フルスケルトンのトゥールビヨン まだ見たことのない腕時計を作りたい

一般的なトゥールビヨン時計はせっかくの美しいムーブメント構造をなぜ隠してしまうのだろうか。この疑問からすべてが始まりました。

せっかくの美しいムーブメントを隠してしまうのはもったいない。トゥールビヨンの全てを全方向から味わい楽しめるような、フルスケルトンの腕時計が作れないものか。

そんな着想から一年を経てゼロタイム完全オリジナル・フルスケルトン・トゥールビヨン ZEROO T1 THE ARCHER が誕生しました。

ZEROO T1 THE ARCHER 透明感を追求

フルスケルトン・トゥールビヨンのムーブメントを堪能するため、風防と裏蓋に高い透明度を持ち強靭さも兼ね備えたサファイア・クリスタルを採用。

側面のクリア素材には一昔前に腕時計の風防素材として使用されていたPMMA（アクリル樹脂）を採用。時計に全方向からの光を取り込むことに成功しました。

ゼロタイム独自開発

ムーブメントを格納するケースもゼロタイムが独自にデザイン。高級腕時計にも採用されている316Lステンレスを用いてフレーム型フルスケルトンタイプをこの時計専用に完成させました。

なぜ美しいムーブメントを隠してしまうのか？

T1の始まりはデザイナー兼エンジニアでありゼロタイムのオーナーでもあるSYUU KIRYOがふと抱いたこの疑問からでした。

通常機械式腕時計は複雑な機構を要するムーブメントを固定させるためにプレートを用います。このためムーブメントの大部分は隠されてしまいます。

オープンハードなどのモデルでは中心を少し開いて構造が少しだけ見えるようになっているもののごく一部分が見られるだけです。

せっかくの美しい機構が見られないはもったいない

そう考えた我々はトゥールビヨンムーブメントの本当の美しさを味わうために、違った方法があるのではないかと考えました。

※上記画像の時針分針はプロトタイプです。本生産はLuminovaが広くなります。

トゥールビヨンの精巧な動きを味わい尽くす

全方向から見て味わい楽しめるような時計を自分たちの手で作る。これを目標に社内のスタディが始まりました。

多くのトゥールビヨンはダイアルの一部分だけをオープンにして機構の動きを見せています。しかしそれでは勿体ないと常々感じていた我々はトゥールビヨンの精緻な動きを満喫するために、機構を収めるケースこそオープンでなければならない、つまり側面からもムーブメントを眺められるようなものであるべきだと考えました。

開発にあたっては想像以上に大きな壁があることがわかりました。技術的な課題やコストの問題。世界的な感染症問題の影響もありました。しかしどんなに大きな困難があっても理想の時計を世に送り出すことを決意し開発の手を緩めることはありませんでした。

構想から1年の期間と様々な試行錯誤を経て、ようやく完成したフルスケルトン・トゥールビヨン ZEROO T1 THE ARCHER をご紹介します。

ZEROO T1 FULL SKELETON TOURBILLON THE ARCHER

時計の心臓部であるムーブメントはトゥールビヨンの専門メーカーと共同でZEROO T1 TOURBILLON を開発。さらにゼロタイム自社でフルスケルトン専用ケースを開発しました。

ケースフレームの素材には、高級ブランド時計にも採用されている316Lステンレススチールを使用。側面の透明感をもたらすケースにはPMMAを使用しています。

PMMAは以前の腕時計では最も強度を必要とする風防に用いられていた素材です。

ZEROO T1 WINDING BY HAND

T1は手巻き式ムーブメントになります。

リューズを時計回りに回転させることでゼンマイの巻き上げが可能になります。リューズは頻繁に使うパーツであるため、大きさや使用感について最後まで検討に検討を重ねました。

FULL SKELETON TOURBILLON

ムーブメントとケースがスケルトンである以上、針の透け感にもこだわりました。

ムーブメントを楽しむことと時間を読み取る視認性を両立させるため、針の太さや夜光部位のスペースについては連日スタディを繰り返しました。

針とインデックスには夜光Luminovaを採用しています。

DIAL/BACK WINDOW : SAPPHIRE CRYSTAL

風防と裏蓋のガラス面にはサファイアクリスタルを使用しています。抜群の透明感と強度によりトゥールビヨンの動きを存分に味わえるようになりました。

CASE MATERIAL: PMMA

側面からの視認性を得るため内側ケースには、高硬度・高透明度を備えたアクリル素材PMMAを使用しています。キャリッジの緻密な動きを側面から見て楽しむことを実現しました。

DOUBLE SPRING

ZEROO T1は手巻き式ムーブメントです。ノーマルポジションにあるリューズを時計回りの方向に回転させゼンマイの巻き上げを行います。

メインスプリングを二機搭載することで、駆動可能なパワリザーブ時間は約70時間にものぼります。

※繊細な構造のため一回の巻き上げは10回程度に留めることをお勧めします

THE ARCHER

ムーブメントを固定するフレームパーツの形状が射手の弓に似ていることから「ジ・アーチャー」の名を与えました。時計の針が午後3時付近に至るとき分針があたかも今放たれるばかりの弓矢のように感じられます。

