テクノロジーが発達しデジタルシフトが進む現在、「書く」という行為は、生きていく上で必要不可欠な行為ではないのかもしれません。

でもだからこそ、「書く」に向き合うのであれば、『気持ちよいと思える好きな書き心地で書いてほしい』『書きたいと思った今の気持ちや内容を残しておいてほしい』。そんな思いを込めてドイツ装ノート＜PERPANEP＞を作りました。「書く」「残す」を愉しむことができる新体験のノートです。

ドイツ装は、背の部分と表紙・裏表紙に別の素材を使用した製本方法です。本商品では、ノート本体の背を柔らかい布クロスで包み、表紙・裏表紙を背からずらして貼り合わせているため、ハードカバーでありながら360°折り返して使用することが可能です。ゆったりとした自宅の机でも、狭い出先のスペースでも、立って書きたいシーンにも、様々な「書く」に寄り添います。

ドイツ装は職人が手作業で作り上げる方法で、詩集や画集など大切なことを長く残しておきたい本や書籍によく使用されています。ノートに表れた自身の思考や感情を記録するのにふさわしい製本です。本製品では、表紙にマットな質感の紙クロスを使用し、手の指紋などがつきにくくなっています。

「書き心地」と聞くと多くの人は筆記具に意識を向けますが、実は「紙」や「紙と筆記具の相性」も非常に重要な要素です。これに注目し、＜PERPANEP＞では筆記感の大きく異なる3種の紙をラインナップしています。自身の使用している筆記具に合わせて、気持ちの良い書き心地を選ぶことができます。

滑るように颯爽と書ける書き心地の紙＜ツルツル＞や、滑らかで心地よい書き味の紙＜さらさら＞では、ペンと自分がつながったような感覚になり、スラスラと気持ちのままに書き綴ることができます。

一方で、音を感じる落ち着いた書き心地の紙＜ザラザラ＞では、書く際の音や紙の抵抗感を感じることができ、書き進むほど自分の気持ちや意志が文字や線に乗るように感じます。

「書き心地」にこだわるコクヨの思い

「書く」ことによって、書き手の「話す言葉では表現しきれない感情の機微」や「頭の中で整理しきれていないこと」を引き出すことができ、頭や心の整理にも役立ちます。

また、アナログに自分で書いた言葉や文字の形には、デジタルのキーボードで打ち込んだものよりもその時の気持ちが色濃く残り、後で見返したときでも、書いた時の感情を思い出すことができます。

仕事や日常で、ふと考えたことやぼんやり頭の中にある思いつきも、実は大切なアイデアの欠片かもしれません。こういった内容を書き留めて日々記録したり、断片をつなぎ合わせておくことで、将来大きなアイデアへと膨らむでしょう。

その日起こった何気ない出来事を、感じたことと共に記録してみるのも素敵です。書くことで改めて『自分はこんな風に感じていたんだ』と心の中が整理され新たな気づきもあるかもしれません。

どこかに出かけた記録や、演劇や映画等を見た記録をしても愉しいです。日々の何でもない出来事や、日常の中の細やかな心の動きは覚えておくことがなかなか難しいものですが、記録しておくことで読み返すこともできます。日記は、当時の自分が普段どんなことに悩んでいたのか、どのように自分は変わってきたのかを残す本のような役割も果たしてくれます。

趣味として取り組んでいる料理の記録などに挑戦してみてもよいかもしれません。作る途中で気付いたちょっとしたコツや、こうしたらもっとおいしくなるかもというアイデアを書き留めたり、おいしそうにできたら写真を撮って貼ってみるのも素敵ですね。

後で振り返ったときに再現できるし、ちょっとした成長や変化に気づけたらもっと楽しくなるかもしれません。

ゴムバンドが付いているので、鞄に入れてもノートが開かず、ページも曲がりにくくなっています。

全体的に黒で統一されたシンプルなデザインに仕上げました。

コクヨは創業以来、紙にこだわりを持って作ってきました。3種類の紙の書き心地（筆記感）の違いは、＜表面の違い＞＜素材の違い＞＜密度の違い＞から生まれています。

上の画像は、原紙の表面の状態です。ツルツルは、目の細かいパルプを使用しているのに対し、ザラザラは粗くて大きいパルプを使用しています。

特に、表面には繊維の太いパルプを配合しており、こういった表面のパルプの違いが筆記感の違いを生んでいます。さらさらは、適度な平滑性があるため手触りも心地よく、多くの筆記具で使いやすい紙質が特長です。

上の画像は、原紙の断面図です。黄色の部分は空気を表しています。ツルツルは、強いプレス加工により繊維の密度が高く紙に空気を含まないため、表面のパルプ構造が超平滑で流れるように書ける仕様となっています。

