はじめまして、自由が丘で絵本と知育おもちゃのセレクトショップ「PonoLipo Shop 自由が丘」を営んでおります小高美保です。「子どもと一緒に大人も楽しく遊ぶ」をテーマに、世界各国のおもちゃや、英語と日本語の絵本を扱う小さなお店です。子供の発達・認知に配慮したデザイン、知的好奇心を刺激するコンテンツ、そして、心の深いところを育むとされる、昔から伝承されてきた物語や童話を意識して、絵本やおもちゃをセレクトしています。

　19世紀末ロンドンの民族学者アンドリュー・ラングが、世界中の口頭伝承の民話や昔話を集めて出版した12冊のシリーズ「ラング世界童話全集」をご存知ですか？日本では、川端康成氏と野上彰氏が編訳という形で出版したものが、現在偕成社より「ラング世界童話全集」として出版されています。

　この「ラング世界童話全集」の素晴らしさを子どもの心の発達に資する点からも再評価し、広く皆さまにご紹介したいという思いから、このプロジェクトを立ち上げました。

偕成社文庫「ラング世界童話全集 1 みどりいろの童話集」

川端康成・野上彰＝編訳　　偕成社＝刊

　私の営む小さなお店でご紹介できる良い物語集はないものかと探しておりましたところ、この「ラング世界童話全集」に巡り合ったのです。川端康成氏のファンの私が、この物語集のことを全く知りませんでした。本好きの友人知人に話しても、ほとんどが知りません。ひとり子どもの頃に読んでいたという友人がいて、しきりに懐かしがっていました。少し埋もれてしまっていた物語集なのです。

　けれど不思議なことですが、埋もれてしまっていたこと、著作権者の方が、ちゃんといらっしゃったということが幸いして、ここ20年ほどの間に進行した、残酷だからとか差別的だからとかいう勝手な剪定の手が加わらず、突飛な展開やおかしな時間経過なども、そのままの形で残っています。面白い夢を見て目覚めた時のような不思議な読後感があります。ユング心理学的な観点から見て、まさに理想的な、人間の心の深いところに働きかける物語集なのです。

　私は、学生時代よりユング心理学に共感するところがあり、ユング研究の日本での第一人者河合隼雄さんがおっしゃっているように「昔話は、心の奥底の深いところに効く」と信じています。「心の深いところに効く」状態のまま、現在も静かに存在する「ラング世界童話全集」に出会った時は、「コレだ！」と感動しました。

　PonoLipo Shopを立ち上げて5年目になりますが、次々と子供向けの良書が絶版となっています。また小学校や幼稚園の図書を支えていた町の小さな書店も、次々と姿を消しつつあります。民間伝承も、ほとんど日常語られなくなりました。子供達の周りから、どんどん物語が減少していっている中で、何とかこの物語集を子供達に届けたいと思いました。

　このままでは、この「ラング世界童話全集」も絶版になってしまうのではないかという危機感も持ちました。お店で一生懸命お客さまにお話しながら販売を始めたのですが、なかなかその良さが伝わらず、もどかしい思いを抱え、何か大胆なプロモーションをしなければと思い悩んでおりました。

　ちょうどその頃お知り合いになったクラシックギタリストの佐藤洋平さんが、物語の朗読に伴奏をつけて、まったく新しい物語体験を創作する試みをされていて、友人で美声の声優・ナレーターをしている友川まりさんと、おふたりに、この「ラング童話」をクラシックギターの伴奏付きで朗読して、ライブイベントをやりながらCDと本を紹介して販売していくことはできないだろうかと相談すると、お二人とも快く協力して下さり、一緒にこのプロジェクトをやっていこう！ということになりました。

　今回のCD制作にあたっては、「ラング世界童話全集」の出版元である偕成社の許可もいただき、編訳者のひとり野上彰氏のご息女で、現在の著作権者である藤本ひかりさんからもご支援をいただき、企画を実現させることができました。

　先日2018年9月25日、3人で創り上げた第1弾「花さく島の女王」（偕成社文庫「ラング世界童話全集 1 みどりいろの童話集」川端康成・野上彰＝編訳、偕成社＝刊 より）のCDを、PonoLipo Shopで販売開始し、「自由が丘Kids Fes」のライブイベントでお披露目いたしました。

　いよいよ、このプロジェクトが、ここから発進！というところです。そこで、皆さまのお力添えをいただければ、広く「ラング世界童話全集」の良さをお伝えしていくことが叶います。どうか第2弾の物語体験CD「リュート弾き」（偕成社文庫「ラング世界童話全集 2 ばらいろの童話集」川端康成・野上彰＝編訳、偕成社＝刊）の制作をご支援下さいますよう、お願いいたします。

　「ラング童話」の物語体験CDを制作することになった経緯を詳しくブログ「PonoLipo 子ども Lab」に書きましたので、ご興味がおありの方は、そちらもご覧下さい。

「花さく島の女王」CD制作プロジェクトについて（１）

「花さく島の女王」CD制作プロジェクトについて（2）

「花さく島の女王」CD制作プロジェクトについて（3）

ラング童話をクラシックギターの伴奏付きで、聴いて楽しむ物語体験CD

第1弾「花さく島の女王」

（偕成社文庫「ラング世界童話全集 1 みどりいろの童話集」川端康成・野上彰＝編訳、偕成社＝刊）

9月25日より発売を開始。美しい南仏の民話です。魔法の力による大胆な場面転換と色彩豊かな情景描写が、想像力をかきたてます。佐藤洋平さんの美しいクラシックギターの調べと友川まりさんの澄んだ声の朗読で、色鮮やかな夢の世界に浸る心地よさをご堪能下さい。