STRAP＆D-BUCKLE

ZEROO T1 THE ARCHERのストラップにはブラックのアリゲーター・ラージスクエアが付いています。時計本体の透明感と輝きに見劣りしないベルトに仕上がっています。ステッチングをハンドメイドで行い裏面のピッチにまでこだわっています。

時計に固定するバネ棒はイージークリック式を採用しておりベルト交換時の脱着を簡単に行うことが出来ます。

バックルにはデプロイタイプを採用。バックルはサイドプッシュボタン式で簡単に展開されます。

内側には高級腕時計ブランドも採用するペルラージュ加工が施されています。細部の美しさにまで拘りました。

LIMITED EDITION: SERIAL NUMBER 100

ZEROO T1 THE ARCHERは100個の限定生産となっています。ケース裏面にシリアルコードが刻印されています。

DESIGN MAKING MOVIE

フルスケルトンケースのデザイン工程を短く動画にまとめました。

この3Dモデリングを見たとき社内スタッフも色めき立ちました。開発中であるこのケースであれば側面からムーブメントを見ることができるとわかったからです。

これまでにない時計を作ることができるという期待と興奮、確かな手応えを感じた瞬間でした。

全く新しいフレーム固定式のムーブメント

時計の心臓部であるムーブメントは、香港にあるトゥールビヨン専門メーカーとの共同開発を行いました。

トゥールビヨンの中心部であるキャリッジはじめ精緻なギア類等大切な機構を固定しなおかつ全てが見られるようにするため、従来のプレート方式ではなく新しいフレーム構造をもつムーブメントが考案されました。

メーカーのエンジニアと数多くのやり取りをこなし、試行錯誤を経て力強さと美しさを合わせ持つZEROO T1トゥールビヨンムーブメントを誕生させました。

このムーブメントがなくてはフルスケルトンという発想にも至らなかったことでしょう。

長時間の動作を可能にするためメインスプリング（ゼンマイ）が2機搭載されています。これにより約70時間のパワーリザーブ が可能となりました。

この画像でもお分かりいただけるように裏側もたいへん美しいムーブメントです。裏側からもトゥールビヨンの精密な動作を味わって頂けます。

開発ストーリー

ZEROO T1ムーブメントにふさわしいオリジナルケースを開発

素晴らしいムーブメントを収めるためのケースを作ることにも強いこだわりがありました。フルスケルトンでなければこのトゥールビヨンの魅力を100%引き出せないからです。

このムーブメントの美を堪能するためにはどうしても全方面から光を取り入れたい。この理想を実現するため、表、裏、側面からも構造部分が見えるようなケースを開発する必要がありました。

少しでも多くの光を取り込むためラグ部分もスケルトン形状としました。特に側面からの光を取り入れる構造は難しく試行錯誤の連続でした。

時計の顔でもある風防素材にはサファイア・クリスタルを採用。高硬度による保守性と高い透明性を両立します。

側面ケースPMMA（高硬度・高透明度アクリル樹脂）

側面に配するケース素材の選定は非常に難航しました。高価な素材を使うことは理想ですが、完成したものが手の届かない現実的な金額でなくなってしまうことは避けたいと考えていました。

そこで高品質と価格の手頃感のバランスを取るため、比較的安価でありながらもハイクオリティのPMMA（高硬度・高透明度アクリル樹脂）を選定。

これは一昔前の腕時計に使用されていた高い透明度と強い強度をもつアクリル樹脂で、強度的にも横からの光を取り入れることを可能にしつつコストを抑えることに成功しました。

側面をスケルトンにしたことで腕に装着している時も光が入るようになり、このトゥールビヨンが巧緻なリズムで時間を刻む様を様々なシーンで存分に味わうことが可能になりました。

※画像はプロトタイプです

トゥールビヨンは6時位置にキャリッジを配置することが多いのですが ZEROO T1 THE ARCHERのムーブメントでは9時の位置に据えられています。

6時位置にはベルトを装着する必要がありここから光を取り入れることが不可能になります。ZEROO T1はキャリッジの位置を移動させることで美しく透明感の高いフルスケルトン・トゥールビヨンを実現可能としました。

短針長針もスケルトン形状としムーブメントを楽しむのに邪魔をすることなく、時刻を把握するための視認性を高めるため 0.1ミリ単位の修正を繰り返しました。

インナーベゼルのインデックスと針の先端部に夜光ルミノーバ（Luminova）を採用し、夜間暗闇でも問題なく時間が認識できることと美しい輝きの両方を実現しました。

ムーブメントの歯車類を固定するためのパーツがストリングをいっぱいに引かれた矢を射る弓の形状に似ており非常に美しいことから、この時計には特別な名を与えることにしました。

THE ARCHER（ジ・アーチャー）

THE ARCHER は、トゥールビヨンの持つ高級感、雅、気品等の、エレガンスで美しいイメージにスケルトンという要素を融合することで、究極の透明感を実現しました。

