芋焼酎「天狗櫻ベニハルカ」

焼き芋やお菓子の原料としても使用される上品な甘さの品種「ベニハルカ」を原料に、フローラルで野イチゴや梅のような甘酸っぱい風味を目指して造りました。

ロックはもちろん、お湯割り、水割り、ロックの他、フローラルな風味を楽しめるソーダ割もお奨めです。蒸留酒ですので、甘酸っぱさはほのかに感じられる程度ですが、さつま芋由来の香ばしく優しい香り、甘くコクのある味わいの後に感じられる芋の余韻をお楽しみ下さい。

有限会社白石酒造について

有限会社白石酒造は明治27年創業。それ以前より酒造業を営んでおり、江戸時代には清酒を仕込んでいたという記録が残っています。

現在は芋焼酎のみを製造しており、家族4人とスタッフ2人、そして地元の方々の力を借りながら、地域に根差した酒造りに励んでいます。

焼酎製造のこだわり

一次、二次とも伝統的な「甕仕込み」製法で。

まず始めに、蒸した米を冷ましてから、麹菌をかけて麹米を造ります。石室の中で室蓋を使って麹造りを行い、2日間十分に麹菌を生やします。

次に、麹米と水を混ぜ合わせ（一次もろみ）、酵母を添加せず７日間以上かけてゆっくりと発酵させます。

次に、一次もろみにさつま芋、水を加えて発酵させます（二次もろみ）。甕ごとに発酵のばらつきが出るのを防ぐため、一度中間タンク内で混ぜ合わせてから甕に移し、10日間発酵させました。

芋は自社畑で栽培したベニハルカを使用。

「ベニハルカ」は、糖の含量、特に麦芽糖が多く上品な甘さの品種です。蒸す、焼くなどの加熱調理後の肉質は、掘りたてはやや粉質ですが、貯蔵すると粘質になり、甘みがさらに増してきます。滑らかな舌触りが特徴で、滑らかさを活かし、ペーストにしてお菓子に利用するのに最適で、スイートポテトやプリンなどに利用されています。（参考文献：農研機構）

芋本来の風味を引き出せるよう、自然に近い栽培方法で育てています。
また、ベニハルカの持つフローラルな風味を強く出す為、密植栽培（苗を植える間隔を通常より狭くすること）し、小ぶりなさつま芋となるように育てました。
重量は同じでも、小さい芋の方が皮の部分がより多く含まれるようになるからです。

収穫後はコンテナで30日程貯蔵し、糖度を上げるために水分を飛ばしてから使用しています。

この地域でしか出せない味わいを目指して。

蔵に入り、焼酎造りに携わるようになってから、製造技術の向上はもちろんのこと、原材料の重要性についても深く考えるようになりました。
この土地で酒造りに携わる意義を考え、入社から5年後、地元で耕作放棄地となっていた土地をお借りして自社畑を造り、芋の栽培を始めました。

最初は1か所だった畑も、16年目となる現在では8か所に増えました。同じ町内でありながら、地区が異なると土質も異なります。

植え付け直後から収穫までの期間、雑草との戦いが続きます。さつま芋の蔓は上ではなく横に伸びるので、雑草が生えると日光が遮られ成長できないからです。自然に近い栽培方法で育てている為、当たり前のように虫に葉や芋を喰われますが、当蔵では、それも自然の摂理と考え、虫食いによる独特なフレーバーも芋の特性の一部としてそのまま活かしております。

蒸留は木桶蒸留器のみを使用。

わたりと蛇管は錫製で、柔らかい味わいに仕上げました。水は仕込み水、和水水ともに蔵内の地下水を使用しています。

商品情報

品目：本格焼酎

原材料：芋（いちき串木野市産）、米こうじ（鹿児島県内産米）

アルコール度数：25度

容量：1800ml ／ 720ml

保存方法：無濾過の為、包装紙を巻いた状態のまま保管されることをお勧めします。

最後に

蔵は鹿児島県のいちき串木野市にあります。すぐ近くには日本三大砂丘である吹上浜へと続く砂浜と東シナ海が広がり、毎年ウミガメも産卵に訪れる風光明媚なところです。

肥料を使っていない芋は素朴な味わいですが、体に浸透するような優しさを感じます。この地域の風土とともに作った芋を使うことによって、安らぎや懐かしさといった、もう一つの故郷を思い浮かべるような味わいを目指して芋焼酎を造っております。

今回を機に、芋焼酎に興味を持つ方が増えて下されば幸いです。お好きな方はもちろんのこと、今まであまり焼酎を飲んだ事のない方にも、是非楽しんでいただきたいと思っております。