プロジェクト概要

元禄年間(1700年ごろ)創業、山形県南部・高畠町の山奥にある緑に囲まれた日本酒蔵「米鶴(よねつる)酒造株式会社」です。

1983年から地元農家の皆さんと共に酒米栽培から手掛ける酒造りを行っております。

今回は定番の純米・大吟醸酒に、普段は山形県内でしか流通しないと特等米使用の純米酒も楽しめる、米づくりからこだわっている米鶴酒造だからこそ「酒米の違い」を堪能いただける飲み比べセットをお届けいたします。

プロジェクト詳細

現在、米鶴が地元農家さんと共に手掛けている酒米は6種類。

米鶴蔵人が開発した「亀粋(きっすい)」、亀粋のもととなったルーツ米「亀の尾」、山形県で開発された３種「雪女神」「出羽燦々」「出羽の里」、酒米栽培当初からずっと栽培し続けている「美山錦」です。

【戦後初めて個人による新品種登録を成し遂げた酒造好適米・亀粋と、そのもととなった名品種・亀の尾】

蔵元が酒米栽培から手掛ける中で「亀粋」の新品種登録は大きな成果です。

蔵人でもあった志賀良弘が「亀の尾」育成中に偶然見つけた突然変異種の粒を確認したところ綺麗な心白があった・・・それが始まりでした。若い頃から米作りが大好きだった志賀はとても心が躍ったそうです。

選抜育成を経て1993年に登録され、米鶴自慢の酒米のひとつとなりました。

「亀の尾」「亀粋」ともに６種の酒米の中で栽培が難しい品種ですが、だからこそ農家の技術を磨き良い米に育て甲斐があると楽しそうに話していました。

綺麗でやわらかい風味の「亀粋」は女性的、辛口でしっかりした風味の「亀の尾」は男性的な印象があります。

【最初に取り組んだ酒造好適米・美山錦】

「美山錦」も亀の尾・亀粋に続く背の高い稲です。そのため倒伏しやすく、また心白の発現率が他の酒米に比べると低めということもあり生産量は年々減ってきています。

そんな「美山錦」も栽培が大変な亀粋を育てている志賀に言わせると「栽培しやすくて綺麗な酒が出来る良い米」とのこと。

美山錦使用の「純米吟醸三十四号仕込」は米鶴のお酒の中でも人気の１本です。

生産量減少に負けずこれからも皆さんに届け続けられればと願うばかりです。

【山形県で開発された酒造好適米 雪女神・出羽燦々・出羽の里】

山形県独自の酒米品種第一号として1995年に誕生したのが「出羽燦々」です。

これにより地元の酒米でさまざまな旨味たっぷり感じられる吟醸酒を醸せるようになりました。

岩手の吟ぎんが、福島の夢の香の親でもある出羽燦々、これに滋賀の吟吹雪を掛け合わせて生まれたのが「出羽の里」です。

心白が大きいため磨きすぎると砕けてしまう「出羽の里」は純米酒の造りに向いていて、熟成させても旨味が増す優秀な酒米です。「栽培のしやすさも魅力の一つ！」と農家の皆さんは話していました。

その出羽の里に宮城の蔵の華を交配させたのが大吟醸用酒造好適米「雪女神」です。

酒米の王様「山田錦」に負けない美味しい日本酒を県産米で造ろうと開発された「雪女神」は綺麗で熟成にも耐えうる注目度が高まっている酒米です。近年では志賀の栽培した「雪女神」が酒米コンクールにおいて県知事賞を受賞したりと、自信を持ってオススメします。

【北の地で山田錦を栽培することの困難さ】

美山錦の線の細さを克服できる品種としては、当然、山田錦を試したこともありましたが、地元では実が入る前に霜が降りてしまって気候の影響で満足のいく品質のものが得られませんでした。晩生の品種である山田錦を北の地で栽培することの困難さを私たちは身を持って体験しているからこそ、山田錦にこだわらない酒米栽培を推進してきました。

【稲は百姓の足音を聞いて育つ】

農家の皆さんは田植えから収穫まで毎日、日に何度も田んぼに足を運びます。「自然相手のことだから毎日神経を使ってるよ」「だけど稲が頭を垂れてしっかり実って収穫すると嬉しくてまた来年も頑張るかってなるんだよなぁ」と話してくれました。

今私たちが栽培し酒造りに使用している酒米たちは、どこへ出しても誰に味わってもらっても胸を張れる、自慢の酒米です。ぜひ皆さんにも違いと美味しさをお楽しみいただければと思います。

お酒のご紹介

【盗み吟醸 大吟】雪女神使用(精米歩合50％・Alc.分15％)

香り華やかでふくらみがありなめらか、全体的に品のある味わいで後味は綺麗。

杜氏おすすめのおつまみ：若竹煮

【純米吟醸まほろば】出羽燦々使用(精米歩合55％・Alc.分15％)

香り穏やかでやや旨味は多いが、渋みが味を引き締めている。

杜氏おすすめのおつまみ：カニクリームコロッケ

【豊穣の里】出羽の里使用(精米歩合60％・Alc.分15％)

香り穏やか味やわらかく、やや熟成しているが酸味・渋味が後味を引き締めている。

杜氏おすすめのおつまみ：筑前煮

特等米出羽の里100%使用限定品

【純米吟醸三十四号仕込】美山錦使用(精米歩合55％・Alc.分16％)

やや華やいだ香り、やわらかくバランスのとれた味わい。渋味あるが後味は綺麗。

杜氏おすすめのおつまみ：エビの塩焼き

【米の力 特別純米 亀粋】亀粋使用(精米歩合65％・Alc.分15％)

香り爽やかでほんのりとやわらかく綺麗。適度な渋味が切れ味を生む。

杜氏おすすめのおつまみ：カツオのたたき

【米の力 純米 亀の尾】亀の尾使用(精米歩合65％・Alc.分15％)

香り爽やかで切れのある味わい。苦味と渋味が味を締め辛口で軽快。

杜氏おすすめのおつまみ：生牡蠣

資金の使い道

米鶴酒造では王道のお酒だけではなく、ピンク色の純米酒や発泡性日本酒のような遊び心も大事にして酒造りをしています。応援いただいた資金は、来季の遊び心溢れる造りに使わせていただきます。

実行者紹介

高畠町酒米研究会 志賀 良弘 亀粋開発者

昭和51年頃より米鶴酒造の蔵人として勤務。昭和58年より志賀を中心とした５名で酒米栽培をスタート。のちの高畠町酒米研究会であり「米作りからの酒造り」の基盤となる。平成3年に「亀粋」の品種登録を出願し、平成5年8月に品種登録。最近では酒米コンクールにおいて「雪女神」が県知事賞を受賞。現在は米作りに専念している。

米鶴酒造株式会社 常務取締役 須貝 智

昭和53年より蔵人として勤務。平成10年より杜氏を務める。【和醸良酒】の心で、チームワークを大事に日々酒造りに邁進している。美山錦使用の【純米吟醸三十四号仕込】は自分の名前を冠した(三十四＝さとし)こだわりのお酒でもある。