トゥールビヨンという機械式腕時計の頂点、緻密で芸術的な構造を極限まで見て味わうことのできる他に類を見ない特別な腕時計を作り上げました。

ZEROO T1 THE ARCHERをぜひ多くの方に楽しんで頂きたいと願っております。

パッケージ/PACKAGE

ZEROOシリーズ純正ケースはブック型のパッケージで統一されています。見開きには取り扱い説明と保証に関して記載されています。フィルの方にはスペック表記があり時計本体とベルトが大切に埋め込まれた形でお届けいたします。

※パッケージにもシリアル番号の記載がございます

ブック型ケースが保証書でもあります。一般的な時計ボックスは収納場所に困ることが多いのですが、ZEROOのブックケースは本棚に収納できるようになっています。

※パッケージフィル部形状は本生産分とは異なる場合がございます

※Galleryの画像はプロトタイプとなり、針Luminovaのサイズやリューズの形状が本生産のものとは異なります。

品番：ZT001SBK

ブランド：ZEROO

ムーブメント：ZEROO T1 TOURBILLON

振動数：28800

表示タイプ：アナログ

風防/裏蓋ガラス素材：サファイア・クリスタル

ケースフレーム素材：316Lステンレススチール

ケース素材：PMMA（高硬度/高透明度アクリル樹脂）

ケースカラー：シルバー

ケースサイズ：43mm

ケース厚さ：11.5mm

ベルト素材：アリゲータ・ラージスクエア（ハンドステッチ）

ベルトカラー：ブラック

ベルト取付幅：21mm

バックル：Dバックル（ペルラージュ加工）

重量：69g

耐水圧：3ATM

機能：夜光表示Luminova（針、インデックス）

文字盤形状：ラウンド

付属品：純正ケース

保証期間：5年

製造拠点：中国

品質管理：ゼロタイム東京工房

ZEROO T1 THE ARCHERには、5年間の保証が付属いたします。

保証期間内に起きた自然故障について修理にかかる費用はゼロタイム株式会社が負担いたします（自然故障か物損かの判断はお品物拝見後ゼロタイムが慎重に裁定をいたします）。ゼロタイム修理センター迄とご返却時の往復送料はお客様にご負担をお願いしております。

オーバーホールについては 25,000円（＋税）にて承らせて頂きます。必要になる時間は個別に連絡をさせて頂きます。

※お客様ご自身（あるいは時計修理店等第三者）による修理跡がみられたり、裏蓋を開けた形跡がありますと保証の対象外となる場合がございます。

※保証書（ZEROO T1 THE ARCHER専用化粧箱）を紛失されますと保証を受けられなくなります。

取扱と保管の注意点

繊細な構造をもった機械式時計のため、衝撃を加える、水気にあてるなどのお取り扱いはお控えくださるようお願いします。リューズは内部の機構をダイレクトに操作する部位のため丁寧にお取り扱いください。また保管の際は、磁気の近く、湿気の多い場所、紫外線が直接当たる場所等を避けてください。

Q：取り扱い説明書はありますか？

A：バッケージにプリントされております。ケース自体が保証書にもなっていますので大切に保管して頂けますようお願いいたします。

Q：返品交換は可能でしょうか？

A：お客様都合による返品・交換は承っておりませんのでお申し込み前に十分なご検討を頂けますようおい願いいたします。

Q：ベルトは交換できますか？

A：可能でございます。取付幅21mmでバネ棒で固定するタイプのものでしたら交換可能となります。純正品はゼロタイムでもお求め頂けます。

Q：手巻きとのことですが稼働時間はどのくらいでしょうか？

A：ゼンマイがフルに巻き上げられた状態で約70時間でございます。但し、巻き上げ過ぎは繊細なムーブメントに悪影響となり、故障の原因となりますのでご注意くださるようお願いします。ご使用前10回程度の巻き上げに留めることをお勧めしております。

Q：使用上の注意点はありますか？

A：非常に精巧な作りのため時計に強い振動等が加わる動作（スポーツ等）で強い衝撃が加えられないようご注意をお願いします。また磁気、湿気、紫外線に晒されない場所での保管をお願いいたします。

Q：機械式時計が初めてですがお手入れ方法を教えてください

A：腕時計の風防・ケースが汚れた場合メガネ用クロスのような柔らかいもので優しく拭き取るようにしてください。ストラップについては一般的な革製品と同様のお手入れでかまいません。

Q：防水仕様ですか？

A：3ATM日常生活防水仕様となっております。水に浸す等の行為や水圧の強い水場（シャワー等）でのご使用はお控えください。

ABOUT US

ゼロタイムは2017年12月設立の東京郊外に拠点を持つ腕時計メーカーです。2018年ダイアルに針のないファッションウォッチ ZEROO ARTを開発。同年8月よりに正式に販売をスタートさせました。

その後も新たな腕時計開発に取り組み 2020年8月には CLASSIC MOON PHASE1を発表。現在も複数のプロジェクトを進めています。

なかでも今回開発のT1 THE ARCHERは ZEROOブランドの要、中心的プロジェクトと位置付けて会社の全リソースを投じて開発に取り組みました。