一方でザラザラは、適度な空気を残しており、表面の凹凸感を出しながら表面の硬さをキープすることで、動きや音を強く感じながら軽いタッチで書けることが特長です。

コクヨは、何気なく行われている「書く」を多くの人に愉しんでほしいと考えています。ドイツ装ノート＜PERPANEP＞で「 書く」「残す」をぜひ愉しんでください。

様々な「書く」を愉しんでもらうために、コクヨにできることは何か。

これまでノートを作り続けてきた技術を振り返ったときに、見えてきた1つの答えは「これまでにない、気持ちよい『書き心地』を生み出すこと」でした。

「気持ちよい『書き心地』」の紙は一通りではなく、人によっても、使用する筆記具によっても異なることが分かっていました。そこで＜PERPANEP＞のプロジェクトは、筆記感が大きく異なる複数の紙の開発からスタートしました。目指したのは「極端な筆記性」です。すべるような滑らかさの＜ツルツル＞から、心地よい引っ掛かりを覚える＜ザラザラ＞まで、幅広い書き心地の実現を目指しました。

しかし、「極端な筆記性」と言いつつも、前提として守るべきことは「書きやすい」ことだと考えています。

例えば、紙質をザラザラにしていけば筆記が重く、書きづらくなってしまうのが一般的です。ザラザラなのに書き心地が軽い、書きやすいという一見すると相反する理想を実現するためにはどうするべきか。

開発のメンバーは、人が感じる書き心地を数値で評価できるような研究を行い、試作品を、人の感性的な評価だけでなく数値による客観的な評価でも比較することで紙質をブラッシュアップしていきました。

こうした研究開発の末に生まれたのが、＜PERPANEP＞の3種類の紙です。

こうして生まれた紙を、「ドイツ装」という製本でノートに仕立てました。ドイツ装は、特に製本の際の糊付けに高度な技術を要し、1冊1冊職人が手づくりでつくっています。コクヨとしてもこの製本は初めての挑戦のため、開発担当は折り返しのしやすさを追求し、1mm単位での試作研究を繰り返しました。

たくさんの難しさがあっても、この「ドイツ装」に拘る理由は、様々な書くシーンにふさわしいだけでなく、振り返ったときに気持ちや考えなどの大切なことを教えてくれる「本」のような、残り続ける存在になってほしいからです。

たくさんの研究を経て生まれたこのノートを通じ、「書く」「残す」を愉しんでいただきたいと思っています。ドイツ装ノート＜PERPANEP＞の応援よろしくお願いします。

コクヨ株式会社
左から
粕谷高太郎（商品企画）
椿裕尊（商品開発）
吉田慎平（商品開発）
中村ちえ子（商品開発）
大塚陽子（デザイナー）
牛嶋美月（生産管理）
清水陽芳（元商品企画）

Q. 実際に試し書きしたいのですが。
A. コクヨの品川オフィスに併設されている「THE CAMPUS SHOP」にて、サンプル品を展示予定です。こちらでは、実際に手に取って商品をご覧いただいたり、試筆いただけます。
品川オフィス「THE CAMPUS」：https://the-campus.net/

Q. 他社の高級ノートとの違いは何ですか。
A. 大きく、紙質と製本が挙げられます。 ＜PERPANEP＞の紙質は、紙質が選べること以外にも、インクの濃淡が出やすく、裏抜けや裏移りがしないように開発しています。また、ドイツ装という製本により、スムーズな折り返しや開閉を実現しているのも強みの一つです。

Q. 万年筆を使いたいのですが、裏抜けや裏移りはしませんか。
A. インクの吸収度合いを調整し、裏抜けや裏移りがしづらい紙となっています。どの紙も、万年筆やガラスペンなど、インクを使用した筆記にも適しております。

Q. どのような用途に使えばよいかわかりません…
A. 様々な「書き方」を紹介するメディアを今年中にオープンする予定です。働く・学ぶ・暮らす、様々なシーンでの使用方法を紹介する予定ですので、ご自身にぴったりのノートの書き方を探してみてください。最新情報については、活動レポートにてご報告していきます。

Q. 紙質でノートの厚みに違いはありますか
A. 紙のプレスの度合いの違いから、ノートの厚みにも違いが生まれています。
＜ザラザラ＞が、他の2種類の紙に比べて分厚くなっております。

Q. 日本製ですか。
A. 日本製です。

Q. PERPANEPというブランド名の由来は何ですか。
A. PAPER（紙）とPEN（ペン）のアナグラムからできています。自身の筆記具に合う紙質を選ぶことで、気持ちの良い書き心地を実現してほしいという願いを込めました。