朗読：友川まり

作曲・クラシックギター伴奏：佐藤洋平

ジャケットイラスト：Naffy

グラフィックデザイン：大房泰子（Miray Design）

企画・制作：PonoLipo Co., Ltd. 小高美保

＜内容＞

1、「花さく島の女王」クラシックギター伴奏付き朗読

2、「花さく島の女王」クラシックギター演奏のみ

第2弾「リュート弾き」

（偕成社文庫「ラング世界童話全集 2 ばらいろの童話集」川端康成・野上彰＝編訳、偕成社＝刊）

現在企画進行中の第2弾は、ロシア民話です。クラシックギターの前身となるリュートという楽器を弾いて歌を唄って旅をする少年に扮したお妃さまが、囚われの身になった王さまを助け出す冒険とロマンに溢れたお話です。佐藤洋平さんの作曲作業も順調で、ロシア民謡のフレーズなどを織り込んで、今回も美しい音世界を築いて下さっています。

＜内容＞

1、「リュート弾き」クラシックギター伴奏付き朗読

2、「リュート弾き」クラシックギター演奏のみ

◆アーティストのプロフィール

友川まり

国立音楽大学卒業。声優・ナレーター（賢プロダクション所属）賢プロ主催読み聞かせ広場「けんけんぱーく」メンバー。自由Tube代表、声楽ソプラノ歌手、スマイリングホスピタルジャパン登録アーティスト。

佐藤洋平

玉川大学芸術学部卒（クラシックギター専攻）ギタリスト・リスニング絵本作家。（株）OTOBANKよりリスニング絵本作家として2017年デビュー。ギターと朗読で構成された《耳でみる絵本》を胎児期～児童期まで各対象期別にリリース中。テレビ・ラジオに取り上げられる。書籍 耳でみる絵本『クロッポー＆Cloppo』を愛育出版より出版。

・第1弾「花さく島の女王」と第2弾「リュート弾き」のライブイベントを商業施設や教育施設、お祭りなどの場で、CD・書籍の販売とセットで展開していく費用に充てます。

・第3弾の企画制作実現の費用としていきます。

◆リターンについて

1,300円コース：【100名様限定】聴いて楽しむラング童話、物語体験CD「花さく島の女王」か「リュート弾き」のいずれか1枚。

2,500円コース：【100名様限定】聴いて楽しむラング童話、物語体験CD「花さく島の女王」と「リュート弾き」の2枚セット。

6,000円コース：【25名様限定】聴いて楽しむラング童話、物語体験CD「花さく島の女王」と「リュート弾き」の2枚セット+ライブイベント参加権。

15,000円コース：【2名様限定】CD2枚セット+偕成社刊「ラング世界童話全集全12巻」＋ライブイベント参加権

18,000円コース：【3名様限定】CD2枚セット+偕成社刊「ラング世界童話全集全12巻」＋ライブイベント参加権＆パーティーにご招待。更にPonoLipoから輸入絵本のお土産付き

小高美保

筑波大学人間学類心理学専攻。セゾングループの市場調査会社と小さな企画会社を経てフリーに。その後夫の海外赴任で、ハワイでの子育て生活を体験。帰国後フリーを経て、食品製造販売会社のネット通販部門の責任者を務めるも、体調を崩して専業主婦に。子供の大学進学と同時に株式会社PonoLipoを設立し、2014年夏自由が丘にPonoLipo Shop自由が丘をオープン。「子どもと一緒に大人も楽しく遊ぶことが、一番大切な知育」をモットーにセレクトした絵本とおもちゃを販売している。最近は、子ども園や英語教室、アフタースクールなどのライブラリー構築の仕事にも力を入れている。8月より友川まりさんと一緒に「自由が丘Kids Fes」というイベントを立ち上げ、毎月1回開催中。

　「ラング世界童話全集 2 ばらいろの童話集」に収められている「かえる」という短いお話を3才から9才までの子どもたちに読み聞かせした後、ピクチャーカードを使って、自分の引いたカードの絵を使って物語を繋いで創作していくというワークショップを、この夏2回ほど開いたところ、泉の水が湧き出るように、小さな子供達の口から積極的に言葉が紡がれて、大興奮のうちにどんどん語彙が豊かになっていくという経験をしました。

　この「ラング童話」を使って、そうした物語のワークショップも、今後広めていけたらと考えています。「ラング世界童話全集」の懐は、ほんとうに深いと実感しています。絶版になってしまわないよう、この機会に多くの方が「ラング世界童話全集」と出会っていただければ嬉しい限りです。まずご自身で楽しまれて、周囲の方々に広めていっていただければ幸いです。

◆この物語体験ワークショップの様子は、ブログ「PonoLipo 子ども  Lab」に、詳細なレポートを掲載しています。ご興味がおありの方は、下記記事をご覧下さい。

「PonoLipo 子ども Lab」：6/3 物語体験ワークショップのご報告