近の車はスマートキーによる「プッシュスタート」と呼ばれる方法で、エンジンを掛けています。鍵を持った状態でエンジンボタンを押すと、鍵を差して回さなくてもスタートします。

電波を利用したものなので、プッシュスタート式の車であれば“リレーアタック”でエンジンがかかり、ものの数秒で盗まれてしまいます。

これは海外で撮影された、リレーアタックの手口を撮った動画です。

この動画から、ものの数秒の間だということがわかりますね。道具も大掛かりではないため、目立たず素早くドアを開けてエンジンを掛けることができてしまいます。車を傷つけることもないので、転売を狙った窃盗犯が急増しているとのこと。

ドライバーのみなさんひとりひとりが、この犯罪に対して意識を高める必要があります。

そんな友人の言葉から、PARLEYではリレーアタックを防ぐための「スマートキーケース」を開発しました。電磁波はまるで【水のよう】と例えられます。なので、狭い隙間からも電磁波が漏れないような、独自の工夫が必要でした。

代表である私が大のクルマ好きでもあり、クルマを愛する全ての人が「盗難」という悲しい経験をしないために、スマートキーの電磁波を遮断する新たな仕組みを考えることにしました。

私たちが工夫したのは以下の３つのポイントです。

①内側には特殊な電磁波シールド素材を使用

スマートキーから出る微弱な電磁波をカットします。そうすることで、キーから出ている電波を外に漏らしません。

②スナップの手間なし！薄手のマグネット式でワンタッチ開閉

あえてスナップなどキーを傷つけるものはやめました。薄いマグネットシートで開閉する仕組みにしました。

③ロック解除は、フタを開けてスマートキーをちょい出しでOK

マグネット付きのケースを開いて、中からキーを半分ほど滑り出させます。いちいちスナップを外す手間はなし！家の中ではこのケースに入れてキープを。

キーケースの素材は、PARLEYが20年以上前からブランドの顔としている「エルク(大鹿)」のレザー。北欧産の大鹿ならではの、ふわふわもっちりした独特な質感で、「いつまでも触っていたくなる」「癒される」と、ユーザーから絶大な支持を得ています。

革のなかでも、特に４ミリと厚手のエルク素材なので、ほかの革では決してできない手触り。これがクセになると評判です。

今回のキーケースは４色でご用意させていただきました。開くとカラーコンビになるよう内装も工夫しました。

キーケースの裏には、しっかりした「ナス環」をつけました。キーホルダーとつなげたり、ウォレットチェーンなどでお好きにアレンジできます。

また、ポケットは二重になっており、手前のポケットは電磁波防止シートが貼られていません。こちらには自宅の鍵やカードなどを入れておくことができます。

縫製の際には、内側に電磁波を遮断する特殊素材を挟み込み、キーから出る電波を外に漏らさない工夫をしています。

なので、「車のエンジンをかける時はフタを開けておく」ことが重要です！ここは気をけて下さいね。

流れはこんな感じです。

①ドアロックを解除するときは、ドアの前でケースからキーを少し出します。

②ドアを解除して車に乗り込んだら、エンジンをかける時までフタは開けておいてください。

③エンジンがかかったらフタを閉じて、ポケットやいつもの場所に置いてください。

すぐに慣れてしまうと思いますが、フタを閉じたままではエンジンがかかりませんので、そこはお気を付けください。

◆サイズ・・・(フタ閉じた時) 縦115ｍｍ× 横80ｍｍ× 厚み15ｍｍ

(フタ開けた時) 縦190ｍｍ× 横80ｍｍ× 厚み15ｍｍ

◆素 材・・・表 エルク(大鹿)レザー、内装 ピッグスエード

◆重 量・・・ ６５グラム

◆カラー・・・ネイビー、キャメル、パープル、レッド

革漉き、ミシン縫い、型抜きなど、様々な作業を、ここPARLEYのアトリエで行っています。

特に難しいのが、傷だらけのエルクの革をどう型抜きしていくか。

実はエルクの革はたいへん傷が多いのです。なぜなら、もともとエルクとは家畜ではなく、北欧の厳しい原野で生きていく野生動物。生き抜くためにケンカもするし、小枝などで引っ掻いた傷なども多くなります。

ただ私にとっては、エルクが生きてきた証である傷が、だんだん“デザイン”に見えてきました。それが今のPARLEYの、“傷も個性”という考え方に繋がっています。

製品に仕立てる以前に、元の革の厚みは１cm前後もありました。そこから全面に漉き(薄くする加工)を入れて、なんとか４mmに。それでも２枚合わせた縫いしろは8mmです。

この写真はキーケースの開口部の拡大です。手前のグリーンのピッグスエード(豚革スエード)に比べても、その厚みがわかるかと思います。これがふわふわもっちりな質感を生んでいます。

柔らかい素材ゆえに、ミシンが走らない、革が伸びてしまう、ピッチが狂う、などなど。初期の職人たちは本当に苦労しました。様々な試行錯誤を経て「エルク」はPARLEYの顔となり、オンリーワンの素材になっています。

私たちは、他がマネできないユニークな革を探して、魅力的なレザーアイテムに仕立て上げる、革職人集団「PARLEY(パーリィー)」です。

工房は東京都練馬区にあり、若手職人が日々技術を磨いています。2019年で創立30周年を迎えました。アトリエでは日々、ハンドメイドで職人たちがPARLEYの製品を作製しています。

また「PARLEYショップ」も、小樽、軽井沢、湯布院、京都などの有名観光地にあります。お近くにお出かけの際にはぜひお立ち寄りいただき、“もふもふ”とした手触りに触れていただけると嬉しいです。

毎日のカーライフとともに、エルク革を楽しんでいただければと思います。